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【ライブレポ】エクストロメ!! 2/23

遅まきながら、2月23日(火)に開催された表題のライブについての雑感です。

新宿歌舞伎町のど真ん中、新宿ロフトにて行われたアイドル3組による対バンライブです。

出演者はこちらです。
サンダルテレフォン以外は全くの初見でした。

サンダルテレフォン
クロスノエシス
リルネード

初めに予防線を張っておくと、以下の記事では3組すべてにコメントはしますが、サンダルテレフォンを目当てとしてライブを観に行ったため、こちらのボリュームがどうしても多くなっているなど、グループごとのボリュームの偏りが大きいです。

また、初見の二組に関しては予習もさほどしていなかったので、まるで見当ちがいなことを書いているかもしれません。
そこだけはご理解いただければと思います。

出演順に見ていきます。

サンダルテレフォン

今回はセットリストに対してのコメントが多くなりそうです。

対バンライブのしょっぱな、一曲目にチョイスされたのが「ワンダーランド」という曲でした。

この曲はベースの音色に続くピアノのイントロが特徴的で、まるでギターのリフかのように同じメロディが繰り返されます。

このイントロ数小節のピアノのメロディーはどこか不思議な魅力があり、ここのパートを聴くだけで、例えるならそれこそ「ワンダーランド」に連れていかれるような、どこか別世界へ連れていかれるような感覚を覚えます。

そしてこの「別世界へ連れていかれるようなメロディ」というのは、会場をまるごとサンダルテレフォンの空気にしてしまうくらい、この日のライブで引きの強さを持っていた気がします。

特に今回は出演順がトップということもあり、サンダルテレフォンの出演によって数分前までの開演直前の空気ががらりと変わったのが見て取れました。
そのきっかけの一つが「ワンダーランド」のイントロだったような気がします。

セットリストの妙というのは後述するリルネードでも感じましたが、サンダルテレフォンの「ワンダーランド」もライブのド頭に披露されたことの意味合いが大いにあったように思えます。

とは書いたものの、おそらく持ち曲10数曲のどの曲を先頭に持ってきたとしても、会場は一気に暖まったのだろうなとは思いますが。

メンバーに目を向けると、以前の焼き増しとなってしまうものの各メンバーの振り付けの個性には目を引くものがあります。

例えば西脇朱音さんは伸ばした腕をグルグル回したりとリーチの長さを活かすような振り付けでは大きな動きをしているものの、手首を返すなど細かい振り付けとなるとむしろ速く、コンパクトにまとめているイメージでした。
メインボーカルの小町まいさんについても、よくよく見てみるとターンを若干早くしているようなところも見受けられました。

こうして書いているのは本人に聞いたわけではなく推測に過ぎないことですが、サンダルテレフォンのメンバーは、土台としての振りは抑えつつも自分たちの色を濃くダンスに出しているような気がしています。
もちろんその度合いはメンバーによりますが。

ですがその色は決定的な振りのズレともならず、全体として見ると統一感はちゃんとあるところが素晴らしいです。

曲の話にまた戻ってしまうのですが、ラスト2曲には先日初披露されたばかりの「Sleeping Beauty Remix ver.」と「コーリング  Kenichi Chiba Remix」が披露され、これらは繋ぎ目無しのノンストップでのパフォーマンスとなりました。
リミックス繋がりです。

記憶をたどりながらですが、たしか「Sleeping Beauty」のアウトロあたりでうっすらと「コーリング」のイントロの一部が聴こえました。
冒頭の「サンダルテレフォーン」というフレーズのところです。

おそらくアウトロからイントロにかけては2曲のマッシュアップがなされたと思うのですが、このパターンは初めて聴きました。

コーリングのイントロをうっすらと耳にし、それが来ることを感じつつ終わりに向かっていくSleeping Beautyを聴いた瞬間は、終わりかけている曲に後ろ髪をひかれる思いと、続く曲を確信し待ち望んでいるという相反するような気持ちがキメラ模様に混ざっていました。
これはライブ以外では得られない感覚かもしれません。

サンダルテレフォンのライブの魅力としては、メンバーのパフォーマンスもさることながら、こうした予測できない曲の繋ぎにもあるのかもしれません。
それがライブにバリエーションを与えている気がします。

「次はどういう曲が来るんだろう?」という期待感はもちろんのこと、それを超えて、まだ体験したことのない繋ぎや他の演出が来るかもしれないという、ブラックボックスに手を突っ込むようなワクワクを味わわせてくれるところが、他にはあまりないポイントの一つになっているのかもしれません。

他アイドルではさほど多くないリミックス曲に関しても、サンダルテレフォンでは「Sleeping Beauty」を含めすでに3曲も既存曲のリミックスがお披露目されていますが、これにより、今日のライブは原曲とリミックスのどちらなんだろう?もしかしたらトリッキーに原曲/リミックスどちらもあるのではないだろうか?などと楽しみな気持が芽生えてくるので、その存在だけでも大いに意義がありそうです。

そういえば、繋ぎではありませんがある日のライブでは、先日リリースされた1st EP収録曲である「かくれんぼ」を披露した際、そのタイトルにちなんだ演出が曲中になされていました。
こういった楽しみもあります。

それにしても、後ろのほうでステージを観ていると、曲を消化するごとにフロアのお客さんのフリコピの波が大きくなっているのがわかりました。

よくよく考えるとメンバーの誰かが煽ってフリコピを促しているわけでもないですし、振り付け自体も真似がしやすいほど簡単とは思えないのですが、身体を動かしたくなるような何か特別なものがステージにあるのでしょう。
それが何なのかについては僕も適切な言葉が浮かんできません。
感覚的な、空気的ななにかなのでしょうか。

