【ライブレポ】サンダルテレフォン 2nd Anniversary live"在る"
【まとめ】
2周年の節目をお祝いするとともに、その先の明るい未来も見晴らすライブでした。
4月21日(水)、渋谷WWWにて開催された、4人組アイドルグループ・サンダルテレフォンの表題のライブに行ってきました。
サンダルテレフォンは、もともと別グループで活動していた小町まいさんと夏芽ナツさんに加えて藤井エリカさんと西脇朱音さんが合流する形で結成され、2019年の4月21日にデビューしました。
当初はなかなか思うような成長曲線を描けなかったと聞きます。
スタッフに「こんなに売れないとは思わなかった」と言われたことがあったとも、雑誌の記事で読みました。
現在進行形ではありますが、コロナによって思うようにイベント数をこなせないこともありました。
色々経ながらもたどりついた、デビューからちょうど2年となるこの日。
解禁当初から残り僅かになっていた前売りチケットは早い段階で完売していました。
会場の渋谷WWWはマックスで500人キャパのライブハウスですが、コロナ禍で収容人数を減らしているとはいえ、平日ど真ん中のチケットがこのキャパで完売となるのは凄いことです。
そんな特別な日に行われた特別なライブの模様を、思い出せるだけ書き連ねていこうと思います。
【見出し】
・躍動感あふれるステージ
・相変わらずの歌声の心地よさ
・動きの正確さ・細かさ
・西脇朱音さんの表情
・ライブを通して見えた「未来行き」
・躍動感あふれるステージ
ライブの幕開けは、6月8日リリース予定の新EP収録曲「It’s Show Time!」でした。
取り囲むバーライトが赤く点灯しているなか、飛び跳ねんばかりに動き回っていたメンバーが強く印象に残っています。
タイトル通り泡沫のショータイムしょっぱなから楽しんでいたメンバーですが、しかしその躍動感はこの曲だけに留まりませんでした。
後述することでもありますが、メンバーの動きは大きく、見るからに喜びに溢れていました。
下の画像は音楽メディアによるライブレポから拝借したものですが、このハイジャンプをしているシーンなどはまさに象徴的だと思います。
他にも、曲のアウトロで決めポーズをした夏芽ナツさんの髪の乱れ具合や、西脇朱音さんの遠目からでも分かる汗からも、この日の熱気がありありと伝わってきました。
・相変わらずの歌声の心地よさ
2年間で磨かれた賜物でしょう。メンバーのボーカルは非常に良くまとまっています。
ここでは2曲について触れていきます。
特にコーラスに浸れたのが、「真夏の匂い」でした。
この日はまず曲の入りから特別でした。
通常この曲はイントロに入る前、砂浜に打ち寄せるザザッという波のかすかな音が1,2秒程度流れ、そこからイントロに移ります。
しかし、この日ばかりは波の音が通常より長い時間打ちつけていました。そして、波の音をバックに夏芽さんが「この曲で夏を感じてください!」と気分を煽り、それを合図にイントロが流れ出す、といった構成となっていました。
この演出だけでもかなり凝っているなと感じたのですが、本編の歌声も見事なものでした。
とりわけAメロ最初のハモリパートを担当している夏芽さんと小町さんの歌声からは、それぞれの歌声の主張と調和を見ました。
いつもよりもヒラヒラな服を選んで
このワンフレーズですが、互いに前に出てくる声を感じて非常に気持ちよかったです。
前半の「いつもよりも」では小町さん、後半の「ヒラヒラな服を選んで」は夏芽さんの声が目立って聴こえました。
どちらかが前に出ればもう一人の声も前に出ようとしているように聴こえ、この絡み合いでメロディーがより高みに向かっているような気がします。
その後のBメロで加わった西脇朱音さんや藤井エリカさんの声にも透き通るようなさわやかさがあり、先程のパートに引き続き心地よかったです。
夏芽さんのMCどおり、このパートを聴くだけで夏を先どりできるようですし、夏のおいしい部分だけをつまみ食いできるような感覚です。
前にも同様のことは書いていますが、今回のこのパートでのコーラスの味わいは、これまでに観たライブのそれとも違いました。
次に聴くときには、また今回とは違って聴こえるんだろうなという期待感もあり、まだまだ楽しめそうです。
