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AC自助グループ「いやし・は〜と」のグランドルールです

「いやし・は〜と」のグランドルールです
(ミーティングの安全を守るためのルール)
★の部分は重要です


 私が、このグループ運営で最も大切にしている事は、
(1)”人権” =「誰かが、誰かの心・身体・感情・尊厳・命を傷付ける
事を許さない」
(2)トラウマ・インォームド・ケア=「トラウマの理解」
(3)「2 次加害を起さない」の 3 点です。
このグループでの活動もルールも、この考えのうえに成り立っています。

 ACや各種依存症の自助グループのやり方の、伝統的で主流なものとして"AA"方式(=言いっぱなし、聞きっぱなし)があります。そこでは、仲間に対して、一切の反応や対応の禁止、固有名詞を出す事の禁止(=情報の交換ができない)…などの特徴があります。
 そこでは、メンバー間の全ての反応が禁止されているため、ミーティング中は、細かいルールは不要です。
 それらのグループと違い、「いやし・は〜と」はフリートークも入れ、固有名詞もOKの方式です。理由は、私自身が “言いっぱなし、聞きっぱなし“ の環境よりも、仲間との、会話や、感情や、表情など(つまり、人と人)の交流の中で、より癒やされてきた経験があるからです。そのため、ここでは参加メンバーの心身の安全を守るため、AA系統とは別種のルールが必要です。
 そして大切なのは、自助グループで、仲間から言われた言葉で傷つく事は、絶対あってはならないという事です(さまざまな言葉がトリガー、"ひきがね"になり即時の心身症状も出る方もおられます)。
 
 ★仲間の話は最後まで聞き、話の内容(つまり話し手の感情)と、その人の存在そのものの否定、批判、決めつけ、評価、説教、討論、意見の押し付け.....などは厳禁です(しかし、それに気づく事自体が難しい、という事を後で説明します)。
 ★質問は禁止にはしませんが(語り手の思考を深めたり、引き出したりする場合もあるため)、最大限の配慮と尊敬、語り方をもってお願いします。一つ間違うと、境界線を越え、相手を大きく傷つけることになります。
 ★アドバイスは相手から「明確に求められた時にのみ」お願いします。
ここは「他のメンバーをなおしたり、導いたりする場」ではありません。
 
 AC自助グループで、最も大事にすべき事は、アドバイスでも、ジャッジでもなく(=それを非審判的態度といいます)、
「愚痴、泣き言、弱音、悲しみ、恐怖、怒り、憎しみ、劣等感…等を、安心して思いっきり吐き出せる事。そして、それを批判・否定される事なく、あたたかい雰囲気の中で共感的に受け止められる事(つまり、カッコつけたり、立派な建前や、"世の中で正しいとされている事" は言わなくていい)」です
(これを、“AC自助グループの基盤“と名付けましょう)。
 
 この場は、仲間の生き方や、考え方が "正しいのか・正しくないのか" を判断する場ではありません(それは、医療や福祉や、他の場所でする事かもしれません)。とりあえず、ここで必要なのは、"200%の受容"のみです(この場に"正論"は不要です、と言うより、害になる事が多いです)。
 なぜなら、ACの方々にとって、回復に必要不可欠な、そういう環境は、おそらく自助グループでしか実現しないからです。
 そこが基盤であって、それが無ければ自助グループの存在意義はないです。話を全部じっくり聞いてもらえて、受け入れてもらえて、理解してもらえて….とりあえずは、それで充分です。
 
 求められてアドバイスする時も「私の場合は~だった」「私はこう思った」など、自分を主語にした、“アイ・メッセージ“ でお願いします。
 
 仲間の話への反応は、共感や自分の体験を通した内容でお願いします。
例えば「私も同じような境遇で、お気持ちが伝わってきます」とか
確かに「私は、そういう時は、こうやって解決しました」とか←自分の体験の共有は大切な時もあります、しかしこの後に、だから「~したらいい」「〜絶対いいですよ」「~すべき」等と付けるとアドバイス=押し付けになるので禁止です(そういう言葉を使わなくても、話し方や口調によっては、聞く方が強制を促されたように感じる事もあります、気をつけて下さい)。
 また「そもそも、(例え同じ問題を抱えていたとしても)他人が解決した方法など別に知りたくない」という場合も多々ありますので、配慮お願いします。
 ちなみに、“絶対“ や “大丈夫“ など「励ましの言葉全般」も、言われる方が、すごく重荷に、あるいは逆に空虚に感じる事もよくあるので、基本的に不必要です。善意で無意識に口から出る "絶対大丈夫!"という言葉は、苦しんでいる方への強烈な感情否定になる事があります。それよりも、悩んでいる仲間の感情を、そのまま受け止めてあげて下さい。
 
