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日記ふうエッセイ【ひび】

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2023年8月の記事一覧

【日々】あのポジフィルムがほしい|二〇二三年八月

二〇二三年八月十八日  青空とまっしろな雲、洗濯物。夏三点セット。おおきくうつくしいアゲハ蝶が、ひらひら舞い降りてくる。すこしだけ、並んであるく。となりにいるのがうれしくて、目線を送ったらその途端にどこかへいってしまう。立派なあの子は、過酷な芋虫時代を生き残って今ようやく、さいごの煌めきを全身で放っているんだ。わたしはさいごに、輝けるだろうか。  いつもの電車に間に合った。汗だく。でも、落ち着いている。これでいい。きょうはいつもより人がすくなくて、ロングシートのとなりにか

【日々】やみあがる|二〇二三年八月

二〇二三年八月十四日  目を覚ますともう差し込む日差しはオレンジに焼けている。寝過ぎて頭が重い。起きあがるのも億劫でちょっと迷ったけれど、気合いで身体を起こす。この数日ずっと寝ついていたせいで汗と垢と夏の世から取り残された無念をたっぷり吸ったシーツを剥いで、洗濯かごに放り込む。軽く床を拭き掃除。数日前、高熱で会社から早退してきたまま、気力もなく散らかしていたものどもをすこし片づける。適当なTシャツ・短パンに着替えて外に出る。暑くない。ああ、外の空気だ。  夕焼け、入道雲、

【日々】夏雲にしがみつく|二〇二三年八月

二〇二三年八月一日  寝つくのにずいぶん難儀したせいで、なかなかベッドから起き上がるための気合いが出ない。窓の外はいつもより暗い。八月は精力的に手を動かす月にしたいとおもうけれど、さっそくきょうは朝の時間がつくれない。とりあえずSNSで今月はやるぞ! と宣言しておく。何の意味があるのかは、わからない。  職場の最寄駅につくころには、ゴロゴロと低くおなかに響く音が鳴りはじめている。時折ピシャリピシャリと世界が光る。遠くに少しだけ青空ものぞいているけれど、そこからさすわずかな

【日々】打撲痛と鼻毛抜き|二〇二三年七月

二〇二三年七月二十四日  いつも比較的すいている一本早い電車に頑張って間に合わせて、ロングシートに腰を落ち着ける。これでゆっくり本が読める。そうおもってカバンをあけると、ない。忘れてきた。汗だくでぐったりする。やることがないので「日記」の編集。汗で湿った肌と服がゆっくり冷えてかわいてゆく。  すきなひと、慕っているひとが怒ったり、憎んだり、激しい負の感情を見せているときってどうしてこうも悲しく、こころ落ち着かなくなるのだろう。そういうとき、自分がなにか原因のひとつをつくっ