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【ライブレポ】Fragrant Drive 三田のえ生誕祭「のえたん、20歳になったよパーティー!」

2022年2月20日(日)、5人組アイドルグループ・Fragrant Driveが秋葉原のAOHARIUM TOKYOにて「のえたん、20歳になったよパーティー!」を開催しました。

フラドラメンバー紹介

「のえたん」とはグループ最年少の三田のえさんです。
この日は、2月13日に20歳の誕生日を迎えた三田さんの生誕祭でした。

1時間を越えるライブを、まずは三田さん発案のセットリストから振り返ってみたいと思います。

◆セットリスト
fancy drop love
ふたりのストーリー
Want Your Love
生まれてはじめて(アナと雪の女王)
ゼンキンセン(26時のマスカレイド)

Stay Gold
恋花
℃repuscolo
Snow Dust
胸の奥のVermillion
En1. Growing Up
En2. パピナ

M1~M3 ぴえたんの登場

冒頭、主役は登場しませんでした。
初めの3曲、他のメンバー4人にまざって出てきたのは、三田さんがプロデュースする「ぴえたん」でした。


他4人はファンの方がデザインした三田さんの生誕Tをトップスに身に着けている一方、ぴえたんはピンクがメインのフリフリワンピースです。
「ぴえたん」は三田のえさんと見た目が非常に似ているのですが、二人が同じステージに立つことはできないようで、普段のライブでは三田さんの影に隠れてほとんど出てきません。
滅多にお目にかかれないのですが、この日は特別だと「プロデューサー」から許可がおりたのでしょう。
結局三田のえさんは3曲を終えた最初のMCまで出てこず、袖でぴえたんの活躍を見守っていました。

「ぴえたん」の歌声は、三田さんと似ていましたがいつも聴くよりも幾分可愛い感じです。
選曲と相性がばっちりでした。
ダンスでのターンは、輪郭を広く見せる衣装をより膨らませ、バレエを習っていたという三田さんとどこかリンクしていました。

M4,M5 生誕コーナー

中盤戦。
ここからは、三田のえさんセレクトのカバーコーナーです。
アイドルの生誕コーナーではよく、主役のアイドルがソロでパフォーマンスをすることがあります。
スポットライトに当てられたステージで、皆の視線を独占できる。
この感覚は、グループアイドルでいるときにはなかなか味わえないものでしょう。

この日の生誕コーナーでは、以前に5人で披露したことのある「ゼンキンセン」は別として、「Frozen」からの「生まれてはじめて」は本来、ソロになる予定でした。
エルサ役でコーラスする辻梨央さんを除いた他のメンバーはここでステージから一旦去る予定だったそうです。
しかし、直前のリハーサルで急遽変更になりました。
三田さんから「やっぱ居て!」と言われ、本番では板橋加奈さん、伊原佳奈美さん、片桐みほさんの3人は捌けずにステージの端っこから見守るような感じになったそうです。

心細かったのかもしれませんし、またとないこの晴れ舞台をメンバーには一番近いところで見てもらいたいという気持ちもあったのかもしれません。
でも、パフォーマンスを見ていて感じたのが、これも三田さんなりの演出だったのではないか、ということです。
ステージ端で照れくさそうに苦笑いするメンバーの手を一人ずつ取り、相手の目を見つめながら歌う三田さんの姿は、お城の階段をかけ下りて扉を開けたアナがお城の人達と歌い踊る映画の様子に重なりました。
一人でステージに立つ時間を作らなかったのは、もしかしたら不安を表面上の言い訳にした作品づくりの一環だったのかもしれません。

一年前のことも思い出します。

三田さんは辻梨央さんとともに2020年の11月にFragrant Driveに加入しました。
加入から3カ月程度経って開催された前回生誕祭は、偶然にもこの日と同じ日付の2月20日開催でした。
昨日のことのように思えるというのは、いくらものの例えとしても言い過ぎかなとは思いますが、あの日がもう1年も前の出来事とは信じられません。
個人的には、初めてFragrant Driveのライブを観た日でもありました。

当時は一曲分のソロコーナーが設けられ、ここで三田さんは「ドン・キホーテ」から主人公・キトリ役としてヴァリエーションを披露しました。
クラシックバレエを習っていた経歴を活かした演舞です。
ステップは軽やかで、アイドルのライブでは滅多にお目にかかれないような滞空時間の長い跳躍もあり、「すごい人がグループに入ったんだな」とYMCAホールのステージを見上げていたのを覚えています。

あれから1年たった2022年の生誕祭。
過去の姿と比較する中で感じたのは、歌に自信がついたのだろうなということです。
当時三田さんが披露したのは演舞のみ。
歌うことは無かったわけです。

