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迷い子の夜

 幼少期は家族と離れ離れになってしまい迷い子になった。一人が怖くて心細かった。「お母さんどこにいるの?」「お父さんに早く会いたい」泣きじゃくりながらさまよい歩いた。あの時は星屑が夜空に散りばめられて幻想的でロマンチックだった。だけど、その姿には人間性がないものにしか捉えておらず、恐怖の対象だった。

 大人になりまた迷い子になった。もう迷い子になることもないと油断していた。今度の迷い子は人生の迷い子だった。人生を未来を創造することに失敗した。どうすればよいのか分からなくなった。「こんなことになるはずではない」「過去に戻りたい。人生をやり直したい」涙を流しながら呪った。家族のもとにも居たくなくて逃げ出した。一人になりたかった。逃げ出した先では星屑が夜空に散りばめられていた。幼少期に見た光景と同じ。涙が流れる程綺麗だった。夜空を涙目で見ながら疑問を口にした。「これからどうすればいい?」「いつになれば迷い子から抜け出せる?」

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眠れない夜に

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