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「Everybody Go」MVを考える。

Kis-My-Ft2「Everybody Go」

楽曲概要

今回はKis-My-Ft2のデビュー曲である「Everybody Go」のMVを分析する。
メンバーである玉森裕太、藤ヶ谷太輔が主演を務めたドラマ『美男ですね』の主題歌にもなっており、彼らが初めてCDシングルとして発売した楽曲である。
大きな特徴としてローラースケートでのパフォーマンスが挙げられる。1987年にデビューしたとされる光GENJIが行っていたローラースケートパフォーマンス、Kis-My-Ft2はこれをデビューシングルで引き継いだ。今現在、デビューしているジャニーズグループの中でローラースケートパフォーマンスを行うのは私が知る限りKis-My-Ft2のみであり、1つの独自性として確立されていると言える。(※1)

こうした特徴を持つ楽曲「Everybody Go」のMVを対象とし、考察を行う。

(※1参考 Real Sound HP)

MV分析

MV全体像

まずMVの全体像を見ていく。
セット全体は暗いトーンであり、冒頭登場するメンバーの衣装も黒などの暗いカラーで統一されている。その中で上記サムネイルにもあるような青い光、モニターの光などが差し込んでいる。冒頭、北山宏光のリップシーンをはじめ、逆光の構成が多く見られる。
MV全体にある明暗のコントラストから光に目が留まる。
しかしカメラが捉えたままの光ではなくいくつか編集で強調されている部分が見られた。そのため、この光の編集点に着目する。

編集による光

特に感じられた部分を図とともに示していく。

図1「Everybody Go」MV 1:08-

まずこの光の編集に気付くきっかけとなったシーンがサビ前のBメロ、1:08からある千賀健永のソロダンスシーンである。千賀の背後から照明が当てられているが、その光が図1の青で示しているようなダイヤ型で現れている。またその光がメンバーの上にも重なっていることから後の編集で光を加えたか、あるいは強調したか行われていると考える。以降サビまで続く宮田俊哉、二階堂高嗣、横尾渉のソロダンスシーンや、2番サビ後の間奏にあるダンスシーンでも同様の光が見られる。

また、他のダンスシーンでは異なる方法での編集がなされていた。
MV中には前述したローラースケートパフォーマンスが登場する。ここで図2のような粒子状の光が加えられている。ローラースケート自体は光っていないものの、暗いセット・衣装の中にある白いローラー部分にこのようなエフェクト的な光が分散する。
2:07以降のパフォーマンス、サビや間奏でローラースケートによる技を見せる際などもこの光が用いられる。

図2「Everybody Go」MV 2:07
千賀のローラースケートパフォーマンス

ダンスシーンのみではなく、全員が横並びとなったラストサビ前でのシーンにも光が追加されている。

図3「Everybody Go」MV 3:17
メンバー全員が並んだシーン

逆光でメンバーのシルエットが浮かび上がるシーンだが、図3で青く示しているように円状の光が前面からも加えられている。フラッシュに近い一瞬に消える光だが、これが画面のあらゆる範囲に訪れる。

また、ここで取り上げた以外にも画面を横切る青に近い光があらゆる箇所で見られることや、セットにある照明がチカチカと強調されるなど、MV中で光は強く表され、それに伴い画面全体のコントラスト(明暗差)も強められていると考える。

光の強調、その意図

何故編集による光の強調が用いられたのか。
まず考えたのは、当時のジャニーズグループで流行していた可能性である。
2011年8月に同じレーベルであるavexに所属していたV6の「Sexy.Honey.Bunny!」のMV、同年にデビューしたSexy Zoneのデビュー曲「Sexy Zone」のMV、年代や歴も近く2012年にデビューしたA.B.C-Zのデビュー曲「Za ABC~5stars~」と比較したところ、この「Everybody Go」ほど暗く、強い光が全体に及んだMVは見られなかった。

では、やはり楽曲のコンセプトに従っているだけなのだろうか。
ここで図3で挙げたメンバーが横に並んだシーンを振り返っておきたい。先ほどは光のみに言及したが、このシーンはメンバー全員がタンクトップ・ハーフパンツを身に着け、拳を構えたようなポーズをとっている。また包帯なども身に纏っていることから怪我のような演出も見られる。ここからボクサー的な(選手的な)設定があることを推察でき、光もまた選手入場の際のフラッシュや逆光を演出しているのではないかと考える。

ある目的に基づいた演出は他の光についても述べることができる。
図2、ローラースケートの光はそのまま、ローラースケートパフォーマンスを強調しているのだろう。これがローラースケートを用いる際の全体ではなく、大きな技(ポールを使ったパフォーマンスや傾斜を下る際など)に表れていることからも容易に推察できる。

では図1は何を目的とした光であるか。このMV中では図1の際に示した千賀、宮田、二階堂、横尾の4人のリップシーンがほとんど見られない。そのため、必然的にバストアップの画面も少なくなる。このような状況にあった彼らの姿を印象付ける、強めるために光の強調がなされたのではないだろうか。実際に他3人、北山、藤ヶ谷、玉森のシーンではこうしたダイヤ型の光の強調は見られない。このことからも上記のような目的に基づいて編集されたと考える。

楽曲自身と彼ら自身の強調

今回の分析結果をまとめる。
「Everybody Go」MVでは光の編集が見られ、それはダンスシーンやローラースケートパフォーマンス、演技シーンなどに見られた。それぞれ異なる編集がなされていたが、共通点としてどれもその物を強調する目的から行われていた。
楽曲のコンセプトで言えば、歌詞にもあるように「この時代のチャンピオン」といったチャレンジャー的な意図を含んでいるだろう。しかしそれに限らず、彼らの個性であるローラースケートやメンバー全員という目的に基づいて編集が行われていた。

つまり、「Everybody Go」MVでの光は1つの曲として、そしてデビューする彼ら全体として、それら全てを照らすように用いられたのだろうと考える。

反省

ひとまず今日中に書き切れてよかったと。しかし時間超過が目立つ。方向性や指針を持ちつつ、視野を広げることの共存を課題としていきたい。あとは書きながらの整理。
また読みづらい箇所、分かりにくい箇所、感想等あれば教えて頂きたい。
よろしくお願いします。

(結成17周年、まもなくデビュー記念日、おめでとう)


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