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てんてん手毬と秋の空。#毎週ショートショートnote#秋の空時計

ミチルがボールで遊んでいますと手からそれて、コロコロコロと林の中へ行って仕舞いました。ボールを追って奥へ奥へと進みますと、そこには古い門構えの小さな家、奥には綺麗なお庭もあります。「なんて素敵なお家でしょう」ほんの少しだけのつもりが家の中まで入って仕舞いまいた。
ミチルは暖炉の前のゆり椅子に座ります。ゆり椅子もミチルを包み込むように揺れています。そしてそのまま眠って仕舞いました。目覚めると見知らぬ母さんがいて「まりちゃんよく寝ていたわよ、夕ご飯にする」と尋ねてくるので「いいえ、そんなつもりはなく、黙って家に入ってごめんなさい」と謝ろうとするのですが、上手に声が出て来ません。見知らぬ顔した母さんは、どうやらミチルの母らしく、ミチルも、まりちゃんと言う名の娘らしいのです。

てんてん手毬と秋の空
白く浮かんだ昼の月
母さんどこかで見ています
てんてん手毬と時計の針は
ぐるりと逆さに回り出す。

門はギーと音を立てて閉まりました。






最後までお読みいただきありがとうございました。

「てんてんてんまり てん手まり♪」のメロディーが頭の中で再生され続け「それならば」と書き上げたのが今回の作品です。410文字に収めるのに苦労いたしました(汗)

「てんてんてんまり てん手まり」が歌い出しの『まりと殿さま(毬と殿様)』は、1929年(昭和4年)に発表された日本の童謡です。
『まりと殿さま(毬と殿様)』の歌詞は、紀州の殿さまが大名行列でお国へ帰るところへ、手まりが弾んで殿様の駕籠まで飛んでいき、そのまま紀州へ連れて行かれてミカンになるというファンタジーな物語が展開されています。

童謡とホラーと言うジャンルがあるそうです。こちらの『まりと殿さま(毬と殿様)』も調べてみると少し怖い解釈がありますので、調べてみるのも面白いと思います。

今回もたらはかに 様 の企画に参加させていただきました。
たらはかに 様
皆様との交流の場をつくって下さりありがとうございます。




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