白い鴉(3月号)

親指の関節を鳴らす、癖がある。男が全てを知っている――
「コーヒーはブラックですか?」この合図に男はカッと目を開く
「砂糖は幾つ?」「二個ほどかな」――『二十万』――さっと封筒を出す
一口飲んで「全体と一つのものを語る時」「何でしょうか?」「じゃあこうだ」
「黒い鴉が全体で白い鴉がいたらどうなるか?」「殺されますね」
「そうなのだ。しかし、ヨソデは?」「有難がられる」「分かっただろう」
親指の関節を鳴らす「僕に何ができるでしょうか?」「ケ、甘いな」
「耐え忍びそこに居続けろお前自身は限りなく黒だ。生きろ、馬鹿者」

    反歌

白い鴉 限りなく黒く陽に濡れて父親殺しのページで閉じる

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