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【ライブレポ】MyDearDarlin' LIVE TOUR2022 横浜公演(2022.6.15)

2022年6月15日(水)、8人組アイドルグループ・MyDearDarlin’(マイディアダーリン、以下マイディア)が横浜ブロンテにて「GIFT -ANEW-」横浜公演を開催しました。

新たに、という意味の「ANEW」がツアータイトルについているのは、先だって「GIFT」というツアーを2022年年明けから2月にかけて行っており、2/26の2ndワンマンライブで一旦シリーズは終わったものの、次なる目標に向けて再び全国を周ってもう一度ライブを届けたいということが理由だそうです。
前回「GIFT」ツアーが2月26日のZepp Haneda公演を到達点としていたように、今回「GIFT -ANEW-」も7箇所を巡った先にはゴールがあります。
7月11日に東京国際フォーラムホールCにて開催の3rdワンマンライブ「僕らの詩」です。

◆高まっていく気運

3rdワンマンの情報が解禁されたのは春先でした。
数か月先にも関わらず、解禁当初からSNSでのメンバーによる告知には気合が入っていて、この先参加する単独対バン関わらず全てのライブを7.11につなげてやろうという心意気は明らかでした。

「GIFT -ANEW-」ツアー初日の東京公演が開催されたのは5/16です。
ワンマンまであと2ヶ月を切ったこのころから、その熱は一層高まっていました。
サビのフリコピレクチャー動画やメンバーそれぞれから出される動画や画像などの数は、日を追うごとに増しています。
横浜公演まで巡った会場は、東京を皮切りに名古屋、大阪とつづきました。
各地での公演を終え、メンバーが関連ワードでエゴサしていいねするファンの方のツイートには決まっていくつも「3rdワンマン(ツアーの以降のライブ)を取ってしまった」という言葉がありました。
はじめは取るつもりがなかったけど、ライブ後に気が変わったという方が一定数いらっしゃったということです。
それだけライブがよかった。

3rdワンマンの日は平日、それも月曜日なので、二の足を踏んでしまうというか行きにくいところではあります。
さらには会場のキャパが大きいため、ツアー含めほとんどソールドアウトさせてしまうマイディアをしても一瞬で売り切れることはさすがにないであろうと予想し、行くかどうかの選択は保留のままにしている、という方だって多かったかもしれません。
しかし、ひとたびライブの熱に当てられてしまえば、行かない選択をすることは不可能に近かったようです。

かくいう自分も、熱に当てられた一人です。
ツアーが始まるまでは、アクセスの良い東京開催のライブにさえ行ければ十分だと思っていました。
初日の東京と3rdワンマンだけ行けば十分だろう。
他の会場はどこも遠いですし、現実的にはそう思っていたわけです。
初日からワンマンまでに開いた期間は約2カ月。
ツアー初日を終えるまでは、マイディアを見られないこの二カ月間はさほど長いとは思っていませんでした。
対バンライブの間に空いた2カ月ならともかく、ツアーやワンマンともなれば20曲に迫ろうかという充実の長尺ライブですから、余韻でだいぶ楽しめます。
むしろワンシーズンに一回かそれ以上の間隔でしか単独を組まないグループも多い中で、2カ月は短いくらいかもしれません。

しかしその考えは、ツアー初日の終演を待たずしてすっかり変わってしまいました。
これだけ良いライブを2ヶ月も塩漬けにはしていられない。
やはり他の会場も行けるところは行こう。
その模様はここにも書いています。

同じ事を考える人はそれなりにいるだろうという運営の目論見なのか、横浜公演を含むツアー後半のチケットは初日公演の翌日から販売開始でした。
よく考えられています。
結果としてゲットしたのは、この横浜公演とファイナル・岩手公演。
数カ月前まで咲真ゆかさんくらいしかメンバーの名前が分からなかったのに、岩手まで追いかけるというハマり具合になってしまいました。

ツアー中にも関わらず対バンライブを頻繁に入れているマイディアは、ツアーを終えた翌日にも平然と対バンライブに出演していたりします。
初日公演も横浜公演も、翌日には対バンライブがありました。
絶対大変なはずですし、そこまで頑張らなくてもいいとは思ってしまいますが、このことに動かされる心もあります。

同じ形で居続けることが難しいライブアイドルにとって、より上に上がれる機会はグループとしての心技体が揃ったわずかな時間と、あとは運みたいなものによるかもしれません。
もっとも現在のマイディアはフルメンバーではありません。
ツアーを前に、美咲優羽さんが体調不良で療養を余儀なくされました。
しばらく7人でのステージです。
ベストとは言えないかもしれませんが、それでも、グループがこの隙間に勝負を賭けてきていることは明白でした。
自分としても(こちらの事情ですが)いつまでライブを観ていられるかも分かりません。
一時の熱病的なものかもしれませんが、仮にそうなったとしてもいいじゃないかという意識に変わっていきました。
太く短くというのは本意ではありませんが、何年か後に振り返ったとき、だらだら長く見ていた頃よりもこちらのほうが美しい思い出としてよみがえってくるものです。

