2023.12.16vs仙台

 まずはこちらをご覧ください。

 悔しい悔しい渡辺のゲームウィナーとなった3ptですが、この攻防は、この試合のここまでの変遷が凝縮されたものでした。じっくり見返すことで、藤田HCの引き出しの多さがよく分かりました。


1Q…ドロップに対するスネイク

 1Q、仙台はゲルンがスクリーンを仕掛け、ゲルンにマッチアップしているオマラはドロップという守り方を選択します。
 FEは、スイッチと言う、スクリーナーとハンドラーのマークが入れ替わる守り方をすることもありますが(例えば渋谷戦の序盤はその守り方で、その結果ジョシュの得点を多く許してしまいました)、昨日は初めはそれをしませんでした。
 これは、ゲルンと川嶋/中村の高さ・力のミスマッチや、渡辺・青木とオマラとの速さのミスマッチを避けたかったのだと思います。またドロップは、スクリーナーが3ptラインの外に残ってしまう(=ポップ)とチェックができなくなりますが、ゲルンは3ptを打たないのでドロップで十分対応が可能、と考えたのでしょう。
 ところが、仙台はそこの対抗策を用意していました。それが「スネイク」という技です。この技により、ハンドラーについている川嶋や佐土原のディフェンスが無効化し、オマラは1人で2人に対応することを迫られています。
 オマラが下がった後は、オールコートプレスでミスマッチが生じることも織り込み済みなので、FEはスイッチを繰り返します。

FE…ドロップを控えめに

 2Q、仙台のスネイクを許したFEは、オマラのポジションをやや高めに設定し、またPnRに関わっていないディフェンスのヘルプもいれ、ハンドラーにプレッシャーをかけます。例えば2Q6:20ごろのプレーでは、この守り方が奏功しています。
 また3:30の場面では、オマラの位置がよりハンドラーに移り、JJがゲルンに近寄ることで、阿部をタフショットに追い込むことができています。

仙台…スイッチさせる

 すると仙台も、FEにスイッチをさせるオプションを出してきます。2Q1:18では、JJの対応で阿部ーゲルンのPnRでズレを作れないと、続いて片岡ーマーフィーで再びPnR。初めは相馬がアンダーで対応するも、すぐにポピックし、相馬ーマーフィーのミスマッチを作ることに成功。そこでできたミスマッチが後々まで響き、最終的にポップしたマーフィーにオマラがチェックできず、3ptを沈められてしまいます。

仙台…PnRをせずポストプレー

 3Q開始、ハーフタイムでPnRにFEが修正を施したことを見越したのか、さらなるオプションを繰り出します。それはPnRをせず、ブースがJJにポストプレーを仕掛けること。このプレーはうまくいきませんでしたが、ここでは違うオプションがあることをこちらの頭に植え付けることに成功したと言えます。
 また、8:03の場面では、ブースとゲルン、2人のスクリーンをもらった青木がスピードに乗ってシュートをして、シンプルなPnRではない攻撃をして見せます。
 7:35では、2QにFEは施した「3線からのヘルプ」という修正の上をいく、青木からのキックアウトパスから阿部が3ptを沈めています。

FE…スクラムスイッチ解禁

4Q、このままでは守りきれないと判断したか、オマラがいる時間でのスクラムスイッチを解禁。4:50のシーンでは、川嶋ーブースのミスマッチを佐土原がさらにスイッチし、ブースにボールが渡ったところでオマラがヘルプしにいくことで守り切ることに成功します。

仙台…スクラムスイッチ対策

 すると仙台は、このスクラムスイッチへの対応策を出してきます。2:20、ゲルンと阿部のPnRでスイッチを起こさせると、佐土原が一度ゲルンにバンプ。その時にフリーになったヤンジェミンにパス。慌てて佐土原が飛び出すと、ゴール下で川嶋をダックインしているゲルンにパス。ここでは川嶋の見事なスティールでことなきを得ますが、それがなければ容易に2点を決められていたでしょう。

 そして極め付けが、冒頭の渡辺の3ptです。まずペイントでゲルンーブースでスクリーン、オマラとJJをスイッチさせると、ゲルンがJJを連れて阿部にスクリーン。JJと川嶋がスイッチすると、今度はブースがスクリーンをかけ川嶋とマッチアップ、有利なミスマッチを作ります。最終的には、そこのミスマッチを中村がケアしに行ったために渡辺がフリーとなり、3ptを沈めたわけです。

 このように、仙台はたくさんの対策を張り巡らしてきました。それを感じたからこその、川辺さんのコメントなのでしょう。

 きっと、川辺さんも悔しい気持ちでいっぱいだったのだと思います。ぜひやり返して欲しいです!


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