2023.12.29vs秋田 他3人の重要性

 昨日はディフェンシブチーム同士の拮抗した試合でしたが、後半を24失点に抑えた秋田のディフェンスが上回ったと言えると思います。その鍵は、PnRに関わっていない他3人の動き、位置だと考えます。


ちょっかいをかける

 秋田のPnRに対するディフェンスは、ハードショウというものを多用します。FEが多用するスイッチとは違い、センターがハンドラーにプレッシャーをかけた後自分のマークマンに戻るのでミスマッチを解消し、オフェンスとしてはただ何秒かを消化しただけ、という結果になります。

 しかしこの、「センターが自分のマークマンに戻る」その瞬間にフリーが生まれるのが弱点です。そのため秋田は、他の選手がカバーするわけです。

 例えばこのシーン(2:53)では、ハビエルが中村にショウしている間にオマラが中に飛び込んでいますが、そこに赤穂がチェックすることで、逆速攻に繋がっています

 また、例えば3Q4:30、一瞬のズレから中村が果敢にドライブを仕掛けるも、コーナーの佐土原についていた田口が絶妙のポジションから腕だけ伸ばし、中村のドリブルをやめさせています。ボールを持つしかなくなった中村は、選択肢を1つなくした形でザックにアタック(わざとじゃない!)、タフショットを強いられています。
 もし田口がもっと中村に寄っていたら佐土原との間のズレは大きなっていましたし、腕を伸ばしていなければ中村はゴール下を通り過ぎてザックを引きつけた後オマラにパスを出す、という選択肢もあったでしょう。
 このように、周りにいる選手のズレを広げないディフェンスはとても大切になります。(因みに中学時代の顧問はこれを「ちょっかい」と呼んでいました。見事なネーミングセンスだと思います。)

スタッツに表れなくても汗をかける男、中山拓哉

 特にいい働きをしていたと感じるのが中山です。スタッツこそ、FG1/6の2得点、ターンオーバー3など、貢献度は−2となっていましたが、とにかく目立たないところでいい働きをしていました。

①4Q開始
 ゴール下で杉本がカーターにスクリーンをかけると、JJのシールを防ごうと中山はバンプ。杉本のスクリーンが外れてウィングに走ると同時に追いかけ、オマラのスクリーンにぶつかりつつ杉本にフルディナイ、パスを入れさせません。
 恐らくこのポゼッションでは、杉本のスリーがファーストオプションだったので、中山一人に潰された形だったと言えます。

②4Q9:05
 同じく杉本にマッチアップする中山。外で笹山とオマラがPnRを仕掛けるのに合わせて杉本がゆるゆると内側に入ろうとするのを、中山が全身で止めています。これは恐らく杉本がザックにバックスクリーンを仕掛けようとする(スペインピック)のを、防いでいたと思います。しかも笹山がそのままペイントに侵入すると、杉本から離れ、ザックが笹山にケアすることでフリーになりかけたオマラにヘルプに向かいます。素晴らしい判断力と身のこなしです。

③4Q58秒
 サイドラインからボールを入れるシーンです。中村についている中山は、中村が審判からボールを受け取った時点から、リングではなくトップに背を向けて守ります。しかも数秒経ったところで敢えて中村から遠ざかっていますが、これは杉本がトップに来た瞬間と重なっています。まるで背中に目があるかのような動き。トップでもらうことを諦めウィングに降りたところであえなく5秒となってしまいます。
 恐らくは、トップで杉本をフリーにさせるセットを読んだ秋田のスカウティングの賜物でしょうが、その遂行力たるや見事なものです。。

オフボールマンの重要性

 では、この「他3人」に働かせないためにはどうするか。それは他3人につかれているオフェンスの「他3人」が、ディフェンスを引きつける動きをすることです。

 この笹山の3ptは、オマラ以外の4人がしっかり動くことで生まれています。
 オマラの攻撃力を恐れた秋田は、トップから中山がダブルチーム気味につき、ペイントには赤穂が待ち構え、カーターと長谷川はアウトサイドへのパスをケアするポジションを取ります。
 すると、一瞬の隙をついてJJがペイントにダイブ、カーターはついて行かざるを得なくなり、その間に笹山はオマラから離れた位置へ。
 それだけなら長谷川も対応できそうですが、同じタイミングに杉本が赤穂にスクリーンをかけ、佐土原をフリーにしようとします。長谷川は杉本について行き、スイッチをして佐土原にチェックしているその瞬間に、フリーの笹山にボールが渡っているわけです。

 秋田のチームディフェンスはやはり強固なもので、チームとして機能させないためには、こちらも得点に直接関係のない動きでもやり続けることが大切です。
 ロスターも少なく体力的に厳しいですが、何とか勝利して新年を迎えたいですね。

追記 前から名前を挙げていますが、オフボールマンの動きについては、この本が超オススメです。


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