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【ライブレポ】リルネード春の北関東ツアー 2021 ~ここがわたしのHome Town~【東京公演】

6月5日(土)にTSUTAYA O-WESTにて開催された、3人組アイドルグループ・リルネードの表題のライブに行ってきました。

ライブレポに移る前に、観た履歴がまだ対バンライブでの2回しか無い自分のための勉強用も兼ね、まもなく結成2周年を迎えるリルネードについて概要を書いていきます。

リルネードは、元虹のコンキスタドールの奥村野乃花さんプロデュースにより2019年に結成されました。
グループ名は海の神である「リル」と「レモネード」をかけ合わせた造語で、グループコンセプトは「2020年代のおしゃカワ」。
現在は春の北関東ツアーを開催中で、今回ライブレポに書くこの東京公演はツアーファイナルとなります。

【メンバー紹介】リルネード

ツアーで北関東のみを巡るというのはなかなか聞き慣れなく、随分ピンポイントだなという印象を受けますが、ここにはメンバーの出身地が関係しています。
蔀祐佳さんと桐原美月さんは茨城出身、栗原舞優さんは栃木県出身と、メンバーの3人が全員北関東出身で、そうした背景がこの度の北関東ツアー開催につながりました。

ここまではwikiを引いただけの情報ですが、リルネードの何よりの特色が「可愛い・キラキラ」です。

昨2020年にリリースされた「もうわたしを好きになってる君へ」などは象徴的な曲だと思いますし、このMVを観さえすればリルネードが何たるかは少なからず分かるような気がします。
邪道を嫌った王道のアイドル像が見られます。

ここからライブレポに移り、セットリストの流れに沿って書いていくこととします。

◆セットリスト・ライブレポ見出し

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①「可愛い」だけなのか?

先にも書いたように、リルネードの世界観には「可愛い・キラキラ」を突き詰めたようなところがあります。
メンバーのビジュアル、纏っている衣装、そしてバンドセットにピアノとブラス隊の伴奏による賑やかな曲調にはそうした雰囲気が共通して流れており、一目でどういうグループなのかは掴めます。

この日のライブの幕開け、メンバーは初お披露目の衣装で登場しました。
おそらくこの日告知がなされた、この夏リリース予定の新曲衣装なのだと思われます。
メンバー登場時、フロアのどこからか「かわいい!」という声が上がっていました。
声を出してはいけないと思いつつも、これについては全くの同感です。

しかし、以前観た時にも感じたことですが、リルネードには可愛いだけではない芯の強さが秘められているような気がしています。

「可愛い成分」以外を色濃く感じたのは、例えば「キスより甘い 言葉より強い 本当の愛ください」と歌い、メンバー3人でそれぞれのメンバーを取り合うような愛憎劇風の振り付けがある「ラッタパリニャ」という曲。
この曲のステージ上で立ち回るメンバーは真に迫っていて、ステージ上で本当に喧嘩や言い合いを始めたのではないかと一瞬錯覚してしまいます。

ここには、可愛さという装飾の上に塗り重ねられたものが間違いなくありました。
可愛さというのはあくまで見た目や纏っている雰囲気であり、リルネードを支えている実の部分はそこではないように思います。
ビジュアルさえよければパフォーマンスが多少崩れていてもしょうがない、というありがちなアイドル像には収まっていません。

②本当に生歌なのか?

メンバーのステージ上での立ち振る舞いには感服するばかりだったのですが、何より驚かされたのが歌声でした。各論的に書いていきます。

桐原美月さんは、低めの音から上がってくるような感じの歌声に聴こえます。
曲のサビでメンバーがハモる時、たまに桐原さんの歌声と思われる低めの副旋律を感じるのですが、見え隠れするこの低音ボイスも良いです。

蔀祐佳さんは、桐原さんと比べると細めの歌声です。
繊細さは歌い方にも現れていて、手を胸のあたりにおきながら歌う姿からは、上手く聴かせてやろうという感じよりも丁寧に歌おうという意識が見えました。

そうして出されるか細い声は、薄くて破けてしまいそうにも思えるのですが、結果として破けてしまうこともなくソロパートの終わりまで持続し、最終的には美しい形となります。
壊れそうで壊れない。
この一連の流れからは、例えるなら和紙など繊細なものを作る工程が思い起こされます。
また、蔀さんの歌声は桐原さんや後述の栗原舞優さんほど特徴的ではないため、何にでもなれる器用な歌声という点で魅力的に思います。