◆終始張り詰めっぱなしのライブ

ここからライブの内容に入っていきます。
一時間半にわたったライブは、一度たりとて緩む時間がありませんでした。
長尺のライブともなるとメンバーの体力的にもこちらの集中力的にも、ふっとゆるんでしまう時間があったりするのですが、全くありません。
一曲目「ナノLOVE」からずっと首根っこを捕まれたままでした。

◆セットリスト
M1. ナノLOVE
M2. Doki Doki ロングバケーション!!!
M3. Candy Chu!
M4. トーキョーガール
M5. 一生涯オリジナリティ
M6. 七転八起ドリーマー
M7. アイスクリーム
M8. ワガママHOLiDAY
M9. Symphony #5
M10. MDDシンドローム
M11. 青の君
M12. FLOWER
En1. 夏が来る
En2. MyDear
En3. 僕らの詩


いつか目にしたメンバーのツイートには、メンバー同士で日々マイディアの強みは何だろう?とかセットリストをどう組んで曲を見せていこうか?など、侃々諤々とミーティングを繰り返しているとありました。
この日のセットリストは偶発的に生まれたものではなく、熱く戦わされた議論の末に導き出された一つの解だったのでしょう。
曲そのものがとても強く、おとなしい曲がほとんどなくいわゆるライブ向きの曲が多いから退屈しない、というのはあるのでしょう。
でもそれだけではないはずです。

潮が引きそうなところでの「七転八起ドリーマー」でメンバーが一斉に手前にやってくる場面であったり、「MDDシンドローム」「トーキョーガール」など予習必須の曲をどこに配置するかなど、全て計算の上に組み立てられている気がしました。
葉山さんや東條さんがフロアに呼びかける煽りも、繰り出されるのは盛り上がる曲のサビだけではありません。
入れてくるタイミングが絶妙で、上手いなぁと心から感心してしまいます。

ステージを眺めていて特筆したいのが10曲目「MDDシンドローム」でした。
見方がこの日のライブ前後で変わりました。
この曲はイントロからサビまでフリコピしやすい振り付けに終始していて、特にサビで指を指すところなどはメンバーの動きに合わせてフロアのサイリウムが上下する光景が観られます。
マサイも飛び交い、後ろから見ると壮観です。
歌詞はアイドルからファンに対して(恐らく)本音交じりのメッセージが込められていて、普通の恋愛ソングではなくアイドルとファンという少々特殊な関係をテーマにしたというところも心を掴んでくるポイントなのでしょう。

咲真ゆかさんがセンターに立ち、取り巻く他のメンバーが腰を下ろすというフォーメーションがこの曲の始まりですが、電気の流れるような音の中メンバーが立ち位置についた時、それと分かったフロアからは歓喜の手を叩く音が聞こえてきます。
外から眺めているだけでも楽しそうだなと思っていましたし、実際フロアの中に紛れ込んでみても楽しい曲です。

ただこの日、思いました。
メンバーはただ元気や楽しさといった上向きの感情だけで4分間を渡り切っているのではなさそうだということです。
先に書いたように、この曲はアイドルからファンに向けたメッセージ的な意味が込められています。
しかしマイディアメンバーのパフォーマンスを目にすると、メッセージなんて控えめなものではなく、主張というか訴えに近いものを感じました。

耳の穴よくかっぽじって聞け 
アイドルじゃない私までみな愛すと誓え 
全てを捧げよ

ステージ上、高いところからフロアを見下ろしながら、歌詞にある言葉をこちらに本気でぶつけてきているような気がしたのです。
歌詞カードにそう書かれているからそれをそのまま読んでいるのではなく、本心から叫んでいるかのように思いました。

咲真さんがかつてブログでこの曲を丁寧に紹介したことがありました。
その記事によれば、咲真さんはこの曲をパフォーマンスするにあたり「自信満々で自分を持った」雰囲気を出すことを心がけているそうです。

それが一年前です。
いまやその自信は、気圧されてしまうような迫力に昇華されました。
指をさす東條ゆりあさんの姿には、アイドルに対してこんなことを言うのは失礼なのかもしれませんが怖さすらあります。
「ライブ中、みんなの苦しんでる顔を見て元気になる」
東條さんはそう口にしていました。
まさしく苦しめんばかりの動きや表情でした。

よく形容される挑発的な表情というレベルでもなく、もはやどやしつけるような圧で8人(この日は7人ですが)が押してくる。
もちろんそこには楽しさもあるのですが、ふと気付いたときに感じるのはある種の恐ろしさでした。