 上に書いたように、体験・情報・知識の共有は非常に大切です。それは自助グループの重要な目的のひとつです。ただ、それを無意識的に押し付けてしまう事(=言われた側が、重荷に感じてしまう事)があると、それは問題になってしまいます。
 
 では、なぜここまで、“求められないアドバイス“を禁止するかというと。
・アドバイスは、
1、「それまでの、その人のやり方の否定」そして、
2、「本人が決定すべき問題に対し、他人が意思決定する事=命令、押し付け」
と紙一重だからです。
 (ここで本人が望まないのに、その人の人生をジャッジ(正誤判断)したり、介入・コントロールしたりするのは境界線の侵害です。また、アドバイスされたとしても、どういうやり方を選ぶのか・選ばないのかも、本人の自由です、それを他人が強制する権利はありません。それを自己選択権・自己決定権といいますが、上の人間の言う事に服従すべき、としてきた日本人にとって、大切な概念です(またそこに、ACによっては自分で選択・決定する事が怖くて、他人に依存してしまう。その一方、別のACにとっては、"他人の役に立つ=認められるという行為に依存してしまう=共依存"、という事柄も関わってきます)。
・言っている方は善意であり、言われている方も、その時は意識にあがらなくても、後で大きなモヤモヤを感じる事も非常に多いです。
 
 こういうのを、2次被害と言うのですが。とにかく楽になりたいと思い、せっかくつながった自助グループで「ただただ、思いを吐き出して、聞いてほしかっただけなのに~」「自分も、とっくに実践している事を、知らないと思われ、長々と説明された」「自分の状況や家族の詳細も知らないくせに、見当はずれのアドバイスを押し付けられた」等々の体験で、自助グループにも精神的に行けなくなり、それどころか人生の中の、大きな傷として残ってしまうことも、残念ながら、あちこちで、あることです(ここではないですが、私自身もたくさん見聞き、体験してきました)。だからこそ、ここではそういう事は起こしたくないです。
 
 また、グループ内での会話の中でも、AC回復途中の方々にとって、自分を大切に思えない要素を作るものとして、「親目線・世間目線の言葉」や「宗教的 (スピリチュアル含む)・道徳的価値観」があります、これらは「ACの心身や感情や命よりも、親や社会常識=世間体を大切にしがち」「依存や、死や、(親や自分を)傷つけるといった感情を、頭ごなしに全否定しがち」「弱っているACを正論で追い込みがち」「本人の感情や人生の状況を見ずに、感謝・ゆるし・前向きな感情などを強制しがち」「ACの苦しみを矮小化しがち」などを多く含むため、参加メンバーが「今、悩んでいる、苦しんでいる」という自分の本心を吐き出せない、つまり、自助グループの基盤が根本から覆されるという事がおこります(つまり、場が、苦しんでいるその人の感情を、知らず知らず否定している状態です)。
 そういう理由から、それらは「AC自助グループで」言うにはふさわしくない事が多いです。AC=今ここで悩んでいる、子供としての感情や立場を、完全に尊重できないなら(そのうえ、ACの苦しみよりも、親や世間の立場を重要視するなら)、AC自助グループが存在する意味はありません。
 例えば「ダメな行動をやめなきゃ〜」「あきらめずに、前向きに進まなきゃ〜」「きちんと運動して、食べて、寝なきゃ」そういった言葉は、ここへ来る方々は、すでに浴びるように聞いてきてますし、日々ご自身の中でも繰り返して、自分を責めておられる方も多いです、「努力・頑張れ・諦めず・根性・前向き・早く元気に動くのが良い」などは、ここで聞く言葉ではありません。
 また「親も大変だった」「完璧な親はいない」「〜が、そんな事するはずがない」「あなたも悪かったんじゃない」「ちゃんと〜したの?(〜しなかったのが悪いんじゃない?)」「もっと大変な人がいる」「気にしすぎ、気の持ちようだよ、忘れなよ」(これらはいずれも、ACの感情の無視・否定・強制です)、などとグループで言われ、立ち直れなくなるACも多くいます。それらは、(自分の体験談として語られるならともかく) 他のACに向けて発せられると、命に関わる凶器になる事が多々あります。それらはあってはならない事です。
http://thyme.buzz/sexual_violence-2/」
↑このサイトは、性犯罪被害者にかけてはならない言葉の説明ですが、ACでも全く同じです。興味があれば、お時間のある時などに読んでみて下さい。
 
