見出し画像

しろいへや【詩】

なんだか分からぬパーティのさなか
わたしへ電話がかかったようで

リンリン呼ばれてせまいへやに入ると

男か女かも分からないくらいの小さな子が
ひょいと受話器をなげてよこした

それをぱちっと耳に当てると
ぜんぜん知らない声がする

「あなた、とてもまっしろね」

「マザー・グースですか」

はたと目を上げてみれば

もう子供はいなくなっていた
もちろんドアもなくなった

あたりはしろい壁に囲まれて

もうせまいへやから出られない
もうしろいへやから出られない


村井 悠

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?