あなたに聴いて欲しくて
Half of what I say is meaningless,
but I say it just to reach you.
僕の言うことなんて
半分は意味もない。
ただ、君に聴いて欲しくて
話してるんだ。
ーJohn Lennon
いつも何かを語りたかった。
私の声はいつも小さかったから、
誰の耳にも届かなかった。
けれど、何かを語りたかった。
私はいつもひとりだったから、
誰かに振り向いて欲しかった。
話を聴いて欲しかった。
この胸いっぱいの想いを。
気づいて欲しかった。
この世界がこんなにも怖いことを。
でも、私は臆病で、
傲慢で世間知らずで、プライドだけが高かった。
振り向いて欲しいくせに、
歩み寄ることを、しなかった。
傷つくことが怖かった。
それ以上に傷つけていたのに。
こんなにも広い世界で、
こんなにもたくさんの人がいて、
私はいつもひとりだった。
たくさんの人が叫んでいた。
主張していた。
怒っていた。
嘆いていた。
憎み合っていた。
それでも最後はわかり合っていた。
私だけがひとりだった。
なにも叫べず、主張できず、沈黙していた。
臆病で卑怯で傲慢で、救い難いほど
プライドだけが高かった。
死ぬことをいつも考えていた。
もう嫌だった。疲れていた。傷ついていた。
悲しかった。寂しかった。
そして、辛かった。
「私」が「私」であることが嫌だった。
恥だった。苦痛だった。重荷だった。
この世界から消えたかった。
居場所なんてないのだし、
こんな自分消えてしまえと願った。
それでもわかっていた。
死ぬつもりなんて、ないことを。
死ねないことも、わかってた。
ただ、逃げたかっただけ。
辛いこと、嫌なことから逃げたかっただけ。
「死」という概念から離れたところで
のたうち回って、誤魔化していただけ。
結果、生き延びて引きこもった。
友人を失い、家族から距離を置き、
本で壁を作ってその中に立て篭もった。
終わってしまった筈の人生を、
呆然と眺め、それでもまだ「自分は特別だ」
と根拠のない妄想にしがみついていた。
救いようのない馬鹿だった。
それでも、何故生きていられたのだろう。
死ねないとわかっていても、
それが恥だとわかっていても、
無様でもいい生きていようと何故思えたのか。
吐き気の様に込み上げる涙を、
拭うのをやめたのは何故だろうか。
希望なんてない世界で、
それでも上を向いて歩もうと、
まだ何かを語ろうと思えたのは、
何故だろうか。
もう遅いのかもしれない、
世界はとっくに終わっていて、
私だけが、
それに気づいていないのかもしれない。
でも、語りたい。
もう誰もいない世界ならなおさら
私は語りたい。
なにを?
わからない。
でもいい。
叫びたい。
大声で、思いっ切り格好悪く、
私は叫びたい。
私の言うことなんて、
半分も意味はない。
ただ聴いて欲しい。
あなたに。
傷つき、涙が止まらないあなたに。
そして、
私に。
だから、これからも語り続ける。
何処へ向かっているのか、わからない。
なにを語りたいのかも、わからない。
それでも語りたい。
例え誰かを傷つけてしまっても。
私自身を致命的なまでに壊してしまっても。
いつか、
すべてを優しく包み込む、
あの暖かな光に出会うために。
さあ、
進もう。
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