2024.3.23vs島根 チームルールの遂行力

 一時は2点差まで追い縋るも、結局はリードを許したまま負けてしまった昨日の試合。メンバー構成やチームディフェンスのスタイルなどが似通っており、サッカーで言うところの「ミラーゲーム」のような様相を呈していた昨日の試合でしたが、何が勝敗を分けたのか。個人的には、チームルールの遂行力にあると感じました。


島根のオフェンスのよさ

 FEは前半、島根のPnRに対して、ショウで対応します。普段はドロップすることが多いのですが、ハンドラーのプルアップスリーを警戒したのかも知れません。しかし島根のハンドラー陣は、このショウに対しても素早く対応して見せます。

 この場面(1:16〜)では、ハンドラーの津山がショウしてきたルークを釣り出すように横にドリブルをし、ニックケイから引き離します。その後フリーになったニックケイにパスを戻し、ニックケイはフリーでドライブ、ダンクを決めています。

 しかしここで重要なのは、画面左下の安藤と谷口のポジションチェンジです。
 
 このポジションチェンジによってアーロンとJJもポジションを入れ替えており、2人に引き付けられた結果、ニックケイのドライブにヘルプに行けなくなっています

 またこちらの場面(2:06〜)では、上の場面と同様ビュフォードがルークを引っ張り出してニックケイをフリーにしていますが、このタイミングで谷口は中村にスクリーンを仕掛け、安藤をフリーにしています。この動きにオマラもつられヘルプが遅れていますが、もしヘルプが間に合っていても安藤にフリーのスリーを打たれていたでしょう。

 このように、PnRに直接関わっていない選手たちの動きによって中を空け、イージーなショットを成立させることに島根は長けていたように思います。

 後半FEはショウをやめドロップするようになり、その結果いいディフェンスの時間帯も増えてきたのですが、島根もこのオフボールマンがフリーになる機会が生まれるようになっていきました。

 この場面(3:50〜)では、PnRからニックケイがゴール下にダイブするのに対し、佐土原がヘルプしたのを見て、元々佐土原がマークしていた谷口がポジションをやや上に修正し、フリーでスリーポイントを沈めています。
 これは、一度ゴール下に降りた佐土原がチェックに戻るのに一番距離の広がる、何ならダイブしたニックケイが佐土原にスクリーンをかけることもできるようなポジションです。

 一番すごいな、と感心したのは、4Q7:40〜、島根のサイドラインからのシーンです。ボールを中に入れたビュフォードがAIカットから逆サイドに移ろうとしたのをアーロンがバンプして止めます。ビュフォードはカットを諦め左に戻るのですが、その瞬間谷口と津山が逆サイドに駆け出し、フロアバランスを維持しています
 その結果生まれたスペースを使ってビュフォードはドライブを仕掛けますが、特に凄いのは、ビュフォードも津山がポジションに着くのを待ってからドライブを仕掛けていることです。その結果佐土原を引き付けたビュフォードが津山にキックアウトパスを出し、津山はフリーでスリーを打っています。ありがたいことにこのスリーは外れてくれましたが、もし入っていたらここで動画で紹介できていたかもしれません。

 以上のように、島根は一つのチャンスメイクのためにコート上の5人全員が適切な動きをする、統率の取れたオフェンスをしていたように思います。

島根のディフェンスのよさ

 特に昨日の試合で、島根のディフェンスのよさを感じたのは、FEがローポストでボールを持った場面です。参考として、島根vs名古屋DDのハイライトを載せます。(0:48〜)

 島根はこのように、ローポストにボールを入れられた場合、逆サイドのコーナーにいる選手のマークマンがヘルプポジションに位置し、ボールマンにアタックかパスかの選択を迫ります。またボールマンについているディフェンスはややベースライン側を空けるように立ち、ヘルプのいる方向に誘導して、パスコースを限定します。
 そして、逆サイドにいる別のディフェンスが、自分のマークマンとコーナーでフリーになった選手の間に位置し、どちらにも対応できるようにしています。この場面ではビュフォードがその役割を担い、レイパークスのブロックをすることができたわけです。

 昨日の試合でもこの守り方によって、FEはいくつものターンオーバーを喫し、速攻を許しています。(2Q3:02〜、3Q4:30〜、4Q9:38〜、など)

 また、これとは違うケースですが、紹介したい場面が4Q2:00〜です。

 右45°で川嶋にスクリーンをかけスイッチさせた後(①)、オマラにスクリーンをもらったアーロンは、逆サイドでフリーになりかけるのですが、その瞬間オマラについていたモリスがアーロンにチェックする素振りを見せます(②)。

 本来はそこでアーロンvs安藤を作りたかったのですが川嶋はパスを諦め一度コーナーのルークにボールを落とします(③)。その時アーロンはフリーでペイントに侵入するのですが、佐土原についていた晴山が安藤に指示を出しスイッチ。川嶋がリターンをもらった時にはアーロンはフリーではなくなっており(④)、川嶋は仕方なくビュフォード相手にドライブを敢行、最終的にはルークがタフショットを打たされ、チャンスを潰してしまいます。

 最後の勝負所で、見事なチームディフェンスをして見せた島根に、我がチームは上回られてしまったなあ、と感じた場面でした。

まとめ

 以前多く話題に上がったこのポスト、個人的には「これくらいのポジションの修正にヘナレHCはこだわっているんだなぁ」と感心していたのですが、そういったこだわりの積み重ねを強く感じたのが昨日の試合でした。
 しかし、我がFEのコーチ陣も、昨日のディフェンスを試合中に改善させたように、修正力は引けを取らないと思っています。島根の誇るチームオフェンス・チームディフェンスにどう対抗するのか、とても楽しみです。


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