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運命のWalesとの出会い

こんにちは。
Made in Walesのモノを集めたセレクトショップ「Cymry(カムリ)」です。(現在、開店準備中)

イギリス滞在を頭の中で思い出す時、まず頭に出てくるのは、人の顔。
その人の話す姿、その人と話したこと、その人と一緒にしたこと。
思い出深い記憶には、必ずそこには“人”がいます。
楽しかったことも、もちろん嫌なことも。

混乱真っ只中の渡英

2016年、EU離脱が決まった大混乱の国民投票日に、不運にも(?)イギリスに下り立ってしまった私。ヒースロー空港についてiPhoneをWi-Fiに繋げたら、友人や家族から「大丈夫?」と、心配のLINEがたくさん入っていました。おそらく日本で、EU離脱が決まりイギリスがざわついている!というニュースが流れていて、その頃はテロも多発していたので、かわいそうにと思ってくれていたのだと思います。

なんのリサーチもせず、今振り返れば国民投票日くらい調べてフライトを取るべきだった気もしますが。。当時の私は、もう海外生活のワクワクで周りが何も見えていませんでした。ロンドンではどこに住もうか、どこの語学学校に行こうか、いつ他の都市に行ってみようか、そんなこれから起こる異国での生活に胸を踊らせていました。

周りの心配をよそに、地下鉄(現地ではtube)に乗ってワクワクドキドキ、興奮の最高潮。その時は、全くWalesに住もうという発想は微塵もなく。ただロンドンに半年くらい滞在したら、田舎に移り住もうということだけはなんとなく決めていました。

トレランレースを通して出会ったWales

ロンドンでの生活が始まり、まずトレイルランニングのレースに出場しようとレースを探していました。それで見つけたのが、WalesにあるBrecon Beacons国立公園内の、Black Mountainsという山で行われるレースでした。レースは朝スタートなので、ロンドンから電車とバスを乗り継いで4時間以上かかる会場には前日入りをしないといけません。レース会場周りの宿を探しますが、田舎すぎて1-2軒ほどしかなく、しかも満室。そこで、友人に教えてもらっていたAirbnbを初めて使うことにしました。

「知らない人の家に泊まる、しかもイギリスで」
なんだか色々不安要素が満載でしたが、そうも言ってられず。レース会場の町には数件のAirbnbをしている家があり、写真とレビューで老夫婦が住んでいる家に決めました。

Walesでの最初の記憶は?

と聞かれたら浮かんでくる顔、それはそのAirbnbのホストであった、スーとマイクです。今でも、4時間の道のりを経て最寄りのバス停で降り立った時、私を待ってくれていたマイクの姿を鮮明に思い出せます。知らない人の家に泊まるという不安が、イギリス紳士らしい清潔感と物腰の柔らかさで、一気に吹き飛びました。そして、家について出迎えてくれたのが、パートナーのスー。まずはお茶でも飲みなさいとキッチンに招き入れてくれて、温かい紅茶を出してくれました。その時の、キッチンに立つ彼女の後ろ姿と、優しい紅茶の匂い。目を瞑るとその時の情景が蘇ります。

こじんまりおしゃれなキッチン
水色の壁紙が爽やかな部屋
「家具はIKEAが多いのよ」と教えてくれた2人のリビング。IKEA感ゼロ。

出会いの場としてのAirbnb

見出しの言い方が、少し良くないですが。笑
スーとマイクの家に泊まった夜は、リビングでコーヒーを飲みながら、お互いの話をたくさんしました。いろんなゲストを迎えていたようですが、日本人女性がたった1人でこんな田舎に、しかもトレイルランのレースに出場するためにきたこと、そしてアーティストのスーが昔から谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」が大好きだったこともあって、とても興味を持って話を聞いてくれました。そんなこともあり、ただの「宿泊提供の場」としてのAirbnbは、私にとって「出会いの場」となりました。

もちろん旅に出て、ホテルに泊まることも快適ですが、やはり旅の思い出は、人との思い出。のちに振り返ると、そこで出会った人との顔がしっかりと浮かび、もしかするとそれがきっかけでいつまでも連絡をとりあえる良き友人となるかもしれませんし、むしろそこに住もうというきっかけをくれるかもしれません。私が、Walesに住もうと決めるきっかけをくれたスーとマイクのように。

大好きなスーとマイク。今でも時折連絡をとり、ショップではスーの作品も準備中。


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