栗原舞優さんの歌声は甘く、可愛い曲が多いリルネードの曲にさらなる可愛さを吹き込んでいます。
ところで、栗原さんがアイドルになろうと思ったきっかけは、スマイレージが2011年にリリースした「有頂天LOVE」と出会ったからだそうです。
この曲、MVは顕著なのですが、スマイレージメンバーのキラキラ感が詰め込まれており、いわば宝石箱を覗いているような気分を覚えます。
これは現在のリルネードの世界観とも大いに通じるところがあり、栗原さん自信憧れの対象に近づいていることを実感しているのかもしれません。


このように3人それぞれ違って聞こえる歌声なのですが、サビでのユニゾンパートに入ると見事に一つの音に集約されます。
思わず声に出してしまいそうなほど、その凄さをひしと感じていたのですが、あまりに歌声のまとまりが良すぎるため、中盤に向かっていくにつれ「サビだけ被せているんじゃないか?」なんて疑惑に似た疑問がちらちらと首をもたげてもきました。

今にして思えばかなり失礼な話なのですが、そう余計なことを考えてしまうくらい3人の音程がピッタリでしたし、3人の歌声の和がこうなる、という歌声の足し算が成立していないように思えたのです。

しかし、そんな疑問もこの日6曲目の「ラビンNν」でのトラブルで完全に解消されました。
5曲目「もうわたしを好きになってる君へ」が終わり「ラビンNν」に移るとき、流れ出すラビンNνのイントロにかぶさるようになぜか「もうわたしを~」のイントロが一緒に流れ出しました。

すぐに曲が中断。
曲中でなくイントロのトラブルのため、また仕切り直しで流れ出すのかなと思ったのですが、なかなかイントロがかかりませんでした。
その後しばらくして仕切り直しで「ラビンNν」がかかり、ステージが再び動き始めたのですが、それまでの繋ぎとしてリルネードメンバーがとった行動が、アカペラでの曲披露でした。
伴奏が流れているであろうと想定し、ラビンNνの冒頭から1サビまでを振り付けとともに歌い切ったのでした。
直前まで3曲連続で披露してきたステージの流れを止めないようにというメンバーの対応も見事でしたが、なによりそのアカペラでの歌声が全く乱れていませんでした。
期せずして生に近い歌声を聴くことができ、これによりやはり被せは一切ないのだと確信しました。

アカペラでワンコーラスを歌い切った後、栗原さんが念押しした「ちゃんと生歌だからね!」というコメントが心に重く残っています。

③歌声の引き出し

そんな歌声も、終盤に近づくにつれて若干変わっていきました。
恐らく喉の消耗によるものだと思うのですが、栗原さんが地声で頑張って出していた高音が裏声に切り替わったり、桐原さんの歌声が少しかすれ気味になっていたような気がしました。
こうした声質の変化は、後述するMCコーナーを経てからはすっかり回復していましたが、これもこれで歌声の新たなパターンを見た気がして、貴重な体験をしました。
ライブ時間が20分程度しかない対バンライブではまず聴けないであろう歌声です。

④長尺のMCコーナー

中盤ブロックの最後、「フォークソング」を終えてMCコーナーに移りました。

リルネードとして初めてのツアーとなったこの春ツアーを無事完走し、ラストに去来する思いを語ったメンバーの言葉にはこちらも感じ入ってしまいました。
ここは字数を割いてお伝えしたいところです。

蔀さんは、「過去のライブが下手すぎて映像を見返せない」「自分がグループの足を引っ張っているのではないか」と思い悩んだ話から、しかしこのツアーで「自分でもはっきりとわかるほどに成長できた」と自らのパフォーマンスの進歩を振り返っていました。
桐原さん栗原さんからも涙もろいよねと突っ込まれていましたが、蔀さんはこの話をしながら泣いていたようです。
しかし涙ながらのスピーチでも、蔀さんは自らの言葉は絶やすことなくしっかり話し切っており、芯の強さを見た気がします。

続く桐原さんは、蔀さんのことも受けてでしょう。「私は泣かないから!」としきりに言っていましたが、確かに蔀さんと正反対にシャキシャキした振る舞いでした。
内容としては、「高校2年の時に全てを捨てて単身上京した」という話に始まり、アイドル活動を続けていく中でなかなか高く保つことが出来なかった自己肯定感のようなものがやっと高まっていったというものでした。
まくしたてるように喋っていたものの、話の筋道はしっかりしていてすごく聞き取りやすかったです。
早口でダダっと喋り、その言葉を人の心にしみ込ませていく様は、オンステージで語る系のバンドマンのMCを観ているような気さえしました。
桐原さんの上京話は、アイドル雑誌「TopYell NEO 2021 SPRING」号の単独インタビューでも拝見しましたが、先を見据え、全てを捨ててでも行動する胆力は見習うべきところだと思っています。