クロスノエシス

例えば「VISION」では電子音のような音がひたすら続いたりと、全体を通して音の数が多いなという印象でした。
続くリルネードとは全く異なる音数です。

言うなればダークのなかに一筋の光があるようなイメージを抱きました。
心がざわざわとするような音はダークさを演出し、その中を縫うようにダンスや歌、歌詞が光っている印象です。

1曲目に披露された「MY LAST DANCE」のラストではミュージカルの一部を切り取ったような振り付けとなっていたのですが、この曲はじめ、演技力を感じるダンスというのも頭に残ります。

MCを挟まなかったこともあるのでしょうが、終始重厚な空気が流れていたような気がしていて、その空気を一貫して保っていたのが素晴らしいです。

リルネード

この対バンライブ以前から、1stシングル収録の「もうわたしを好きになってる君へ」という曲については、YouTubeのおすすめ欄やツイッターなどでよく目にしていました。

以前にも観たのですが一見するに、まさに王道のアイドルといった印象を受けました。

何をもって王道とするのか。
アイドルの曲やコンセプトは細分化しており、王道とひとくくりに定義していいのかなという思いはあるのですが、この曲にてパステルカラーが目立つ衣装を着たメンバーが踊るMVを見て、さらには甘い高音が目立つメンバーの歌声を聴くと、まさにこれこそアイドルの王道だと直感的に思います。

そもそも、「もうわたしを好きになっている君へ」なんていうタイトルや下に引用する歌詞を見るに、表向きとしては恋愛ソングではあるのでしょうが、他方ではアイドル目線でファンに対して歌ったような曲とも捉えられます。

“例えばもっと好きになっちゃっていいし、答え合わせもしたい”
“君の最高を更新できちゃう季節がきました”

この曲は2020年のアイドル楽曲大賞においてインディーズ・地方アイドル部門の3位にランクインしており、アイドルファンから強く支持を受けている曲なのですが、おそらくこうした感覚、当事者感というのでしょうか。それを漂わせている点でも多くの人に刺さるのだろうなという勝手な印象です。

予習がてら他の曲も聴きましたが、王道アイドルという印象は変わらずでした。

ただ、この日ライブを初めて目にして、こうした側面はリルネードのほんの一部分でしかないことを思い知りました。

一言で言うと、甘すぎない可愛さがあります。

特に高めの甘い声が目立つ栗原舞優さん。
メンバーカラーがピンクということ、ツインテールということなども重なってまさに可愛いアイドルの象徴みたいな方です。

歌声自体もかなり可愛らしいのですが、それでも耳触りが優しいといいますか、甘ったるすぎないバランス感覚の良さがありました。
そのうえで歌詞もはっきりとこちらに届いてきます。

以前にも書きましたが、アイドルのライブでは耳がキンキンとなることもたまにあり、特にハイトーンというのはそれなりの圧で耳を攻めてきます。
音源を聴いただけの段階では失礼ながらそうした予想図を勝手に描いていたのですが、大いに覆されました。
生で見てみないと分からないことを思い知ります。

栗原さんだけでなく他のメンバーも、そのビジュアルの可愛らしさはもちろんのこと、パフォーマンスを見るにそれだけではないものを感じました。

甘みの中に芯が通っているようで、脇に隠れがちなこの芯の部分をより踏み込んで知った時、さらにリルネードのことを好きになれるのだろうなという思いです。

どの曲が1曲目に披露されて~というセットリストの詳細はよくわからないのですが、肌感覚として、セットリストの構成も見事だと感じました。

直前のクロスノエシスが残した音の厚みがまだ耳に残る中、リルネードの1,2曲目に披露された、音数が少なくメンバーの声が目立つ曲によって一気に清涼感溢れる空気が流れました。

これらの曲によってスッーっと風を感じるような気さえしました。
もっとも、これは僕が立っていたのが最後列で横にサーキュレーターがあるという状況だったのかもしれませんが。
クロスノエシスのステージを観ている間はその風も感じないほど張り詰めていたのが、リルネードの登場によって再び吹き始めたような感覚です。

そして後半戦。自己紹介等のMCを挟んでから披露されたのが、先述した「もうわたしを好きになってる君へ」でした。
MCの直後であったため、曲に入るまえにメンバーの曲振りがあったたのですが、流れの中ではなくしっかりと前振りをしてから曲に移ってくれることで、僕のような曲名だけは目にしたことがある者でも「あぁあれか」となり、期待感を持ちつつ曲に入り込むことができました。

ちょっと予習した程度の曲だと、曲名をコールしてくれないとライブで披露されてもサーっと耳を通過してしまうところがあるので、こうした前振りはありがたかったです。

ーーー

今回の対バンライブは、演者の3組が3組とも見事にカラーが違っていました。
踊りたくなるようなポップさがあるサンダルテレフォン、風も感じないほど重厚な空気が流れるクロスノエシス、王道アイドルの可愛さのなかにもなにか一本芯の通っているリルネード。

それぞれのステージを楽しめることはもちろんのこと、演者が変わることでともにかわるフロアの空気というのも面白いものがありますし、これも対バンライブの魅力の一つでしょう。

今回のライブレポでどこまでお伝え出来たのかは分かりませんが、次回以降のライブについても、こうした空気感の変化に注目しながら書けたらなと思っています。

見出し画像:エクストロメ!!公式ツイッターアカウントより(@extremeidol)


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