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妖しく咲くサコッティーニとタリアテッレの海老のトマトクリームソース

馬鹿は死ななきゃ治らない、なんて申しますな。中には死んでも治らないようなのがいるようで。
”おい八っつあん、おめー、河原んところで行き倒れになってたぜ。身請け人がいねってから、こうやって知らせにきてやったんだ。”
”何言ってんだ熊さん。おらぁ、こうやってぴんぴんしてるだろうが”
”ばかやろう。てめえが行き倒れになってんのも気がつかねえのか。だからおめえはそそっかしい、っていうんだ”
どっちがそそっかしいんだかわからないお話で。というのが粗忽長屋の一節。

いえ、なんの噺かということ、わたしも近いモノがあるなと。自分でもなんでこんなにパスタにこだわるんだろう、なんて思ってて、前世はイタリアのマンマ?だったらいいんですけどね、っていいんかい、ですね(笑)。

器用にあれこれこなせないので、とりあえず、ソース作って併せる麺考えれば済むのが楽という噂も。丼もんとかカレーとかに近い感覚かも。見た目はあんまり変わらないですが、少しづついろいろと試してバランス考えるのも楽しい、ってご覧になってる方にはわからないかも。ま、ほぼほぼ毎週作ってれば、ご飯炊くのとそんなに変わらない感覚で、頭使わなくても体が勝手に動く感じで、ってもとから頭ないという噂も(泣)。

今日のお題

”海老がいいなあ”

この問いの解を求めよ。
ここで、”海老が”と指定された場合は小海老ではないので注意が必要です。”海老でも”の場合は小海老が含まれます。明日のテストではここが範囲になりますので、メモをとっておいてください、なんて(笑)。
で、うちの場合、海老=トマトクリームの公式があって、ここから導き出されるのが蟹=トマトクリームの公式で、この二つを連立方程式として解くと、パスタで、といつもの答えが出てくるのでございます。ってなんのこっちゃ、ですね。ややこしい言い方すないな、ってね。

パスタを作る

毎度で恐縮です、ですが、時々いらしていただけてるお初の方向けに。
そういえば、こうやって作る過程の写真お見せしてると、捏ねた後のまんまるがいい、微塵切りが好き、パスタまとめて並べたところが好き、とか、人によって好きなところが違っていそうで。う〜、まさに価値観は多様ですね。これからは多様な価値観から発生する多彩なニーズに如何に答えるかが重要な時代。ということで、”見飽きたぜぃ”な方にはごめんなさいですが、って結局載せたいだけやん、ってバレましたか(笑)。いえ、出来上がりだけだと寂しいでないですか。

デュラムセモリナ100%、全卵、加水率55%、岩塩1%で、少ししなやかな感じを目指して。海老ちゃん、蟹さまよりは風味がやさしいので。全卵の場合、加水率50%ぐらいから52%ぐらいは捏ねるの大変だけどふつっって歯切れのいい感じになって、53%から55%ぐらいになると、捏ねやすくなる代わりにべたつきやすくて、ぷりっとしたしなやかさが出る気がしてます、って捏ね方でも変わるんですよね、って誰も共感してくれなさそうな(笑)。

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水回し。ぽそぽその粉がなくなるくらいまで。

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15分くらい捏ねて、30分以上休ませて、を3回繰り返し。

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月がぁ〜、出た出たぁ、月がぁ出た、は、よいよい♪ っておめでたいのはわたしの頭かな。目出度さも ちうくらいなば おらが頭、なんて。字余り(泣)。

