2024.3.3vs 信州 ゾーンプレスの修正
バイウィーク休み開け、一時は追い上げられながらも最終的には94-83と突き放して信州相手に勝利を収めたFE。ただ、課題が残ったのも事実で、その内自分が目をつけたのは「2−2−1ゾーンプレス」です。
2−2−1ゾーンプレスとは
2−2−1ゾーンプレスとは、上図のようにディフェンスの選手をコート上に2人ー2人ー1人配置して、前から相手にプレッシャーをかけていくディフェンスのことです。詳しくは下のサイトをご覧いただければと思いますが、
目的としては、積極的にボールを取りに行くよりも、相手に攻撃の時間をかけさせることの方はウェイトが高いです。下の動画では、攻めたいオフェンスの形を始める(エントリーと言います)までに10秒かけさせることに成功しています。
他の、例えば1-2-1-1プレスに比べれば、後ろのスペースがそこまで広くない分、裏を破られるリスクは小さいので、安定したプレスディフェンスだと言えます。2ー3ゾーンを好む泰三さんらしいチョイスです。
ただし今シーズンは、アーロンの高さと機動力を活かして上に配置し、前からボールを奪い取るシーンも散見されます。
2−2−1ゾーンプレスの攻略法
原則的に、ゾーンプレスを攻略する為には、ディフェンスのいない空いたスペースにボールを運ぶことが大切です。故にこの2−2−1ゾーンプレスの攻略法としては2つ。
まず1つめは、コート中央の空いたスペースにパスを繋ぐことです。中央に配置した選手にパスが通れば、1列目の2人を一気に超えることができます。
もちろん敵に囲まれるので素早く他の選手にまたパスをつなぐ必要がありますが、囲まれた状態からパスを捌ければ、一気にチャンスは広がります。なのでこの中央のスペースにはビッグマンを配置することが多いです。
2つ目は、2列目を超えたサイドライン際のスペースにパスをつなぐことです。ここまでボールを持ってくれば、プレスをほぼ攻略したと言っていいと思います。
2列目の選手としては当然、自分の裏にパスを通させないために頑張る必要がありますが、プレスが遅れてしまうと即ピンチにつながります。
2−2−1ゾーンプレスの機能不全
FEは昨日の試合の2Qからこのプレスを仕掛けましたが、早々に攻略をされてしまいました。
例えばこのシーンでは(1:29~)、先程書いた2つ目のサイドライン際のスペースにボールを運ばれ、ルイスにノーマークの3ptを沈められてしまっています。
このようにプレスを掻い潜られた後はピンチになってしまいがちですが、もう1つプレスが抱えている問題として「ミスマッチがつくられやすい」というものがあります。
2-2-1を破られフロントコートに運ばれた後は、そのまま2-3ゾーンを組むことが多いのですが(昨日の解説者もそう見間違えていました)、FEはゾーンではなくマンツーに移行します。
相手がボールをゆっくり回していればうまくスイッチしてミスマッチを解消しますが、昨日の信州のようにそのままオフェンスを継続した場合は、ミスマッチのままマンツーマンを始めなければいけません。
以下のシーンでは(1:07~)、ゾーンプレスの流れは写ってはいませんが、ゾーンプレスによって生まれた杉本ーマッツのミスマッチをそのまま生かそうと、マッツがドリブルを始めたため、オマラがヘルプのためにステイします。
そのため、オマラがついていたアキノがフリーとなり、3ptを打たれてしまったのです。
また他のシーンでも、ボール出しをしたトンプソンが上に書いたコート中央のスペースに走りこむなど、信州がFEのゾーンプレスへの準備をしてきていることが随所に見られていました。それを見たからか、FEは早々にこのゾーンプレスを断念していたように思います。
修正案
ではどうすればいいのか。自分としては、ボールを積極的に取りに行くのか、時間をかけさせればOKなのか、今一度目的をはっきりさせたほうがいいように思います。
時間をかけさせるのが目的なのであれば、先程も紹介したこの動画のように、2列目の選手がそこまで前に来なくてもいいでしょう。
ボールを積極的に取りに行きたいのであれば、下の動画(1:15~)のように、2列目の選手がプレッシャーをかけてサイド際の選手にパスを誘導し、3列目の選手がそれをカットしに出る必要があるでしょう。
また、空いた3列目には、2列目でプレッシャーに行かなかった側の選手がスペースを埋めに来る必要があります。これをオマラやルークに求めるのは酷かもしれませんが、この2-2-1でボールを取るには、ここまでの連動性が必要となります。
まとめ
昨日の試合で、おそらく準備してきたであろう信州にうまくプレスを攻略されてしまいましたが、これからCSをかけた試合が続くことを考えると、今日以降も続けて使っていく必要はあるでしょう。どのような修正がなされているのか、見ていきたいと思います。