一方でこの日に披露した「生まれてはじめて」は周知の通り、ミュージカルです。
三田さんの普段の声質がミュージカルの雰囲気と非常によく合っていたのは、この日の最大の発見でした。
喋りとも歌うとも微妙に違うその中間のような声は、わずか数分でもこちらをファンタジーの世界に誘ってくれます。
ステージに仮想舞台を描き出し、身振りと表情をつけながら大いに語らう様子は、この1年余りで確実に歌唱力や表現の幅が増えたことの証明になっていました。

「フラドラのパフォーマンスに今日こそは貢献したい」

そう誓いながら重ねてきたレッスンの足跡は、この日間違いなく残ったでしょう。

ライブは、ニジマスの「ゼンキンセン」をカバーの後、ノンストップで「Stay Gold」へとなだれ込みました。
ここからは、いつものFragrant Driveの曲たちに戻っての後半戦です。
全身を使ったダンスが激しい「Stay Gold」は、繋ぎ目無しで流れてくるイントロから心拍数を急激に上げてきます。
三田さんからセットリストを受け取ったメンバーは「まじか」と思ったそうです。
実際足を攣りそうになったメンバーも居ました。

MC中にはオレンジ色にメンバーを照らしていた照明は、曲が鳴り出すとカラフルな水玉模様に変わりました。
正方形のフロア後方、小高くなったPA席のほうからは断続的にストームが焚かれ、伴奏のボリュームには起伏がありました。
特に後半では瞬間ボリュームが上がり、メンバーの煽りをかき消さんばかりに鳴り出します。

三田さん以外のメンバーにも視線を向けてみます。

片桐みほさんと板橋加奈さんはいつもと違わず結構テンションも高く、はしゃぎながらお祝いムードを作っていたのですが、伊原佳奈美さんや辻梨央さんのほうを遠目から見るとホロっときているように見えました。
様々な感情がこみ上げてきているのか、なにか詰まったものがあるような...
気のせいだったのでしょうか。
照明が眩しくて目がやられただけとも思えません。

さてライブ本編は「胸の奥のVermillion」まで全10曲立て続けに披露され、メンバーは一旦袖に消えていきました。
やがて、ファンの方による音頭をきっかけにアンコールを呼び込む拍手が始まりました。
アンコールのきっかけについてはもう少し書きたいことがあるので、この記事の最後にスペースをとってねじ込みたいと思います。

そしてメンバーの再登場。

アンコールへ

「2曲くらいやりたい気分かな」

三田さんの独特な曲振りからアンコール一曲目「Growing Up」が鳴り出すとき、入場時にファン有志の方から配られた水色のサイリウムが折られました。
水色は、言わずもがな三田さんのメンバーカラーです。
付け加えると、ファンの方からは水色の(メンバー曰く執刀医のような)不織布マスクが配られ、これをつけて三田さんが自己紹介の時にする「見た(三田)」ポーズをデザインした生誕Tシャツを着ると上半身はすっかり「のえたん色」に出来上がりました。

顔を上げ、センターゼロポジションのフォーメーションからスカイブルーを目にした三田さん。
驚きの顔です。
「すごい...」と漏れてきた声はマイクにしっかり乗っていました。

この「Growing Up」、前向きなメロディーで明るい曲なのですが、三田さんにとってはかなり苦労した曲とのことでした。
「好きだけど、難しかった曲」
それを踏まえて聴くと、前向きな歌詞の中に、三田さんのこれまで1年半ほどのアイドル人生の奥行きを感じるような気がしてきます。

うまくいかなくて挫けそうでも 後ろを向くことはできない

サイリウムの数々を目にした感激の顔も浮かび、ここばかりは泣きそうになりました。

アンコール2曲目、最後の曲は「パピナ」。
これまた歌詞が響いてくる曲です。

あきらめることなんかすぐさ 明日にでもやめられるのさ
だけど僕らはあきらめずに 日々を泥臭く生きている

1時間15分ほどにわたる生誕ライブは、ここで幕を閉じました。

メンバー4人が先に捌け、三田さんだけが残りました。
下手から上手に向かってぐるっと挨拶...
なのですが、やけに長いこと時間をかけています。
ステージから身を乗り出して、目の上に手をおきながらフロアを見つめる三田さんと目が合ったときにようやく気が付きました。
三田さんは、フロアに居合わせたもれなく全員と目を合わせ、「ありがとう」を伝えていたのでした。
手前から奥、一列ずれて手前から奥...
ちゃんと目が合ったことを認識してから次の人へと目線を移していました。