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タリアテッレの幅に切って。ご存知かも、ですが、鮃じゃなくて、平麺の場合、幅がせまい方からフェットチーネ→タリアテッレ→パッパルデッレと呼ばれてて、って、もともと作られてる地方が違うし、作る人によっても幅変わるのでかならずしもこうはならないこともあるみたいですが、ってシェフから聞いた話。ソースが濃厚になると幅広にした方が相性が良いとも。ま、これに厚みを変えるのが入って、小麦粉の種類、加水率、卵か水か、オリーブオイル入れるかどうか、とか全部違いが出るんで、たかがパスタされどパスタで、沼るとずぶずぶになります。へえ。ほぼ底なし沼に埋まっているわたし(笑)。ま、うどんって言っても讃岐うどん、博多うどん、氷見うどん、稲庭うどんと、全然違うように、パスタにもいろいろあるってことで。

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ソースを作る

玉ねぎとセロリをみじん切り。いまんところ3mm角を目指してて、セロリの方がなかなか同じサイズにするの難しくて、って何やってんねん、ですね。いえ、同じサイズにした方が、火の入り方とか焦げ始めるタイミングが同じになって、雑味のないソフリットになる、って片岡護シェフの教えですので。で、オリーブオイルで弱火でくちゅくちゅと狐色になるくらいまで。途中でセロリの葉っぱも刻んで入れて。

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水分がなくなってくると、くちゅくちゅって音にぷちっぺちっって音が混じり出して、このあたりから甘い香りに変わり出して。どうも産地の違いなのか、ものすごく甘くなる時と味もそっけもない時があったりしますね。

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セロリの葉っぱさんも刻んで投入。以前は葉っぱの繊維が食感わるくするんで入れてなかって、ブレンダーかけるようになってからは入れてます。セロリの風味が少し強くなって。お肉の時は人参もいれますが、魚介の時はソースの味が強くなりすぎる気がするとですよ。

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トマト缶どぶっと入れて、海塩ひとつまみ。30分くらいくつくつと煮詰めながら味馴染ませて。

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みじん切りのニンニクと種抜いた鷹の爪をオリーブオイルでくちゅくちゅと。風味が移るくらいまで。海老ちゃん入れるんで、ここでは香りが立つくらいまで。

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価格交渉決裂して、ちょっと少なめの今日の海老ちゃんたち。いつもより大きめだから仕方ないのかしらん。ものはよかったので、よしとすることに。

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身は、白ワイン、塩胡椒、カレー粉ちょろっとで軽く和えてから薄力粉まぶしてまぜまぜ。ちゃんとちゃん(©️ケイチェルおじさん)して。

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頭は解体して、殻も入れて、弱火で香りが立つまで煎るように炒めて。少し香ばしい感じまで。生っぽい海老の匂い好きでないので。といいつつ甘海老は好きだったり、ってどっちやねん。いえ、そこは微妙な乙女心というもので。乙女ではございませんが(笑)。

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ここに身も入れて、軽く火が通ったら、取り出して。ううう、ちょっと寂しい量。

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白ワインどぶどぶっと入れて、強火ぶぉわ〜、っとで、しゅわわぁ〜っと軽く煮詰めて。もう、出るもん全部おいてけ〜な感じで。ま、身ぐるみ剥いでますし、って追い剥ぎかよ。ま、近いものあるかも。殻からもいい風味出ますしね。このままスープでいただきたい感じ。

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液体部分とおミソ・身を取り出してトマトソースに加えて、ブレンダーでぎゅい〜〜んと滑らかになるまで。頭んところの身も、ちょろっとしかないんですけどいい味してるんでちゃんとこそげます。。。貧乏性というか、食い意地がはってるというか、美味しくするための手間は厭わないのでございますです、って時々やりすぎてツボってますが(笑)。

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海老ちゃんは味がやさしいので、コクがでるくらいの少なめに生クリーム加えて、ひと煮立ちさせたらソースはスタンバイOK。

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ミニトマトをオリーブオイルとバジルでマリネ。カプレーゼ用の準備。