そして「コーリング」という曲。
サンダルテレフォンのグループ名には「鳴らない電話で、心を繋げる」という意味が込められているのですが、「コーリング」の「離れてても僕ら繋がってる 圏外でもオンライン」という歌詞はこのコピーとよく合っています。
そうしたこともあって、「コーリング」はサンダルテレフォンの名刺代わりの曲だと思っているのですが、高音で気持よく鳴らすメンバーの歌声はそれこそ電話のコール音のように聴こえました。
この日やけに響いていた低音の伴奏との対比効果もあったのかもしれません。
ところでこの「コーリング」、前にもどこかで書きましたが、時代が時代なら「LISMO」とか携帯関連のCMソングになっていてもおかしくなかった曲だと思っています。
・振り付けの正確さ・細かさ
ここまでは耳を通して感じる気持ち良さを主に書いてきましたが、目に映るメンバーの動きも素晴らしいものでした
ステージを見渡したとき、メンバー4人とも振り付けやフォーメーションの移動などの動作がしっかり揃っています。
動作はさらに明確で、初見であってもどういう動きをしているのかが非常に分かりやすいです。
サンダルテレフォンのファンの方、通称「ダルファン」はメンバーの振り付けを真似する、いわゆる「フリコピ」を盛んにしていますが、この気持ちは非常によくわかります。
そうした見栄えの良い動きを目にすると触発されて真似したくなりますし、メンバーの動作が明確なため、実際できるかどうかは別として真似できそうな気もしてきます。
それに加え、サンダルテレフォンの武器でもあるノリの良い曲がフロアに流れていれば、身体が勝手に動いてしまうと思うのです。
とはいえ、振り付けが分かりやすいということは、なにもダンスが簡単であることを意味するわけではありません。
メンバーが、難しいダンスを真似しやすいよう簡単に見せることが上手いのだと思います。
出来そうで出来ない、キワキワのところでこなしているメンバーが凄い、ということに尽きるのでしょう。
さらに、そうした動きの安定感もさることながら、これに軸のぶれない歌声を乗っけているのだから輪をかけて素晴らしいです。
例えば、「かくれんぼ」という曲では、子供遊びの「はないちもんめ」から取った、足を高く上げる振りがあります。
ここでは藤井エリカさんが「一体何のために遊び始めたのだっけ?」と歌うのですが、足を上げ、大きな動きをしながら歌うなんてただ歌う以上に難しいはずです。
見慣れてしまうと自然に感じてしまって何とも思わなくなってしまいますが、よくよく考えると凄いことです。
余談ですが、「かくれんぼ」のイントロを聴いたとき、なんだか心震える感覚がしました。ピアノの音色が耳に強く響いてきて泣きそうになったのですが、後述する「Step by Step」や「Shape the Future」ならまだしも、まさか「かくれんぼ」のときに涙目でステージを眺めることになるとは思いませんでした。
また、振り付けの話からはずれてしまうのですが、MCからある曲の始まりにかけての一連の動きにも目を引き付けられたのでここに残しておきます。
ライブ中盤、夏芽さんの「ここからはRemix!」の煽りを皮切りに披露された、既存曲のRemixコーナーの所です。
この煽りが終わるか終わらないかのうちにリミックス一曲目「Sleeping Beauty (Kenichi Chiba Remix)」が始まったのですが、センターに立つ藤井エリカさんが右手を挙げつつターンして座り、曲のイントロが流れてくるという導入が非常に滑らかでした。
冒頭で藤井さんが手を上げる曲というのは「Sleeping Beauty」のRemixバージョン以外にないはずです。
また、通常は藤井さんのこの動きからイントロが流れるまでの間に若干の空白があるため、藤井さんの特徴的な動作を観ることでイントロを前にしてこの「Sleeping Beauty Remix」だと察せます。
しかしこの日のステージは、そんなことを思わす余白も与えないままイントロへと進み、リミックス特有の音要素が多く勢いたっぷりの空間へと流れ込んでいきました。