会場・AOHARIUM TOKYOは、上からの照明がステージと割と近い距離にあり、そこから眺めるフロアは眩しくてなかなか見えません。
特典会でステージに立つと、照明が目を攻撃してくる感じがわかります。
前のほう以外は見にくいです。
だからこそ照明の当たりにくいステージ前方の端っこまで来て、かざした手は照明をさえぎるためだったのでした。

ライブの中身はここまでにして、ここからは主役の三田のえさんについてさらに2つほどトピックを上げながら書いてみたいと思います。

ついておいで

アイドルのSNSに多く触れていると、今の時代、毒にも薬にもならない言葉より、劇薬のような強い言い回しのほうがもてはやされるのかなと思ってしまうことがたびたびあります。
少しきつい言い方かなと受け取ってしまうことも時たまあるのですが、対して三田さんは全く強い言葉を使ってきません。
我が我が、というイメージがあくまで残る芸能界では珍しく、控え目な物言いです。

この日、三田さん生誕祭の前にはグループのこれまた単独公演が組まれていました。
Fragrant Driveは2021年末にARスポーツ「HADO」のアイドル対抗選手権で見事優勝し、賞金100万円を勝ち取ったのですが、その祝勝公演が1時間ものフルパッケージであったのでした。
しかも、祝勝公演は入場無料。
公演終わりのMCで、三田さんはこうフロアに問いかけていたのが印象的でした(正確な文言は忘れました。あくまでニュアンスとお受け取りください)。

「みんなこの後予定ある..?帰らないでね?」

下手に出てお伺いを立てるかのようなくちぶりです。
「絶対来てね!」とグイグイくるアグレッシブさはなく、来てくれなかったらどうしよう...という不安が色濃く覗いていました。

不安に思うのも、それはそうかもしれません。
この祝勝公演、入場無料なだけでなく、来た人にはもれなくメンバー全員のチェキ券がプレゼントされるという、大盤振る舞い公演でした。
それもあり、フルでキャパ60人の会場は、コロナ禍ということを鑑みるとパンパンと言っていいほどに埋まっており、聞けば特典会の待機列はかなりの長蛇とのことでした。

その景色を観ていただけに、不安に支配されるのも分かります。
分かるのですが、他のアイドルならもう少し強気に出るであろうと思うのです。
でも、三田さんはネガティブな感情を隠そうとしません。
しまいには「何分の一しか来てくれなかったら...」なんて言葉も飛び出していました。

しかし結果としては、生誕祭も祝勝公演に負けじとフロアには人が集まりました。
本人の反応を見ても一安心だったのでしょう。

そんな三田さんですが、少しずつ前向きに変わろうとしている姿勢も見せています。
先日迎えた誕生日当日にはこんなツイートを残しています。

「幸せにしてあげるからついておいで」

もともと三田さんは発言こそやや後ろ向きではありますが、行動力はかなりのものがあります。
行動は言葉よりも雄弁だと、不言実行を地で行っている印象がありました。
その三田さんが改めて公言したわけです。
「ついてきてほしい」と。
こんな頼もしいことはありません。
安心して身を預けられそうです。

効果やインパクトは抜群だけど時に人を傷つけるような劇薬では無く、自らを奮い立たせるために「ついておいで」と言い聞かせる。
こういう人こそがもっとフィーチャーされてほしいと思います。

そして、次に書くことこそが、三田さんが余念なく取り組んでいることであり、多くの人を「ついていきたい」と思わせる一因ではないでしょうか。

わくわくづくり

Fragrant Driveのライブ後特典会はチェキ撮影が主なのですが、この日は「私物サイン」「ツーショット写メ」など、いつもでは味わえない特別な内容がついていました。
どうも三田さん主導でレギュレーションに取り入れられたそうです。

その中にはオンライン購入限定で「マスク無しで撮影のチェキサイン」権があり、僕はここぞとばかりに全メンバー分を取ったのですが、列の先頭で待っているとき、三田さんからカードのようなものを渡されました。

カードは5枚あり、それぞれに違うメンバーの名前が書いてあります。
どうやらこの日のためだけの、お手製の引換券のようでした。
しっかりとは確認していませんが、自分の名前もそこに入っていたかと思います。
これを持ってメンバーの元に行ってチェキを貰ってねと、そういうことらしかったです。

ただ残念ながら、三田さんに渡してもらった時には既に他の4人からはチェキを受け取り済みで、せっかく用意してくれたにも関わらず使いどころが無いまま回収となってしまったのですが、三田さんが生誕祭に向けて重ねていた「準備」の中にはこれも含まれていたのか..と驚きました。
制作には他のメンバーも手伝ったのかもしれませんが、少なくともアイデアは三田さん発案でしょう。
プレゼントするでもないものまでも手作りしてくれるとは思いもよりませんでした。

