短歌まとめ_11

直近の採用歌や賞の結果などについて書きます。
※敬称略

新聞歌壇

東京歌壇　東直子選　特選二席　2022.7.31

紙パックジュースを自販機で買って帰る真昼の風　うそがない

東直子さんより評をいただきました
【評】紙パックジュースが自販機に落ちる軽い音が平和な感じと淋しさを醸し出し、淡い風が心地よい。一字空けからの唐突な文言に妙な説得力がある。

2022年7月31日 東京新聞 朝刊より引用

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.8.9

ものよりもことがほしいというきみに預けてみたい人生がある

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.8.29

ホタルイカみたいにひかる性欲を宿してふたり海になってく

読売歌壇　俵万智選　入選　2022.8.29

ひぐらしの堂々とした死にざまをベランダで見せつけられて　夏

東京歌壇　東直子選　入選　2022.9.18

都会ではたやすく生きていけそうだ誰かの指紋に指紋を重ねて

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.9.19

花びらのひとつひとつに触れながらあなたが探している桃源郷

読売歌壇　俵万智選　入選　2022.9.19

露天風呂にあなたと取り残されてみたい人類最後の希望みたいに

東京歌壇　東直子選　入選　2022.9.25

19時には日が暮れている8月の　ひとりになれることは明るい

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.9.26

ああ、あれが最後だったと気づくときするのは線香花火のにおい

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.10.3

思いつくことのすべてに既視感があって秋風の吹くがらんどう

東京歌壇　東直子選　入選　2022.10.23

すき、きらい、花で、あそぶな母さんの泣いてるとこを見たことがない

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.10.24

花の名を漢字で書けば物騒できれいなものはみんなまぼろし

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.12.13

きみはきみでいてよねという迫害を　月蝕　さわれるものが恋しい

毎日歌壇　加藤治郎選　入選　2022.12.19

しんじゃったこころがよみがえるわけがないのにバブのおふろにつかる