お盆休み

　「もう少しでお盆休みだね」「お盆休みに入ったら田舎のお祖父ちゃん・お祖母ちゃんのお家に行きたい」帰り道。家族連れからお盆休みの予定を問う声がちらほら聞こえる。子どもの楽しみにしている顔・声。きっと本当に楽しみなんだろう。その子どもの姿を見て羨ましさを感じる。
　幼い頃はお盆休みが楽しみだった筈。お盆休みの予定を何度も家族に聞いていた筈。だけど、現在ではお盆休みが近づくにつれ苦痛になった。しんどくなった。一昔前は一つ屋根の下に住んだ家族。別々の屋根の下で暮らしてからは血の繋がる他人。お盆休み・年末年始に顔を合わせるのに勇気が必要。「もう少しこの先のことを考えて生きられない？」「あんたのせいで肩身が狭い」小言の短刀が心をグサリと刺す。言い返したいのに言い返せない。正論だから。正義だから。拙い言葉でしか言い返せず。言い返しても理解されず。昼間はニコニコ作り笑顔。夜に枕に顔を埋めボロボロ泣く。
　小言の短刀に突き刺さりお盆休みが苦手となった。