このような特別レギュレーションは今後なかなかないでしょうから、せっかく作ってくれたカードを転用する機会もそうないかと思います。
個人名入りだとするとなおさらです。
どこに向けているのか分かりませんが、言い値で良いので売ってくれないだろうかと思ってしまいます。

この日の三田さんは大忙しでした。
それは特典会の列が集中していたことももちろんなのですが、三田さん自身があちこちに動き回っていたからでもありました。
私物サインを書いたり、事前予約のフォトBOXの手渡しのために段ボールをガサゴソする姿をしょっちゅう目にしていたのですが、ちらっと見えたフォトBOXのデザインも本棚においておきたいほど綺麗でしたし、出かけて撮影したという中身もさぞ素晴らしいものだろうと思います。

三田さんが常々言っていることに、「わくわくさせたい」という言葉があります。
プロフィールや生誕ツイートにも入っており、「わくわく」が三田さんにとっての一つのキーワードです。

例えば地元栃木の「ぴえたん」による観光PRだったり、個別撮影会だったり。
色々な角度からファンを掴み、グループに還元しようという姿勢は加入後早い段階から目についていました。

この日でいえば、ライブ冒頭のぴえたんの出演やアナ雪での演出などがそうです。
さらにはライブ後のまさに「特典」尽くしな特典会であったり。
生誕祭は、三田さんの「わくわくづくり」が溢れていました。

ーーー

最後に余談ですが、Fragrant Driveを通じて知り合ったごく一部のファンの方について書こうかと思います。

生誕祭は、お祝いされるアイドルだけでなく「推し」として近い距離で祝福するファンも輝くイベントだと思っています。
例えばコロナ禍以前では、こんな光景がありました。
本編終了後、生誕委員としてペンライト配布やメッセージカード集めなどを取り仕切ったファン代表のかたがアンコールを呼びかけ、導かれるようにフロアが「アンコール!」と叫ぶ。
そんな光景です。
たいがいの場合、ファン代表の方は本編のライブで叫び過ぎてすっかり喉をやられてしまい、絞り出すように声を出していました。
カスカスの声を聞くごとに推しへの愛のようなものを感じずにはいられませんでした。

しかしコロナ禍に巻き込まれてからというもの、アンコールを呼び込む手段は拍手以外になくなりました。
拍手というのは、ときに淡泊に聞こえてしまいます。
メンバーが捌ける時にも等しく鳴らされるため、見分けが付かなく、本編終わりの拍手がなし崩し的にアンコールの拍手へと変わるというのがもはや普通になっています。
それはそれでいいのですが、予定調和感は否めません。

しかし、この日は予定調和に終わりませんでした。
一旦メンバーを見送る拍手が落ち着いた後、ファンの方主導でアンコールの拍手がはっきりと始まったのでした。
この流れは久々に体験しましたが、やはり良いです。

そして、この日アンコールの音頭を取られた方というのが、ツイッターなどで普段から良くしてくださる方でした。
この方は、僕が書いてきたFragrant Driveの関係の拙文に毎回目を通してくださる方で、コメントもたびたび頂きます。
その方からのコメントを拝読するたび、推しである三田さんへの愛を強く感じて暖かい気持ちになっていました。
アンコールがそんな縁ある方を起点にはじまったということもまた、この日のライブ空間を思い出深いものにしてくれました。

僕がFragrant Driveのライブに行くたびにレポを上げるようになってから1年、その方含め何人かのFragrant Driveファンの方は、これまで飽きずに読んでくださっているようです。
1年半以上にわたり様々なアイドルのライブレポを書いてきましたが、ここまで長いこと読んでいただけるのはFragrant Drive以外になく、非常にありがたいです。

ライブレポはあくまで誰のためでもなく、自分が吐き出したいものの受け皿のつもりで書いているのですが、予期せずアイドル本人からダイレクトの反応を頂くこともあります。
正直このことについては「ただの自己満なのに申し訳ないな..」と思いますし、このことを面白く思わない方も中には居るのだろうなという気持ちもあります。

でも、一部のFragrant Driveファンの方から継続して頂く反応によって、少しは人様に対しても意味のあるものになっているのかなという気持ちが芽生え、拠り所になりましたし、おこがましくもその方たちのために書こうという意識でここまでやってきたようなところもあります。

読んでいただく方のお名前をあえて挙げることはしませんが、ご自身のことだと分かっていただけてると思っています。
いつもありがとうございます。

見出し画像:Fragrant Drive公式ツイッターアカウント画像を改変


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