なまじ曲が強いので、勢いだけで押したっていいようなものなのですが、メンバーには一切の妥協がありませんでした。

◆VJの効果

会場のみなとみらいブロンテは白金高輪Selene b2や恵比寿CreAtoなどの系列のライブハウスだそうで、先の2会場と同じく大きな背面スクリーンを利用した壮大なVJが見どころです。
初めて運んだ会場でしたが、VJもメンバーの大きな後押しになっていました。
Candy Chu!」などメルヘンな曲では心弾むようなポップな画像が盛り立て、逆に「MDDシンドローム」のイントロでは黒地に白抜きの文字で「MyDearDarlin’」とグループ名だけがデカデカと出ていたのですが、「MyDearDarlin’」の頭文字をとっての「MDD」ですから、シンプルな一方でこの上ない主張でした。

本編ラストにかけての「青の君」「FLOWER」では映像のスケールが大きくなり、「青の君」では真っ青な海の上に上半分だけ顔を出した天体?のような映像だったり、「FLOWER」のラストには宇宙を引きで見たかのような映像が現れていました。

◆メンバーについて

メンバー個人へと話を移せば、序盤まず目に留まったのは篠崎麗さんでした。

声質は甘めですが、端々に強さがあり、伸ばしていてまったく落ちてきません。
ぶれない音に聴き惚れてしまう久々の感覚でしたし、良さに気付くにつれ着実にマイディアというグループのことが分かってきたような気もしました。
というのも、グループを知り始めた頃はボーカルに関して印象が強かったのは東條さんでした。
それが、ライブに行くにつれ他のメンバーも凄く良いなと気付き、いい意味で薄まっていったのでした。
もちろん東條さんも変わらずいいのですが、違った声質で様々な角度から曲に光を当てられるメンバーの存在に気付いてきたような感じです。
決定打が、ここにきての篠崎さんでした。
後半にかけてはささやくような声色に変わったりしていて、変幻自在でした。

八重歯が特徴の夢実あすかさんの表情は素晴らしかったです。
笑顔を見せるとその場が目に見えて明るくなります。
一転「青の君」あたりでは泣き出しそうな悲し気な表情をしていて、これもまた印象的でした。
動きには隙がなく、勢いあまりそうなほどターンしていたシーンもありました。

水城梓さんは前のレポでも書いたように堅いとかではなく動きが角張っていて、それはこの日も健在でした。
ダンスでは一番惹かれるメンバーかもしれません。

ことに咲真ゆかさんや葉山かえでさんは、MCの時などあちこちに目線を配っていると感じます。
手をかざして前のめりになり、知り合いを見つけるかのようにフロアを眺めていました。
隅までぐるっと眺めているので目が合うこともあるのですが、認知もないのに良い笑顔や確信のうなづきをもらいました。
歌でこの二人を取り上げると、ソロを歌うときの咲真さんは気持ちゆっくり目に、しごく丁寧にリズムを取る気がします。
ややかすれた歌声は他にはない武器でしょう。

しゃべるときの声はかわいらしい葉山さんですが、後半のどこかのソロではかっこよさに変わっていました。

ところで、今回のツアーは全国各地からファンを引っ張ってきて7.11に繋げるという位置付けに加え、メンバーの凱旋公演という意味合いもあります。
大阪は咲真さん、福岡は東條さん、北海道は美咲さん、そして岩手は篠崎さんの地元です。
この横浜公演に至っては夢実さん、水城さん、是枝さんと3人のメンバーもの地元でした。
唯一地元開催がなかったのが埼玉県出身の葉山さんだったのですが、横浜市歌で盛り上がる3人を横目に言った「いずれは埼玉でのライブを」という願いは早いうちに叶ってほしいものだなと、同じ埼玉の人間として願っています。

青の君」はソロパートの多さもあり、是枝優美さんのイメージですっかり塗り固められました。
ソロを歌うとき、咲真さんが安心しきった顔で見つめていたのも印象深かったです。

知っていくにつれてマイディアへのイメージは変わっていったのですが、特に先入観とのへだたりが大きかったのが是枝さんかもしれません。
是枝さんにははじめ、なんとなく落ち着いたようなイメージを抱いていたのですが、ツアー初日やこの日の横浜公演後に感想をコメントするときの様子は言いたいことを逡巡して結構あわただしい感じで、それが意外でした。
パフォーマンスでは咲真さんが安心しきって見つめていましたが、コメントとなると隣の水城さんがやや心配そうな顔を浮かべていました。
凱旋公演で気分は上がっているはずなのですが、ライブ前のツイートには「平常心で」とあります。
理由は、「気合が入りすぎて空回りするから」。

ーーー

ライブの内容は以上です。
勢いがあるグループはこういうグループなのだという見本を見せてもらったようなライブでした。

一方で、あの日に感じたことを出来るだけこうして書き残してきましたが、文字にしてしまうとここまで薄っぺらくなってしまうのかと、不勉強さも痛感しています。
あれだけ心を動かされたのに、これくらいしか出てこないのが悔しいです。

次に行くのはツアーファイナルの岩手公演と、中二日開けての3rdワンマン。
上り坂にあるグループの節目に立ち会えそうなことに感謝しつつ、記憶にもう少し残せるように書いていけたらと思っています。


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