サッカーを楽しむ原点づくり
6歳の息子にそろそろ何か習い事をさせようかと考えていたところ、小学校で配布された地域サッカークラブの無料観戦チラシがキッカケとなり親子で観に行くことになりました。
息子の性格から観に行ったらサッカーをやりたいと言うことは自明なので、サッカーを始めるまでにどうしたら、より楽しく続けてくれるのだろうと試行錯誤しています。今回は、その辺りを書いてみようと思います。
いきなりサッカーを習わせない
「子どもがサッカーに興味を示した=サッカーを習わせてみる」と成りがちですが、子どもは何でも一生懸命になるので、いきなりサッカーを習わせるとボールやテクニックばかりに集中してしまうのが当然の流れです。
サッカー経験者であれば、いろいろとアドバイスできるのかもしれませんが、サッカーど素人の我が家ではそうは行かないため、サッカーを習う前に意識して取り組んでいることが2つあります。
観察する眼と俯瞰する眼
チームスポーツであるサッカーをするのであれば、プレーそのものとは別の視点(観察、俯瞰する眼)も自然と体験させておきたいなぁと言うのが1つ目です。
サッカー文化の定着している国は、”観る”と”する”という行為が自然と生活の中にあるような気がします。スタジアムでトップチームの観戦もしかり、路地裏でのサッカーもしかり。でも、この環境が実はものすごく大事なのではないかと直感的に思っています。
本質的な楽しさの体験
2つ目は、サーカーの本質的な楽しさを体験しておくことです。環境に影響を受けやすい子どもにとっては、いきなりサッカーを習うことは、サッカーの楽しさを知る前に、嫌になる要因を作ってしまう危険があります。
小さな子供の頃は少し経験した子供との技術やフィジカルの差などが大きく出やすく、「あの子はできて、自分はできない」という不要な劣後感を体験しやすい時期でもあります。
また指導の名のもとに、余計なことを大声で浴びせている光景も残念ながらまだ目にします。
では、そのような状況でもサッカーを続けるために必要なものは何かと考えると、それは「本質的な楽しさを体験しておくこと」だと思っています。
スタジアムで観る&応援する
観察&俯瞰する眼を養う?サッカーの本質的な楽しさを体験する?具体的にどうすればいいのだろう?
悶々と考え行き着いたのが、スタジアムで観戦&応援することでした。
実際にボールを蹴るのは親子でする程度に留めておいて、スタジアムでサッカーを観る&応援するという体験を通じて、サッカーの本質的な楽しさを子ども自身の感覚で発見してもらおうと考え、スタジアムに通うことにしてみました。
スタジアムに通って、子どもなりにサッカーの楽しさを発見して、やりたいと強く感じるならば本格的に習わせてみてもいいかなと考えたわけです。
スタジアムで観戦するということ
実際に親子で何度もスタジアムに足を運ぶということ、これが重要だと信じて今も通っています。
テレビで切り取られたサッカーを観るのではなく、重要なのは連続性のある実体験。スタジアムに何度も足を運ぶのは、非日常的な時間とその前後も含めたプロセスの連続性(ストーリー)から体験を通じた楽しさを見つけて欲しいと思うからです。
スタジアムで得たい4つの体験
6歳の子どもなので頭で理解すると言うよりも体験することを重視しています。親としてやることは、体験から学んで欲しいことを整理して、その体験ができる場所を見つけて一緒に入っていくことです。最初だけサポートすればあとは自分でやってくれます。子どもの順応性は凄いです。
体験してほしいことはたった4つ。楽しいの根底にあるもの、楽しさを広げてくれるものを体験してもらって、親子のコミュニケーションの中で、自分の言葉で言語化できよう手助けをすることを心掛けています。
【観察】人の心が動く光景を見ること
初めてスタジアムに行くと子どもは圧倒されます。スタジアムは感情の渦で揺れています。子どもは最初、全く意味が分かりません。何をしていいのか戸惑うばかりです。だから、何が起きているのか必死に観察を始めます。なぜ大人たちが喜び、悔しがり、あんなにも熱中してピッチを観ているのか。いつ次のムーブメントが起こるのか。
子どもが生活の中では、絶対に体験しない非日常空間が目の前に広がっていて、最初は怖がるかもしれません。しかし、親が周りと同様に歓喜する姿を子どもに見せると徐々に子どもの視界が広がっていきます。
ここで学んで欲しいことは、
この辺りの感覚や因果関係を、息子とコミュニケーションしながら言語化していくことに労力を割くようにしています。
【表現】自分の感情を素直に表現すること
最近、感情を出したらあかんみたいな風潮を感じることがあります。大人は節度持てって話ですけど、子どもにまでそれを押し付ける感じが嫌でたまりません。感情の表現方法を歳と共に変えていけばいいだけであって、抑えることが先に立つ必要は全くないと思っています。
喜びや哀しみを表現することが恥ずかしい、、、これどうなんでしょうね。
