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ワスレナグサ

 三月。生暖かい春の風に吹かれた昼下がりの街の中。たった一人でカメラを首にぶら下げながらテクテクと歩く。本当の目的は近くの河津桜を見に行くのだが、道中何となく見つけたものを片っ端からカメラで撮影する。「綺麗だから」というゆるふわな理由を付けて。思い出のカメラで。ずっと大切に大切に保管されたカメラで。撮影する対象物は澄み切った青空。人でごった返したカオスなビル街。すぐ近くをノソノソと歩く野良猫(三毛猫)。もはや何でもあり。歩いては止まりカメラで撮影を繰り返すとあるものを見つけた。
 そこにあったのはワスレナグサの群生地。ワスレナグサは淡く少しくすんだ色合いで閉じ込められた様。その姿に目を奪われる。すぐにカメラで撮影。カメラで撮影中ワスレナグサに不思議な力が籠もっているのを感じる。もしかして魔力?それとも忘れられない大切な宝もの?撮影後被写体を確認。確認中ワスレナグサの中からそっと誰かを呼ぶ声がした。

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