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2泊3日125キロ、ナーエ川沿いを行く自転車の旅

6月最初の週末は聖霊降臨祭の月曜日の祝日も含めると3連休、かつ「9ユーロチケット」が使える最初の週末ということもあり、友人たちに有難いお誘いをいただいて2泊3日の自転車の旅に行ってきました。楽しかった旅の備忘録も兼ねて、多くの「よかったこと」と少々の「もうちょっとよくなったらいいこと」を綴ります。

よかったこと

あ)グループで旅すること

舗装されたてのサイクリングロードを行く旅メンバー
あまりの気持ちよさに目的地とは逆に進んでいることを6キロ分気付かず

2020年と2021年は完全なコロナ禍なのでそんな機会はそもそもなかったが、それ以前も自転車旅のメンバーと言えばスウェ夫(スウェーデン人の夫)と私のふたりのみだった記憶しかなく。スウェ夫の自転車スタイルは独自色が濃いのに準備薄めで、これまで色んなしわ寄せを喰らってきたが、今回はドイツ的安定感のある旅運びに通常私一人にのし掛かる不安が大幅に緩和。スウェ夫の個性を他の人と共有できたのもプライスレス。ドイツ人ふたり、日本人ふたりにスウェ夫というメンバーで、5人共通のコミュニケーション言語がないにも関わらず、会うのが2度目の人にも状況を楽しんでもらえて本当によかった。そんなグループの旅はクセになりそう。

い)レンタルした電動アシスト付き自転車

1日19ユーロ、1度のブッキングで最大4日間レンタル可能。
キャリアの荷物はスウェ夫のリュック

約1年前に90年代生まれの天塩にかけたブロンプトン2台を盗まれて以来、自転車というモビリティを所有しない状況が続いている我々。犯行現場であるうちの裏庭に安全な駐輪スペースはなくとも、使えるシェアサイクルシステムは身近にいくつもあるので必要時に必要な自転車を借りている。今回私はオッフェンバッハ市のシュタットヴェルケが提供する電気モビリティサービスの電動アシスト付き自転車をゲット。今まで何度か使っているが、フレームが160cmの私に合い、サドルも気持ちよくタイヤが太めというのが好ポイント。電動がどんな勾配でも並走でお話できる快適さを与えてくれ、体力的自信のなさもカバーしてくれるのは心強い。アプリで貸出返却するが、iOSと比べてアンドロイドのアプリは大層使いづらいらしく、Fairphone持ちのスウェ夫はそれを嫌厭して私が定額で借りている7ギアのSwapfietsに乗ることに。一瞬ふたりとも電動なし自転車を検討したが、私にはこの選択が大正解だった。

う)ルートと携帯した食糧

3日目のワイン畑が広がる最も高いポイント、電動なし自転車なら私は根を上げて駅へ向かいそう

ルートはザールラント州のナーエ川源泉からライン川との合流地点へ向かう約135キロのサイクリングロード。ほぼ下りではあるがたまに急な登りもありオフロードの区間もあるので、Swapfietsというシティ車で雨上がりの足元でもビクともせずにスウェ夫はよく走ったなと感心。以前スウェーデン南部でスウェ夫のルート無視に付き合った結果、軍用地の岩場のような地面をブロンプトンで走る羽目になった(どうやらオフロードxシティ車育ちらしい)。それはさておき、ルート完全制覇ではなく端と端を切り落とし、45、45、35キロという配分かつ電動アシストは節約気味に走ったが、身体への負担は軽いままでよかった。この工程を2日間に分ける案もあったが、何かに挑戦したいわけではないのでこんなリラックス具合が私は好み。

2日目お昼のパンパーティー@ナーエ川沿い
旅メンバーは皆基本的にベジタリアンかヴィーガンなので、そんな感じの食糧セット

持つべきものは旅友だち。普段都市部で生活していると、生活インフラ少なめのエリアの日曜日と祝日の状況に想像力がちょっと及ばない。閉店法により日曜日と祝日は基本的に店が開かないドイツ。都市部なら中央駅構内のスーパーのような最後の砦があるが、今回のルートだと運がよければ開いているパン屋にありつけるかどうかというところ。メンバーのひとりが事前にメンションしてくれたおかげで2回分のランチくらいの食糧は忘れず携帯。土曜日出発前に買ったナツメヤシとくるみ入りのお気に入りのパンと、木曜日に通りかかったマーケットでゲットしたパンに塗るもの2種とオリーブ3種。ちょっと辛めを揃えてしまったが、パンの甘みが少々中和してくれた。生物もあってもいいかもしれないが、食糧の温度管理無用の方がスウェ夫と私には合っている気がする。愛用のメスティン2つとパンは、レインポンチョ含めた救急セットとともに廃番となってしまったフライターグのJoanにぴったり収まり、Swapfietsのハンドルバーに装着。

え)天気と装備

フードがシャワーキャップみたいになっているレインポンチョはかなり目を引く
水色のCobagsに入っているのはフェールラーベンのデイパック

多くの人はパッキング時に天気予報を見て服装を考えて詰めるのだと思うが、プランニング能力がどうも乏しいスウェ夫の基本の着の身はコットンかウール限定。2日目は雨の様子を見ながら走ること確実だというのに、防水加工のあるような人工素材はきらいの一辺倒。ゲームならぬ"旅チェンジャー"の芽が出ぬよう携帯した、いつか日本で買ったきれいな上に目立つレインポンチョは案の定活躍。私はパタゴニアのレインジャケットとマウンテンウェアハウスの速乾性のあるズボンが、雨ありでもなしでも気温20度前後の気候にちょうどよかった。しかし不安定な雨模様ななか、何より有難いのは気象局お勤めの旅メンバーがレーダーを読んでくれることです。1日目の24度前後の晴天、2日目の何度も降りつつも徐々に上がっていく雨模様、3日目の20度前後の涼しい晴天と、特に2日目は一定ではないお天気を満喫できる瞬間がいくつもあった。

