ガルガネッリまでの長い道のり ボロネーゼで
ガルガネッリはエミリア・ロマーニャ州の伝統的なパスタのひとつ。形はペンネと似ていますが、筋が縦でなくて横に走っているのが特徴で、織物を織る時に使う筬(おさ、横糸通してから、ぱんぱん、と音立てて横糸を押し詰める櫛のような形をした道具)の上で生地を転がして形を作ったのが最初とか。名前は、鶏の気管 (garuganell)の形に似ているのでつけられたそうでございます。
珍しく真っ当な始まりでびっくりされた方、お気付きの通り、ぜんぶ受け売りです(笑)。いえ、人様からお教えいただいたこと、おちゃらけしては申し訳が立ちませんので、ってもとから立つ瀬がなんてないかも(泣)。
でですね、いつものように”作ってみた〜い”の変態的欲求に屈して、作ってみたのです。始めのころはニョッキボードの上でむぎゅっと抑えながらころころして。生地につぶつぶ見えてるのは黒胡椒。なんとなくガルガネッリ=がりがり=胡椒挽きって、なんの連想してるねん、ですね。いえ、スパイシーなのもいいかな、で、茹でたら香り抜けてしまって、ち〜〜〜んでしたが。今見るとつっこみどころ満載で、お恥ずかしゅうございます、って今も恥ずかしいことしてますが(笑)。
ところが、これ、成形したあと、しばらくするとふにゅ〜んと潰れていって。
で、ある程度乾燥するまでころころ向きをかえたりして、もう、なんでこんなに手間がかかるの!って思ってて。加えて、茹でたら、ふにゃら、っとなって、おのれら、タレパンダか〜と言いたくなるくらい。作ってる人間がてれ〜んでパスタがたら〜んじゃ、しゃれにならんわ〜、なんてちょっと気持ちが折れてて。
加水率変えてみたり、生地の厚みかえてみたりしてもじぇんじぇんダメで。この過程全部お見せしたら、ご覧になる方眠くなるだけだと思いますので、苦難の道のりは一気に飛ばします。苦節三年の語るも泪の物語。
で、ある時生パスタ得意にしているシェフにお話聞くことができて。。。蓋を開けたら簡単なお話で、オリーブオイル加えたのが間違いだったのでした。ち〜〜ん。
ずっと風味づけにオリーブオイル加えててて。これ、生地の伸びをよくする、って知ったのはだいぶ後。と、少し卵黄の比率高くすることも教えていただいて。ま、そのころはまだ小麦の特性掴んでなくて、生パスタつくれたぜ、いぇい、とかやってたこどもでしたから。いまでもこどもかも(泣)。最近あまりにも深く広い世界なことに気づき初めて、ぬぬぬぬ、沼じゃ〜。
で、まだまだ改善の余地は残りまくりのよちよち歩きですが、多少お見せできるくらいになってきたので、のお披露目をかねて、の今日のお話です。
生地を作る
デュラムセモリナ100%、全乱、はわたしで、でなくて全卵1、卵黄2で加水率53%、岩塩1%で。毎回お詫びするのもなんですが、見飽きたかたは飛ばしてくださいませ。
水回し。卵黄が多いと、生地がすこし頑固になります。粘土っぽい感触。
捏ね捏ね15分くらい。この生地は手首が強くないと捻挫するかも。このために日々鍛えてますからね〜、手首で10キロ持ち上がるし、って何自慢してるんだか。
陶芸の土揉みに近い感触。力ずくでなくて、ずずっと腰で押すような感じにしながら、生地を推し伸ばすような感じ。。。誰もやらないだろうなあ(泣)。
30分くらい寝かせて、捏ねて、を繰り返しての3回目。いつものぷにゅっとした感じでなくて、むにゅん、と弾力強く押し返してきて。卵黄多いので少し艶っぽい感じ。
タリアテッレとかに比べて一段薄く伸ばして。以前やった時、同じ厚さでやったら、ちょっとゴムのような噛みごたえで、教えていただいたシェフも薄めの生地でやっていたので。
四角く切って。ほんとはもう一回り小さく切るんですが、そうすると数が増えて、作る時間も増えて、うぎゃ〜っ、間に合わん!と怒涛の寄せが必要になるので。やっぱりパスタ作りは心静かにまいりたいですので。観自在菩薩 行人般若波羅密多時、じゃ修行になってまうから、Kyrie eleison♪ Domine eleison♪と祈るような気持ちで。
で、教えていただいたシェフから、恐れ多くもいただいてしまったペッティネ。これ、竹で作ってある本物の筬です。西陣で使われていたものを頂いたとか。写真では見えないですけど、周りに補強の為に和歌が書いてある和紙が貼ってあったり。こういう道具があるとテンション上がりますよね。なんか仕上がりもプロっぽくなって。で、棒の方は自分で作ってね、と言われて割り箸削ってつくりました、、、溝掘ってあるの分かります?内側にも筋付けしてソースの絡みをよくしたい、なんて思いまして。やるならとことん、とことんやれとんやれな♪。。。こういうの病膏肓に入るっていいますな。変態を超えて病気!(泣)。
ほんまに先達はあらまほしけり、ですね。ころっところがしといても潰れないし、くっつかないし。今までの苦労はなんだったのってくらい簡単で。まだちょっと巻き方が不揃いだったりするのは見なかったことにしてくださいませ。
なんか好きなんですよね、この風景、って浸ってる場合じゃなくてタイムリミットが近づいてるので、次へ。実はこの日、家事曜日で、朝から怒涛の炊事洗濯お掃除アイロンがけ全部終えてからだったので、すでにこのあたりで食事10分前。ソースは捏ね捏ねするのと同時ぐらいにスタートしてて、このころ温め直し開始。
ソースを作る
