2023.10.29vs千葉J 守備復活の兆し

 昨日の千葉ジェッツ戦、敗れはしましたが、前半最大15まで開いた得点差を、一時は3点差まで追い上げることのできたファイティングイーグルス名古屋。その追い上げには守備戦術の変化がありました。

前半:オマラのドロップ

 前半、FEは千葉Jのピックアンドロール(以下PnR)に対し、「ドロップ」という守り方で応じていました。これは、スクリーンをもらったボールマンに自由にさせないため、ビッグマン(FEの場合特にオマラ)が少し下がってリングに近い位置で待ち構え、スクリーンで後追いになったガード陣がマークに戻るまでの時間を稼ぐ守備戦術です。

 しかしこれに対し、スクリーンを掛けた千葉Jのビッグマンは外に待ち構えてズレを大きくします(ピックアンドポップと言います)。下のシーンでは、フリーになったマッツが3ptを狙うふりをして遅れてきたオマラをだまし、カウンタードライブでレイアップを沈めています。

また2Q8:33にも、同じくポップをしていたムーニーが3ptを沈めています。いずれにせよ、オマラが中から外に急いで出ていかなければならないつらい状況に追い込まれています。

後半:スイッチ

 そこでFEは後半、PnRを仕掛けられたらオマラにドロップさせず、スイッチでマークマンを交代してボールマンにつかせています。当然スクリーンをした千葉Jのビッグマンにはガードがつかなければならず、高さのミスマッチが生まれていますが、それは別の選手がヘルプに来ることで補います。下のシーンでは、中にダイブしてきたムーニーに、相馬とJJが2人がかりで守りに入ります。

 上の動画と見比べて、オマラの位置がボールマンに近いことが分かるかと思います。

 そしてこのスイッチこそが、一昨シーズンFEをディフェンシブチームとしてB2優勝に導いた守備戦術であり、昨日の試合でもその片鱗を見せるまでになったように思います。個人的にそう感じた場面は、3Q残り3:34、ショットクロック残り14秒のシーンです。

①西村・ムーニーのPnRに、笹山・オマラはスイッチで対応。
②笹山はJJにマークを変わるよう指示、ムーニーにJJ、JJがついていたステフェンズに川嶋、川嶋がついていた大倉に笹山がつきます。

③ゴール下に位置どったムーニーにパスが入ったところでステフェンズがペイントゾーンに侵入すると、笹山はステフェンズに体を一度当てた(=バンプ)あとオマラに代わり、その後川嶋がステフェンズのマークに戻ります。
④ムーニーが移動した西村にパスを戻した後再びPnRをすると、JJとオマラもさらにスイッチ、オマラがムーニーのマークに戻り、ミスマッチはほぼ解消。

 その後、佐土原がやや内側に絞っていたため外でフリーになっていたマーカス海舟がドライブを仕掛けますがそこで時間切れ。24秒オーバータイムを奪います。
 このようにスイッチを繰り返し、一度できたミスマッチを解消していく「スクラムスイッチ」がFEの得意としていた守備戦術であり、新戦力3人がいるこのメンバーで実現させたことは意味のあることだったように思います。

千葉Jの対応策:富樫の1on1

 しかし千葉Jもさるもので、このスイッチに対応します。それが、ビッグマンにスピードのスイッチで上回る富樫の1on1です。

 先ほど書いたようにPnRのあとJJと笹山でスイッチをしてミスマッチを解消していますが、そんなことはお構いなしとばかりに富樫はオマラを翻弄したドリブルをして、ジャンプシュートを沈めます。
 昨日の守備戦術の変化を見て、千葉Jは今日もこのような1on1を仕掛けてくることが予想されます。
 川辺HCはそれにどのような手を加えてくるのか、期待したいと思います。

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