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47才のキャンパスライフ 〜慶應一年生ミュージシャンの日々〜 20「英語モードでHi!」

 大学に入学してからというもの、おかげさまで英語に関してはこれまでの人生で最も高い水準の教育を受けています。毎回がちょっとした海外旅行のようで本当に楽しい。先生も授業の内容も、そして生徒の皆さんも最高である。(僕の成績の方は最高とはいかないと思いますが)

 90分の授業の間、だんだんと自分の脳が日本語モードから英語のそれにチューニングされていくのがわかる。バイリンガルの人はこの切り替えが一瞬で出来るんだろうなーと思う。すごい。僕の場合は切り替えが終わった後でもかなり不完全な英語ではあるけど、それでも明らかに日本語を話している時の自分とは違うパーソナリティになっていて、英語で話すことがよりオープンに、かつダイレクトになる。

 僕の英語はクラスメイトに比べて流暢ではないが、ディスカッションの中で話してみたいことはたくさんある。最初のうちは若者たちの発言の時間を奪ってはいけないと黙ってる場面が多かったんだけど、気を遣うと必要以上に疲れてしまうことがこの1ヶ月でわかったし、それでなくてもやはり47才の肉体と精神を労わらねばもたないと思ったので、最近はやり過ぎにならない程度に、積極的に発言するようになった。まあ、ある程度うざい存在になったとしても仕方ないんじゃないかと開き直って。鈍感力も大事である。

 学期末には英語でのプレゼンテーションなんかもある。少しでも自分のレベルを上げて臨もうと、順番はだいぶ後ろの方にしてもらった。自分に課されたプレゼンテーションの内容なんかを考えながら、授業後にブツブツと次の教室に向かって歩いていると、不意に

「こんちゃーす!」

 と声をかけられた。すれ違いざまだったので振り向くと、これまた次の授業のクラスメイトだった。突然だったから焦ってしまったのか、僕はなぜか

“Hi!”

と快活に返事してしまった。頭の中が英語でいっぱいになっていたのだと思う。こんな時に限って普段は出せないようなネイティブライクな発音だった。言ってしまってから

ハーイじゃねぇわ!

と赤面しながら自分に突っ込みまくったが、聴こえたかきこえなかったかクラスメイトはそのまま行ってしまった。

 後から弁明したかったのだが、まあ聴こえなかったという事にしておこう。こういう時もバイリンガルの人ならさくっと切り替えれるんだろうな。やはりバイリンガルはすごい。

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