しかし、スタジアムに行くと、そこは感情の塊なわけです。喜怒哀楽は当然、得点したときの歓喜の行動&喜びの言葉、失点の悔しさを切り替えて選手を励ます言葉、選手を鼓舞する言葉や行動、実に様々な感情が表現されています。
しかも、コアサポに近づけば近づくほど、感情の表現は豊かになります。もうコアサポに近づく他ありません。コアサポにどのように飛び込んでいくのか、ここは親の勇気の見せ所です。
ここで学んで欲しいことは、
とくに2番目の感情のコントロールは、スタジアムに通うようになってから劇的に変化していることを感じています。
【尊敬】憧れの選手を見つけること
憧れの選手の真似をしたり、選手の言葉を覚えていたり。子どもにとってあこがれの人を持つということはとても重要なことだと思っています。まして、目の前のピッチで憧れの選手が躍動していたら。
アップから試合中の動きまで、子どもはつぶさに見ようとします。その集中力と観察力には驚かされます。テレビではフレームアウトして分からないこともスタジアムに行くからこそ楽しめることがあるのです。
そして、子どもはあこがれの選手が活躍し観客を湧かせると、自分のことのように喜び胸を張り、怪我をすると自分のことのように心配します。
ここで学んでほしいことは、
子どもにとって憧れの人は程よい近さがあることも重要かと思います。スタジアムで直接会話したり、身近でプレーを観ることがより深い愛情を養ってくれていると感じています。
【協調】一緒に応援すること
昔のように地域のお祭などで世代を超えた交流というものが、特に最近は減少しています。学校でもチーム対抗で競い合うといったものはあまりなく、集団で協調する機会というものがめっきり減っている気がします。
しかし、チームスポーツであるサッカーでは無視することのできない能力です。ホームスタジアムに行ってホームチームを応援することで、目的を同じにした集団と一生懸命に応援し、喜びや哀しみを分かち合うことで芽生える仲間意識、一体感。集団の中で自分の役割を探し実行していくことの達成感。選手へ想いが届いたときの喜びなどなど。
日常にはない感覚や役割を心の底から楽しんでもらいたいのです。
ここで学んでほしいことは、
応援に込められた想いを集団の中で体験することは、いずれプレーをする立場、応援される立場になった時に何かしらの力になると信じています。
好きになったらプラス2つ
このように体験を通じた楽しさを探しながら、スタジアムに出向き、コアサポに加えて頂いて親子で応援しています。応援の回を重ねる度に息子は応援するクラブが好きになり、サポの皆さんと一緒に応援することを楽しむようになりました。
そして案の定、サッカーが好きになったようです。なので、最近はさらに2つのことをプラスしてスタジアムに行くようになっています。
【目標】目標を決めて現在地点を認識する
目標については、応援している奈良クラブがちょうど①Jリーグ昇格、②JFL優勝という目標を掲げていて、ともに狙える位置にあったので、その目標を息子と共有して試合の前後で現在のポジションを確認するようにしています。さらに、試合結果が目標に与える影響なども最近は話し合うようになっています。
【目的】観るポイントを決めてサッカーを観戦する
ただ応援するのではなく、ひと試合ごとに観るポイントを決めて応援するようにしています。GKとMFの選手が好きなので、その選手が試合中にどんな動きをしているかや、どんな声がけをしているかなど簡単なことでいいので一つだけ決めて、試合が終わった後に気づいたことを教えてもらうようにしています。
今まで知らなかったことを自分で発見する、見つける楽しさ、知る楽しさを体験してもらうのが目的です。
最後に
息子はまだサッカーを習っていません。ぼちぼち習わせようかと思っています。今、本当にサッカーが楽しくて会話の殆どはサッカー。この今の楽しい、好きだという気持ちと、その環境を創り出してくれている場所・仲間を忘れないで欲しいなと思っています。
私はサッカーのド素人で、やったこともなけりゃ付き合いでJリーグの試合を観に行ったことがある程度です。
ただただ、子どもたちの楽しい、好きを応援するだけ。
唯一の親としての希望は、子どもたちが成長して独り立ちした後も、私はひっそりと地域クラブの応援を続け、たまに子どもたちが地元に戻ってきた時に「久しぶりにサッカーでも観に行くか!」と言えるような状況であったら嬉しい。
そして今、地域クラブを応援し、スタジアムで模索している楽しさが、子どもたちにとっての楽しさの原点になっていればいいなと思っています。
いつしか楽しさの原点へ回帰することがあれば、それが地域愛となり自分の育った地域へ小さな貢献ができる一人となってくれれば、親としてこの上ないと思っています。
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