ライブ演出を凝っているサンダルテレフォンのことですから、次回以降も予想だにしない導入に出くわすとおもいますが、この導入はもしかしたらもう二度と観られないかもしれません。
・西脇さんの顔つき
ここまで全体的なことを書いてきましたが、続いては少しズームしてメンバーの一人、西脇朱音さんの表情について語っていこうかと思います。
これまで西脇さんに対して抱いていたざっくりしたイメージというのは、フワフワとした、ガーリーなものでした。
ときに「アニメ声」と評されるその歌声だったり、可愛らしいボブカットの髪型の出で立ちなどがそう思わせていたのだろうとおもいます。
それに加えて顔だちも幼げです。
西脇さんはグループの中で最年長なのですが、童顔のため初見ではそうと分からないと思います。
こうした雰囲気が集約されているように感じるのが、「Follow You Follow Me」という曲のMVです。
このMVは、メンバーそれぞれとのデート風?動画という作りになっているのですが、カチューシャをして飴をなめている西脇さんの姿は様になっているというか、非常にしっくりきます。
しかし、そんな西脇さんが違った顔を見せていたのが、大人びた雰囲気の「SYSTEMATIC」という曲でした。
曲の間隙、半身になって流し目でフロアを眺める顔つきにはゾクゾクとするようなカッコよさがありました。
これまで抱いていたイメージとかけ離れた表情にはハッとさせられましたし、大いなるギャップを感じました。
ずっと見ている方や西脇さんを推している方にとっては今更感があるのかもしれませんが、僕にとってはこの日一番の気付きでした。
思えば、西脇さんは新曲「It’s Show Time!」でラップパートをこなしていたり、「SYSTEMATIC」などでは特徴的な歌声によって曲に抑揚をつけていたりと、ポイントポイントでの役回りがよくハマっています。
今後も、パフォーマンスにアクセントをつけるメンバーとして存在感をより増していきそうな気がしています。
・ライブを通して見えた「未来行き」
先述した曲の導入など、記念日であるこの日にはさまざまな特別演出がなされたのですが、MCも特別バージョンでした。
通常、メインでMCを担当しているのは夏芽さんなのですが、この日ばかりは誰が回すでもなく4人とも同じくらいコメントしていました。
例えば冒頭、公演タイトルを4等分してコールたり、一人が言った「〇〇だね」にあわせて他の3人で「ね!」と合わせたりと、メンバー全員が均等に喋って言葉を繋いでいました。
おそらく、事前に構成や喋る内容を繰っていたのだと思います。
そのため、メンバーのコメントはわりとシンプルにまとめられていたのですが、そのなかでも強調して口にしていたのがスタッフなどへの感謝の言葉、そして2周年記念ライブを無事に迎えられたことに対する喜びのコメントだったと記憶しています。
そして、こうしたコメントによっていつも以上に輝いて聴こえたのが、中盤で披露された「Step by Step」でした。
一人きりでは きっと手の届かなかった かけがえのない場所
確かに踏みしめた
特に、夏芽ナツさんがサビ前で歌う「未来行きだよ」というソロパートのメロディは、これからのサンダルテレフォンの未来を示すかのように晴れやかで、ロングトーンはどこまでも続いていく道を思い起こさせました。
また、MCでのコメントと歌詞のリンクという点でもう一つ書いておきたいのが、最後のMCとそれに続いて披露された「Shape the Future」です。
後述する東名阪ツアー開催発表の直後、西脇さんが自虐的な意味も込めてでしょうか、「ダルフォンはガッと売れるタイプじゃないけど~」とコメントしていました。
このコメントの中には、サンダルテレフォンは一息にブームが来るような売れ方ではなくとも、じわじわとボディーブローのように人々の心に刺さってきている、そんな確信があるというニュアンスが込められていたのだと思います。
その直後「Shape the Future」が披露されたのですが、この曲には西脇さんのコメントとまさに符合するような歌詞があり、こちらもいつも以上に耽るところがありました。
小さなことも積み重ねてけば 確かなカタチになるね
