お客様の顔と名前を覚える。
ボクが販売員を始めて一年くらい、少し慣れてきた頃にリーマンショックが起きました。
ホントにお客さんが来ない。
お店のスタッフの中では年齢も社歴も一番若い下っ端でしたが、さすがにヤバイと思いました。
当時のお店は路面店で、1F2Fの2フロアで約250坪。
政令指定都市とはいえ、地方のブランドショップにしてはかなり強気です。
で、スタッフは総勢8人。
平日は5〜6人で回して、土日は全員出勤みたいな感じでした。
どう考えても多すぎ…
ほどなくして出張から戻ってきた店長から案の定の通告があります。
「2人辞めてもらいます。2週間希望者を募りますが、出なければ私が決めます。」
頭真っ白になりましたね。
だって確実にボクでしょ…
やっと慣れてきたレベルなんだから…
せっかく入社できた会社を2年もたたずクビになるとは…
結局、ボクはリストラの対象にはならなかったんですが、この店長の通告からお店の中の空気と言ったら地獄でしたね。
入ってきた数少ないお客さんに我先に飛びつくスタッフ…
いや…ホントに地獄絵図ですよ…
誰もがクビにならないよう結果を欲しがっていました。
まぁ、仕方ないですよね。
今はだいぶ少なくなってきたのかもしれませんが、当時ボクのいた会社は個人売上だけが給与の査定対象でしたから。
ボクは半ば諦めていたので、そこまでがっついた覚えはないんですが、それでも何とかして接客して売上を取ろうと必死でした。
そのとき思ったのが
「お客さんの顔と名前を覚えれば、すぐに接客に付けるじゃん!」
でした。
まぁでも、この時は余裕もないし無理でしたね。
もともと暗記苦手だし。
その後、会社の施策で
「カスタマーシートを接客したお客様全員分書け」
というのがありました。
カスタマーシートってある程度どの会社もある思うんですが(今は紙じゃないか?)、そのとき会社が出してきたのはお客さん一人に対してA4用紙一枚、それに目一杯項目があるわけですよ。
お客さんの職業に始まり、家族構成や好きな色とか買ったもの気になってたものとか…
コレを書くのがホントにイヤでイヤで…
やってるように見せることに一生懸命でした笑
このシートを書くことでよりよいサービスを提供するのがあるべき姿だと思うんですが、そのうち他のお店から
「200枚書きました!」
「自店では似顔絵を描いて分かりやすくして共有してます!」
みたいな声も飛んできたりして、ウンザリしました。
書くことが目的になってるから意味がない…
そもそもこのシート見ながら接客するわけにもいかないから、頭に入ってないと使えないわけですよ。
次第にこの施策は自然消滅しました。
ただ、
「お客様の顔と名前を覚えて、その他パーソナルな部分を頭に入れておけば、よりよいサービスを提供することができる」
というのは間違いないはずです。
じゃあ、どうやって頭に入れるのか?
そこで思いついたのが、
お客様の顔を見る時間を長くする
↓
お客様の滞在時間を長くする
↓
お客様と話す時間を長くする
↓
お客様にたくさん話してもらう
でした。
よくビジネス書のコーナーで「雑談力」といった類いの本を見かけますよね。
この手の本は読んだことがないので完全に自己流になりますが、「雑談力は質問力」だと思っています。
ボクは自他共に認めるフツーの人生を歩んでいますので、これといってお客さんに話す武勇伝がない。
お客さんの年齢層も、自分よりずっと年上だったこともあり、オシャレ指南みたいなのもやりづらい。
何より人は話を聞くよりしゃべる方が気持ちいいですよね。
ということで、
「いかにお客さんをしゃべらせるか?」
に力点を置きました。
お客さんがしゃべっている瞬間は、次にどういう質問をしようかとずっと考えています。
「話を聞く」と「質問を考える」が同時進行なので脳みそフル回転です。
なので、ボクが接客に付くと長いです笑
効率で言えば、お客さんを数多くこなした方がいいのかもしれません。
単価が低いお客さんを相手にするとなおさらです。
ボクもコスパ、費用対効果、この場合だと時間対効果が悪いことは正直嫌いです。
でも、長い目で見ると圧倒的に効率が良かったです。
お客さんにしゃべってもらう
↓
顔を見る時間が長くなる
↓
話した内容に顔と名前が紐付けられることで記憶しやすくなる
↓
しゃべれるからお客さんまた来る
といった好循環が生まれました。
お客さんもボクの顔を覚えてくれるから、先に声を掛けてもらったり、休憩してても呼んでもらったりとポジティブな効果が多かったです。
ただ注意点もあります。
①気持ちよくしゃべらせること
②売りたい気持ちを見せないこと
③お金を落としてくれるお客さんを見極めること
この3点ですね。
①気持ちよくしゃべらせること
長い雑談をしようと思ったら当たり前のことですが…
よくあるのが質問することに気を取られて尋問になってしまうパターンがあります。
要は質問ばっかりになっちゃうんですね。
質問に答えたと思ったら、すぐ次の質問が飛んでくる状況だとお客さんも疲れてしまいます。
適度に自分のことも話しつつ、
「あぁそれ追加でしゃべりたい!」
と思わせることが重要です。
この辺は経験ですね。
②売りたい気持ちを見せないこと
①に近いかもしれませんが、お客さんは「買わされる」と思ってしまうと心を閉ざしてしまいますよね。
商品の話は一旦置いておいて
「私はあなたに興味があります」
という姿勢が大事です。
経験を積んでいくと、お客さんの話から商品を結びつけて提案することができるようになりますが
(というか、これが一番重要なんですが…)
慣れない初めのうちはホントに売ることは忘れて、お客さんとの雑談に力を入れていいと思います。
と言うのも、お客さんって何か買いたいからお店に来てますからね。
見るだけって方もいますが、その延長線上には買いたいっていう気持ちが隠れています。
なので、その気持ちを後ろからそっと押すくらいの感覚で十分だと思います。
③お金を落としてくれるお客さんを見極めること
さっきも言いましたが、コスパ、費用対効果、時間対効果が悪いことはやりたくないです。
②に対してある意味逆説的ですが、買ってくれないお客さんに割く時間はありません。
「今日は買わなくても、近い将来買ってくれるかも…」
この将来をどの程度に設定するかにもよりますが、時間を割いて雑談をすることは未来への投資です。
タイムイズマネーですから。
投資したなら、回収しなければいけません。
この回収が見込めないのであれば、早々に損切りすることも必要になってきますよね。
といったところで、
結局、何が言いたいかというと、
雑談する先に大きな獲物が待っている!
ということです笑
販売における力はいろんな要素が詰まってますが、雑談力、質問力はけっこう大きな要素になるんじゃないでしょうか?
と、まとまりがない文章でここまで読んでいただいた方には、ありがたいやら申し訳ないやら…
今日も長々とよく書いたもんだ笑
まだまだ書きたいことはありますが、今日はこの辺で。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?