★また、もし自分の話に対して、全く反応がいらないと思われる時は(話す前や後、あるいはフリートークの途中でも、いつでもいいので)「聞きっぱなしでお願いします」などと言ってもらえれば、そのようにしますので、ご遠慮なく言って下さい。

 ここでは「同意(=何をするにも本人の意思を最重要視し、対等な立場で、きちんと言葉で確認する)」という概念を大切にして下さい。
 アドバイスを求める方は「〜についてアドバイスお願いします」のように、明確に求めて頂くようお願いします。それが逆に「明確に求められない時はしない」という意識につながります。
 求められた方も、例えば、1のアドバイスを求める人に、10のアドバイスをしてしまうのは、よくありがちなので、きちんと相手の反応を繊細に感じながら、お願いします。

 例え表向きは、この場で明るく元気に振る舞っているように見える方でも、毎日の人生で "生きるか死ぬか" という深刻な状況にさらされている、という方は多くおられます (外見は全くあてになりませんし、この場で得られる情報は、その方の人生の100万分の1以下...でしょう)。そもそも深刻さの程度によらず、ここへ来られる方々に「ああしたら、こうしたら~」その他、軽々しくその人の人生に踏み込んでいく事は、ある意味、医者でもない一般人が難病の手術をするに等しい、危険で無責任な行為となり得ます(初めに書いたように、昔からのタイプの自助グループが、仲間への反応や対話を一切禁じているのは、そういう理由もあります)。   
 このグループで、フリートークを入れている理由は "互いの共感を深め、考えや経験を深めるため" であって、”その方の人生をまな板にあげて、皆でああだこうだ言う” ためではありません 。ここは、他人の手術をしたり、人生相談をまねる場ではありません、"他人を助けたい" とか、"他人をどうにかせねば" といった気持ちは侵害になる事があります。「あなたのため」と言いながら支配してきた、過干渉タイプのACの親と同じ過ちを、ここでしないように気をつけましょう。また、逆説的に言うなら、ただじっくり聞き、受け入れる事が、その方をエンパワーする(力づける)第一歩になります (反対に、雑談の場面では、大いに盛り上がるのもいいでしょう)。
 
 普通は、ミーティング後も、2時間ほど場所を押さえてありますし、部屋や外などで、話したい方と交流して頂いて構いません。
 なので、ミーティング中は、これらのルールを守って頂くよう、お願い致します。


 その他
★今日は話さずに聞くだけにしたい時や、(質問に)答えたくない、聞かれて不快な事などは話さなくて結構です(「パスします」などと言って下さい)。
★ここで話された内容の詳細や、個人情報は外に出さないで下さい。
★営利ビジネスや、宗教系などの勧誘は禁止です。
★ミーティング中に、気分や体調が悪くなった場合は、ご遠慮なく部屋の外などで休憩して下さい。
★参加にあたって、配慮が必要な事があれば、始まる前、あるいは、いつでも遠慮なく仰って下さい。
★ここには、心身ともに繊細な方が多く来られます(場合によっては、すぐに心身の大きな症状としてあらわれる方もおられます)。そのため「大きな声や物音」「強い口調」あるいは、先に説明した「討論」「説教」やその他、メンバーの心身の安全が守られない言動があった場合、退場して頂くこともあります。


(いろいろ、キツく、面倒に聞こえるかもしれませんが、それでも、ここは雰囲気も含めて、他と比べても、かなり自由で、あったかいグループだと自負しています…これは、もちろん参加者の皆さんのおかげです。ありがとうございます。
 また、私自身も、学び途中の完全ではない人間です、皆さんと共に、試行錯誤しながら、素敵なグループにしたいと思っていますので、どうぞ、よろしくお願いします😺)

※上記の内容は、全て無断転載厳禁です


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