冒頭に書いたようなデビュー当初の停滞や、調子の上がってきたときのコロナ禍など、描いていた未来図通りにいかないことも多かったのでしょうが、そうした状況でも地道にイベントを積み重ねた結果、こうして確かなカタチとなり、渋谷WWWのような大きな会場で節目のお祝いをすることができたり、次なるイベントを心待ちに出来ているのだと思います。
・大いに売れる前の予行演習
さてこの2周年ライブですが、終わってみれば、Remix曲や新曲、新SEも含め現在の持ち曲全てが披露されました。
ひとくちに「持ち曲全曲」と書いていますが、Remixバージョンが含まれることの混乱はかなりのものだったと思います。
既出曲のRemixバージョンはこれまで4曲披露されていますが、どの曲もメロディはもとより、各人の立ち位置や振り付けといった動きの面にまで手が加えられています。
さらに、オリジナルと比較して振り付けは同じだけど立ち位置が違う曲があったり、一方で立ち位置は同じだけど振り付けがまるで違う曲があっとりと、4曲の中でパターンが混在した状態になっています。
こうしたことから、一つのライブの中でオリジナル/Remixどちらも披露するということの難易度は相当なものだと思います。
ここまでのフルパッケージは今後そう観られることではないとは思いますが、大きな乱れも基本的に見せずやり切っていたメンバーに対してはスタンディングオベーションものではないでしょうか。
ーーー
ところで、現在女性アイドル業界を見渡すと、様々なグループがひしめき群雄割拠といった状態なのですが、ライブを観て曲を聴く限りでは、サンダルテレフォンはその中でも頭一つ抜けそうな予感があります。
アイドル好きの方々の間でも評判の良質な曲に、ここまで書いてきたようなパフォーマンスの習熟度合いというのは、全てのアイドルを観て比較せずとも出色の強みになっていると思います。
そんなことを考えていると、なんだかこの日の会場も、もっと注目された先の将来を見据えた予行演習の場であるように思えてきました。
今回の会場である渋谷WWWは、フロアの一段目こそステージとフラットなものの、二、三段めとなるととたんに高くなり、ここからだと見下ろすアングルとなります。
お隣の渋谷WWWXを含め、基本的にライブハウスはフロアからステージを見上げる構造となっていることが多いような気がしているのですが、こと渋谷WWWについては少し特殊な、立体感のあるつくりになっています。
この日ライブを眺めながら、そしてメンバーが発する「未来行き」のコメントを聞きながら想像(妄想)していたのが、規模感こそまるで違えど、でかいアリーナとか武道館でライブをするときにはこのような見下ろしごしの角度になるのかなぁなんてことでした。
もちろん、そうしたどでかい会場となるとスタンド席は遥かに高く、メンバーも豆粒くらいにしか捉えられないでしょうから、それらと重ね合わせてイメージすることにはかなり無理があるのですが。
しかし、なんだか、この会場の延長線上にそうした大舞台があるように妄想してしまいます。
それくらい、サンダルテレフォンには大いなる可能性があると思っています。
今回のライブは成功裏に終わりましたが、まだまだ楽しめそうな予定が組まれています。
夏には東名阪ライブの開催も発表されました。新EP「碧い鏡/It’s Show Time!」のリリースも決定しており、既に各所でのリリースイベントも始まっています。
したがって、この日のライブは2年間の歩みを振り返るという意味で重要ではあるものの、あくまで一つのチェックポイントに過ぎないことを実感します。
「Step by Step」の歌詞を借りると「立ち止まってなんていられない 道は続くよ」ということでしょう。
サンダルテレフォンは期待のハードルをいつも優に超えていきます。
結局毎度レポのたびにこんなことを言い続けてしまっているのですが、まだまだ期待していたいですし、期待を塗り重ねていくことが楽しみです。
こちらとしても、今後も出来る限り追えたらと思っています。
見出し画像:サンダルテレフォン公式ツイッターアカウント画像を改変
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