えくぼ

日常が日常を捨てる、そんな時に――
「花は散るものよ」いつまでも君のえくぼは春である
「来年もまた見ようね」と僕たちの距離に穏やかな春風が吹く
日常を取り戻す 朝、そんな時に――
「私 きれい?」と君が言うえくぼが春に埋もれる時
「あぁきれいだとも」恥ずかしく鼻に触れながら僕は言う
日常が日常を捨てる、そんな時に――
君は僕から逃げていく。揃いのマグカップには冷めた牛乳が薄膜を張る
     反歌
恋だったきっと忘れない恋だったえくぼと共に春は逃げゆく

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