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と、ここまではなんの変哲もひねりもない感じ。なんとなく、創作意欲が満たされないんですよね、これだけだと。いえ、こうなんか、料理は爆発だ〜って感じが欲しくありません? もやもやしたことぶっ飛ばすくらいのメガトンクラスの爆発が、って勝手に爆発して火星にでも行ってろ〜、って声が聞こえてきそうな。いや〜、マーズ・パスファインダーの風船着陸は衝撃的でしたね、ってなんの話やねん。いえ、普通の大学生のアイディアを真剣に検討して、ほんとにやってしまうアメリカって、やっぱりすごいな、と。

サコッティーニ

パスタ生地でリピエノを包むサコッティーニ、2種類あって、以前、形に惹かれて、のようなものを作ってて。で、巾着包みたいな形の方、まだ形崩さず茹でる方法見つけられてないんですが、ちょっと閃いたものがあったので。

リピエノ

レモンのカッテージチーズ。牛乳温めて、レモンの絞り汁入れて。

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布巾で漉して

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リピエノにするんで、少し絞って水気すくなくしてから、レモンの皮もすりすり。

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ペコリーノ・ロマーノもすりすり。コクが出て、軽く塩気を感じるくらい

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練り練りしてから、軽くころころとまとめて。

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こんだけだとちょっと味が寂しいので、アクセントにミニトマト半割りにしてオリーブオイルぺたぺたして150℃のオーブンでじっくり水気飛ばして。

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バジル、胡桃、ペコリーノ、オリーブオイルのなんちゃってジェノベーゼ。

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ブレンダーでギュイーンと滑らかになるまで。

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ちょろっとくすねておいたパスタ生地、限界まで(わたしの、ですが)薄くして四角く切って、リピエノをちょん、とおいて、水気飛ばしたミニトマト乗せて。

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前回、まるっと包むと、焼いた時逃げ場がない水蒸気で、中身を押し出すのがわかったんで、上は開いたままに。

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180℃のオーブンで15分くらい焼いて、なんちゃってジェノベーゼの敷いた上に乗せて、野に咲く花、のつもり、、、、、。

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タリアテッレの海老のトマトクリームソース
パスタは海水くらいに海塩入れたお湯で茹でて、湯切りしてから茹で汁少々といっしょに温めておいたソースにドボン。取り置いた身も加えて良く和えて、イタパセぱらっとして、フィナーレ!

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ブッラータのカプレーゼ
カッテージチーズも散らして。。。お花畑牧場のなんで、なんかちょっと違うような。そこそこ美味しくはあるのですが。ま、贅沢はご法度でございますので。

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サコッティーニ

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海老ちゃんのトマトクリームはもう磐石のお味で。ただ、身が少なかったんで、危うく争奪戦で戦闘状態に、はなりませんでしたが、ちょっと寂しい感じ。やっぱ、もう少し買うべきだったかなあ、と。

サコッティーニ、ちょっとミニトマト焼きすぎた感じで、少しこげこげ。なんか、野に咲く花というよりラフレシアの風情。妖しさ満載な感じ。

なんとなく、魔女が魔術に使いそうな雰囲気。”これでおまえも人間になれるよ。ただ口はきけないからね。”なんて。
作ってて、なんかどっかで見たことあるような、って思ってたら、京樽の茶巾寿司。以前はようけお世話になりましてん。これで刷り込みされてたのからしん。

「茶きん鮨って、かわいい形だね。薄焼玉子の黄色に海老の赤もキレイ」 「うん♪ところで、茶きん鮨って中に何が入っているか知ってる?」 「断面を見ると、ご飯に色々混ざっていそうだけど…」 ...

Posted by 京樽 on Sunday, March 29, 2015

限界まで薄くした生地のさくさくした感じと、レモンの風味のカッテージチーズにミニトマトのアクセント、なんちゃってジェノベーゼとの組み合わせもいい感じでございました。。。で、

”見た目を除いてはね”  
でしたとさ。ち〜〜〜〜〜ん。

馬鹿は死んでも治らないというお噺。
おあとがよろしいようで。

今日も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。
明日からも素敵な日々でありますように。

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今が盛りの紫陽花。

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