蔀さんと桐原さんは個人的な目標やその達成について語っていましたが、最後の栗原さんのスピーチでは真っ先に「グループとしての成長」についてのコメントが出てきました。
結成当初の対バンライブではお客さんが4人しか居ないこともあったのに、今やツアーを開催できるほどに集客が増え、ファイナルにはこれだけのお客さんが来てくれた。
栗原さんは途中、蔀さんにつられて泣きそうにもなっていましたが、話が深まるにつれ徐々に冷静さを増していきました。

栗原さんの、自分のことよりまずグループのことというコメントや冷静な立ち姿からは、自分が最後をまとめるのだという思いが透けて見えるようでした。
リルネードは特にメンバー間でリーダーなどを決めていないのかなと思うのですが、栗原さんは特にグループ全体を俯瞰で観ているような気がします。

このように三者三様のスピーチでしたが、この日のリルネードメンバーのコメントは整理されていて非常に聴きやすかったです。
東京公演の内容はDVD収録されるそうですが、このMCコーナーがカットされないことを期待しています。
“ライブ素面”な状態で観ても十分入ってくる内容と思います。

⑤大団円の「王道的なLOVEソング」

ライブ本編の最後にチョイスされたのがこの曲。
サビにこんな歌詞があるように、けれんみなく明るい曲です。

主人公は私しかいないから
ハッピーエンドいつだって 掴めるのは 私だけ

カラフルなスポットライトに染められたステージの景色はとても綺麗でしたし、メンバー3人がとにかく輝いていました。

ところでこの曲、蔀さんが担当するソロパートに「傷ついた分だけ強くなれる」という歌詞があります。
この曲はあくまで恋愛がテーマのため、「傷ついた~」は失恋などのことを指しているのだとは思いますが、先ほどのMCにて「自分がグループの足を引っ張っているんじゃ」と苦悩した蔀さんのエピソードを聞いただけに、歌詞がまた違って聞こえました。

自らの足りないところを痛感して苦悩した蔀さんによって丁寧に歌われたこの歌詞は、人生訓的な響きをもって聴こえ、一層の励ましを貰った気がしました。

⑥希望が詰まったような風船の数々

アンコール後、トップスを各々のメンバーカラーのツアーTシャツに着替えて登場したメンバーは、本編でも披露した「フォークソング」を再度歌いました。
本編と少し違っていたのが、メンバーのマイクを持つほうでない手に10個弱の風船の束が握られていたということでした。
この記事の見出し画像に使っている画像がまさにこれです。
左手にマイク、右手に風船と両手がふさがっているため振り付けはなく、本編以上に歌が入ってきました。

メンバーと数々の風船という構図は、CDジャケットと全く同じです(https://store.dearstage.com/shopdetail/000000003990/)。

リルネードジャケ写

CDジャケットから飛び出したような3人の構図からは、原色のアイドルの姿を観たような気がしました。
ステージのバックに目を転じると、ここにも数々の白の風船が飾られていましたが、たくさんの風船は心まで満たしてくれます。

ところでこの「フォークソング」、いわゆる音楽ジャンルの「フォークソング」のことではありません。
曲調がフォークということではなく、バラバラな背景や夢を持って集まったメンバー3人が、「リルネード」という一つのグループにまとまって共通の夢を追いかけていくという様子を食器の「フォーク」に見立てた曲です。

この日1番サビに入るとき、ABメロまでステージの上・下・中央に別れて立っていたメンバー3人が中央に寄りながらコーラスしていました。
まさに3つが一つにまとまる、タイトルの「フォーク」を体現したようなシーンです。
このシーンでは言い知れぬ心の高ぶりがありました。

直後のMCコーナーではいくつかの告知がなされました。
この日初披露した「今夜、ロマンス劇場で」が収録されるであろうニューシングルのリリース、女性限定ライブの開催などが発表されたのですが、一番うれしかったのは次の大きな会場でのライブが発表されたことでした。

グループの結成2周年を記念し、7月31日に渋谷WWWXにて2nd Anniversary Live「Rirune! Rirune! Rirune!」が開催されるとのことでした。

良いライブを観させてもらい、しかもそのライブ中にメンバーの口から次の大きなライブの発表がなされるというのはありがたいことです。
リルネードは、結成3年以内にZepp Tokyoでワンマンライブをすることを目標に掲げているそうですが、その足がかりを着実に踏みしめていることを感じます。

以上がライブレポです。

この日のライブでは女性のお客さんが目立ちました。
だからこそ女性限定ライブも成立するのでしょうが、いつものライブアイドル会場とはまったくの別物といっていい客層には圧倒されました。

もちろん男性ファンも一定数いらっしゃいます。
男女共に受けるアイドルグループは貴重だと思いますし、それだけの魅力がリルネードにはあるのでしょう。
その一端をこの日見た気がします。

見出し画像:リルネード公式ツイッターアカウント画像(@rirunede)を改変


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