生地薄めにしてもこのパスタ、しっかり主張してくるんで、ソースも強めがいいかな、で、エミリアロマーニャといえば、のボロネーゼ。ご存知かもですが、エミリアロマーニャ州の州都はボローニャで、ラグー・アッラ・ボロネーゼ(ボローニャ風のラグー)という意味だそうで。。。付け焼き刃でお勉強中で、、、バレバレですね。作り方はいつもの通りですので、適宜飛ばしてお読みくださいませ。
玉ねぎみじん切り
セロリもみじん切り。ちょっと思うところあって、松笠切りにしてから微塵にしてます。。。たぶん無駄な足掻きのような気もしてますが、いつものことで(笑)。
人参もみじん切り
少し多めのオリーブオイルで、くちゅくちゅと1時間ほど玉ねぎが狐色になるくらいになって、甘〜くなるまで。ちなみに、ずっと混ぜてはいないです。すこし焦げつくくらいの方が甘みが強くでるので。他のことやりながら、たまに底から返すようにしてるだけで。
トマト缶どぶっと加えて、塩ひとつまみ。今回少し強さを出したかったので、ブレンダーはかけません。野菜一粒一粒の味の違いが立って、お肉と一緒に口の中でハーモニーを奏でる感じがイメージ。30分くらい煮込んでからしばしおやすみ。味を馴染ませて。
ここでいつものアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ。むふふ、やっぱりこの語感いいなあ。イタリア語って子音母音で日本語と発音似てるし、温かみと歌うような響きが、マンマの味!って感じに聞こえません?ってわたしだけ?。お〜、それ見よ〜、って日本語で歌ってるってずっと思ってた恥ずかしい過去も(笑)。
オリーブオイルに入れてトロ火でくちゅくちゅと香り移して。この後お肉入れるんでここでは火が通ってなくてOK。
今回は粗挽きの逢引き、ってどんな変換しとんじゃ。あぶな〜。昭和のメロドラマじゃないって。じゃなくて合い挽き肉に塩胡椒して少し常温に戻してから投入。中火でじゅわわ〜っと。牛さんと豚さんのラブロマンス、なんて。
触りすぎたらあかん、と落合シェフのいいつけどおり、ここは軽く焦げ目がつくまでじっと我慢。
ひょ、っと返して、また軽く焦げ目つくくらいまで。
ここで白ワインどぶどぶっと投入。え?赤ワインちゃうの、と思し召しのあなた。どうも赤ワインだとわたしのイメージの味にならんとですよ。シェフでも白ワイン使ってる方いるから、どんな味を目指しているか、なんでしょうね。なんとなく、肉の旨味を少し外に出して、ソースを美味しくするには白ワイン、肉の旨味をぎゅっと閉じ込めるなら赤ワインって感じがしてて。タンニンの含有量が違うから収斂作用の違いかな、なんて思ってますが、このへんプロのいこまゆきこさんとかmamigeさんのご意見伺ってみたいです。
ワインの酸味はいらないので、ぺちっ、ぷちっと油の音がし始めるくらいまで煮詰めて。もう、この段階でうま〜、な感じで。
これをトマトソースに投入。30分くらいトロ火でくつくつしてから、火をとめて30分くらいお休み。味を馴染ませて。
ナツメグすりすり。さらにkaorina091さんに教えていただいたシナモンパウダーぱぱっと投入。シナモ〜ンというほど香りがしないくらいでも、全体を爽やかにまとめる感じになって、美味しくなる秘技。
ソースにお寝んねしていただいている間にトッピング用のパルミジャーノすりすり。ソースにもたっぷり入れると美味しいんですけど、パルミジャーノの味になってしまうので、今日はお肉とじっくり炒めて味をぎゅっとさせた野菜の美味しさでまとめたいので、ここはじっと我慢、って今日何度目の我慢?
海水くらいに海塩入れたお湯でパスタ茹でて。生パスタはだいたい2分くらいで茹で上がります。なんでパスタ作る時は岩塩で、茹でる時は海塩なの、って思し召しのあなた。鋭いです。パスタ作る時は粒が細かくて溶けやすい岩塩使って、茹でる時は激安の海塩使ってます。普通の塩ににがり加えるってやり方もあるらしいんですけど、にがりの方が高いんで。ちなみにご存知のように、岩塩って太古の海水が地盤に取り残されて、塩分が結晶化してできたものだから、何億年も前の海を味わっている、と考えるとまた感慨深いですね。
茹で上がったら、湯切りして、温めておいたソースに茹で汁少々といっしょに投入。あおるようにして混ぜて、盛り付け。パルミジャーノとイタリアンパセリぱらっとしてフィナ〜レ!
ううう、あいかわらず盛り付けのセンスなさすぎ。もっと練習せんと。
で、肝心のガルガネッリは茹でてもつぶれないで、和えた後も形かなりキープしててるおかげで、穴の中までソースがからんで。食べても、筒が潰れるまでの弾力があってから、ふつっと噛み切れていい感じで。
やっぱりもう少し小さくして一口で食べやすいようにした方がよさそう、、、今5cm角ぐらいだからこれを3m角にすると、作る数はほぼ倍!うううう、今6秒/1個くらいだから、3秒/1個まで速度UPが必要!、、、ま、のんびり修行していきま〜〜す。
ボロネーゼの方はこの材料ですからね。間違いありませんです。細挽きより粗挽きの方が肉の食感と味がしっかり出てて、このパスタならブレンダーかけなかったのも正解の感じ。なはっ。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
明日からも素敵な日々が続きますように。
木香薔薇。小さな可憐な花。