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『知の仕事術』(池澤夏樹著)を読んで

人間を人間足らしめているものは何か。

大学時代友人とこういう問答をしたことがある。何が人間と動物とを分け隔てているのか―

私は、(今も変わらず)「知的好奇心」だと思っている。
「知りたい」という気持ちが、農業にしろ狩猟にしろ、科学技術にしろこれまでの人類の発展を支えてきたものだ。
そして人と人との営みである社会の中で生きていくのにも、人への関心(好奇心)無くしては生きていけない。そして仕事をするにあたっても、自身が責任を負っている仕事を探求する心が無いと良いアウトプットは出せないだろう。
知的好奇心の先には「知性」があり、それによって人生をより良く生きていけると個人的には思っている。

今回取り上げる著作は、生きるためには必要な「情報」「知識」「思想」という「知性」のもとになる各要素をどのようにアップデートしていくか、著者である池澤直樹氏のノウハウを示したものである。

本書では以下の12のテーマについて、エッセイ風に著者が実際に行っている(過去行っていた)仕事の仕方や情報の整理の仕方を紹介。

1.情報を集めることについての新聞の有用性。
2.本の探し方
3.書店や図書館の活用方法
4.本の読み方
5.本の扱い方(マーカーで線を引くとか)
6.本を蔵書として取っておくか、手放すか
7.時間管理方法
8.取材でのメモや記録の取り方
9.他者とのコミュニケーション
10.アイデアの整理と書く技術
11.語学習得法
12.インターネットや各種ガジェットの使い方

やはり(というと非常に怒られるかもしれないが)、これをすれば一気に「知性」が身に付くなんて方法は無い。
池澤氏が行っていることは、至極真っ当な、地道なこと。やってみる分にはすぐ出来そうと思わせられる。

ただしかし、そのような地道なことを続けていける継続性、
そして新しい/良いと思ったものは積極的に取り入れていく柔軟な姿勢(インターネットや電子書籍は積極的に活用していく姿勢が述べられている)、
これは、生半可な気持ちでは出来ないし、持つことは簡単ではない。

普段は著者は仕事術など披歴しないということであるが、仕事において真に大事なことは述べられている技術ではなく、続ける/取り入れるという姿勢なのだなぁ、と改めて気づかせてくれた。

頑張って生きていこう…

(P.S.)
何故か南の島のティオを久々に読みなおしたくなった。ココロ洗われる本をそろそろ欲してきたかな…



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