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空港の手荷物検査でざわついた話

帰省からの帰り、空港でちょっと焦った話。
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帰省して惰眠と暴食を貪り、あっという間にフライトの前日。
荷物をあらかた発送し、空っぽのスーツケースが残った。

何か持ち帰るものはないかと物色すると、廊下の隅にジャガイモの山を見つけた。

前日に行った地元の道の駅で10種程度のジャガイモが売られており、テンション上がった私がジャガイモを買いまくったが、その後、地元の友人と遊びに行き、すっかりその存在を忘れていた。

「こんなに芋ばかり残されても困る」と両親に言われ、空っぽのスーツケースにジャガイモを詰めて帰ることにした。

フライト当日、ジャガイモ9割、玉ねぎにんじん1割のスーツケースを曳きながら、空港でお土産を物色した。
白い恋人を買った後、おもちゃ売り場で、ゼンマイ式のカブトムシのおもちゃを見つけた。
見た目も、ゼンマイを回すとウゴウゴする感じも本物っぽい。気に入ったので購入した。
飽きたらお隣さんの坊やにあげよう。

空港の保安検査へ行き、スーツケースをX線に通してもらった。X線のモニタに芋が映る。
ちょっと面白い。
保安検査官の方は、黙々と荷物をチェックしていく。プロだ。

荷物を受け取ろうとすると、
「あの、この荷物の件で…」
と、検査官の方に呼び止められた。

やはりジャガイモか。
すみません、ジャガイモが多くて
「…いえ…ジャガイモは良いのですが…」
ジャガイモは、問題なかったらしい。

「映った箱の中を確認させて頂けますか?」
はて、箱…。
大量のジャガイモで、私への警戒レベルが上がったのだろうか…思い出した。
「カブトムシ(のおもちゃ)が入ってます。」

「カブトムシ??」
警戒レベルを上げてしまったようだ。

「すみません、おもちゃのカブトムシです。甥っ子へのお土産で…。」
羞恥心が生まれ、勝手に甥っ子を創り出した。

「あぁ、おもちゃのね…。」
警戒レベルが下がり、少し空気が和らいだ。

私は急いでスーツケースを開け、ジャガイモの中から箱を取り出した。
周りの視線は箱ではなく、ジャガイモだらけのスーツケースに向けられている。

「これです」
女性の検査官にカブトムシを見せた。
その瞬間、ゼンマイのネジが少し戻り、カブトムシがウゴウゴ動き始めた。
「うっ!」
検査官を脅かす気は無かった…。
私は平謝りしながら、保安検査場を後にした。

追伸
無事飛行機に乗って、戻ることができました。
ジャガイモは、用途に応じて品種を使い分けるのが大事です。トウヤの粉吹きにバターが大好きです。

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