春や夏場の2泊3日の移動なら20Lのデイパックが私には頃合いだが、これがぴったり収まりキャリアに固定できるCobagsを使えば、例えばこんな自転車バックを買わずとも楽に荷物を持ち運べること、最近かなり気に入っている。どんなカバンでも自転車バックにしてくれるのはすばらしい。また自転車から降りてシャワーした後は、eBayでずっと売り損ねているテロテロ夏パンツの出番だと大発見。軽くシワが気にならず気分も変わってよし、普段無臭派だが練り香水なんかがあったらもっとよかったかもしれない。

お)自転車フレンドリーなお宿

bett+bikeのロゴは新しくなって本当によかったと思う

三連休ということもあるのか宿の選択肢がたくさんあったわけではなかったが、1泊目のトリアー大学の環境キャンパス内にあるホテルは、施設も新しくADFCのベット&バイク認証付きの自転車の旅にやさしいお宿だった。夜ごはんはデリバリーをテラスでと思ったが、デリバリーしてもらえなかったので2キロ先までピックアップ。22時頃までほんのり明るく気持ちのいい夜をおしゃべりして楽しんだ。

部屋のテラスから見える駐輪施設、部屋の鍵で扉は開閉できる
45部屋67床という宿泊施設に24台分のスタンドと12のコンセント差込口が待機

私が使った電動アシスト付き自転車にはボッシュのEバイクシステムが付いており、4段階の電動アシストの1段目(エコモード)だと100キロ以上は走れそうというフル充電状態からのスタートだった。あったら便利そうなので充電器を買おうかなとも準備中にふと思ったが、セーブして充電器不要作戦に出ることに。しかしそこも持つべきものは旅の友。自前のもう1台の電動アシスト付き自転車用の充電器が使えることが判明、予想よりも減りが早かったのでここで充電させていただいた。

2泊目のお宿はその集落で最もよさげな1泊目とは全く趣の異なるホテル。ベット&バイクに載っていたわけではないが、屋根付き施錠機能のあるガレージに止めさせてもらい、60年代からちょっと時が止まったようなクラシカルな雰囲気と夜と朝の食事を味わい、白熱のカードゲームをくり広げた。

もうちょっとよくなったらいいこと

か)自転車の電車内持ち込み

帰りの電車をホームで待つ
ちなみにここの駅は階段しかなく、電動アシスト付き自転車は二人で持ち上げて運んだ

ロシアへのエネルギー依存度を下げ、気候環境にやさしい公共交通でのモビリティを促進するという目的で、ドイツ政府は6月から8月までの3カ月間、月当たり9ユーロでドイツ全土の近距離・地域交通がほぼ乗り放題という政策を実行した。この9ユーロチケットが有効となる最初の週末かつ連休なので、行きも帰りも当然混雑を覚悟してうまく自転車とともに電車に乗らなければならない。この旅で唯一緊張したのは駅のホームだった。

土曜日の昼ごろ、フランクフルト中央駅から目的地まで乗り換えなしで2時間ほど電車に揺られるべく、始発となる駅のホームに我々の電車が進入するのを待ち構えた。しかし車掌は2両編成の車両のうちひとつをブロック。乗り込もうとする少なくない乗客を1車両に詰めこみ、そして「自転車は空いている鈍行に乗れ」と謎に自転車を持ち込んでいない乗客に言っていた。その他の言動からも自転車か自転車持ち込みを嫌がるタイプの車掌であることは明らかだった。我々4人はどうにか自転車共々無事に乗り込みに成功したが、途中の駅から乗車予定の1人はそんな車掌のハンドリングも影響し乗り込めず、1時間後の次の電車で目的地に到着。帰りの月曜日祝日は既にばらけていたのでスウェ夫とふたりだったが、最初に乗ろうとした電車は「自転車ダメ!」とホームに降りた車掌が声をあげたので見送り、マインツ中央駅を目指す次の電車にはどうにか乗り込めた。乗り換え後の鈍行は編成も長く自転車やベビーカーゾーンも箇所が多いので、割と自転車を乗せやすかった。

2日目は雨を避けて2駅ほど電車移動。空いていてよかった
最大12台このスペースに入る

今回の移動エリアは自転車持ち込みに追加の料金がかからないので、混雑する車内においてスペースを取る自転車に対する風当たりが強めなのだと思う。自転車チケットの有無はそのタリフ圏によってばらばらで、無料のところもあれば大人1枚と自転車1台が同じ値段のタリフ圏もある。折り畳み自転車は折り畳めば荷物と化して自転車でも無料なので、そのストレスフリーな感じに慣れてしまうと、料金を払うから自転車に対してちゃんとした扱いとスペースを用意してほしいと思ってしまう。人をクルマ依存に向かわせないモビリティは強化されるべきなのだから。

き)抜かりない準備

忘れたものリストです。
・携帯の充電ケーブル(パワーバンクは持っていたのに。。)
・荷締めベルト(付属のひとつだけでは不十分でした。。)
・賞味期限の長い黒パン(3日目にやはりパン屋に振られたので。。)

これらの全部を借してくれたり差し出してくれた旅メンバーに感謝 <3

雰囲気はこちら⤵️


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