あした、昔のセフレに5年ぶりに会う

とにかく好きだった。
いまおもえば、誰かを好きという感情に依存してたんだと思う。
ニックネームは馬。馬面ではないけど、訳あって馬。

たまにしか会えないし、会っても雑で乱暴。
私のことなんか1ミリも好きじゃないのに、毎日毎日思い続けた人。義務みたいに。
これが単純接触効果なんだと思う。

わたしはそういうのにしこたま弱い。
まんまと沼った。自分で仕向けたようなもので、馬が私を沼らせたわけじゃない。

2018年の冬。
馬にとっての帰省先であり、私にとっての地元の街で出会った。
よく通ってたクラブで、いつのまにか後ろにいたのが馬だった。
振り返ったらかっこよくてメロメロになった私は、クラブ内だから楽しめるタイプの接触を終えて、
しおらしく、でもノリノリで、ホテルに向かった。
(ちなみに、友だちと同じホテルの隣の部屋に入った。後にも先にもこれがはじめて。)

当時の良chinランキングでは圧倒的に第1位だったし、今まで付き合ったことのない顔だった。
ひとつ年上で、昔から一つのことに打ち込んでいてそれが評価されたタイプの人で、ハタチの私は軽率に沼った。

今考えたらすごくイケメンとかではないけど、
確実にあの日から、あのタイプの顔が好きになった。

それくらい、この出会いは私の人生に影響を及ぼしている。

すぐにまた会いたくなった。
また会うためには、馬が帰省してくるか、私がその人の住んでる所に行くかの2択だった。
もちろんなかなか会えなかった。

会えなかったから、こっそりTwitterのアカウントを見つけて、
ツイートやいいね、フォロー数の増減まで確認した。
わざわざそのために遠征するほどバカではなかったけど、
就活のタイミングで何回か会った。
会うたびに扱いがどんどん雑になっていった。

好きだったポイントは、どう考えても顔だけ。
なんであんなに好きになれたかと言われると、若かったとしか言えない。

どこで何回会ったとかは覚えてない。記憶がない。
当時は当時で精一杯、その時を生きていたんだなあと思う。

最後に会ったホテルがあまりにも安くて小さくて粗末で、魔法が解けたことは覚えている。
飽きたんだとおもう。
そのあとからの記憶はある。

それから5年。

再会の始まりは、この前の年末年始。
友だちとひたすら思い出話をした日。
ついまがさして、久々に連絡してしまったことがきっかけだった。

思い出話の中に、馬の話がでてきたから。
なんか、当時の、すべての血液が燃えるような恋心を思い出してしまった。

「地元は同じだからもしかしたら会えるかも」くらいの気持ちでLINEしてみた。結局、その日は会えなかった。
けど、どこに住んでるかを聞かれて、教えた。
私も聞いたらめちゃくちゃ遠い所に住んでて、もう会うことはないな、なんてしんみりする間もなく、一瞬で心から消えてた。

そこから2ヶ月。
突然、馬から電話がきた。

動揺して、なぜか出ちゃった。
ヤカラみたいな声と喋り方で、ああこんなかんじだったな、って思い出した。
やっぱり美化してた。
私がたのしみにしてた映画デートに、泥酔状態で遅れてくるような人だった。
そんな、いろいろな嫌な思い出も呼び起こすような声だった。

要件は、来週からそっちに異動になった、という内容。
○日、空いてないの?と言われた。
絶対空けられない日だった(商社合コン)。

その他2日程くらい打診があったけど、
お互いの休みがあわなくて、マッチせず。
そっけないかんじで、またねーって言って切った。
 
でも不思議なことに、
私は携帯をもったままニヤニヤしていて、
当時の熱狂的に大好きな気持ちが蘇っていた。
いや、蘇ってはいない。
だれかに熱狂的に恋焦がれたい気持ちが、私を再び熱狂的な馬好きにしようとしていた。

気づけば、別日程を探して送っていた。
友だちとの飲み会があるかもだから聞いてみるね、と言われた。
結局だめだった。
さらにもう一日程おくるほどのやる気はなくて、
軽めの返事か既読無視か、スタンプとかで返したと思う。


それから1週間。
わたしもむやみに連絡はしなかったけど、おやすみモードにしてる間に、突然電話とメッセージが届いてた。

このまえ言ってたあの日、やっぱり空いてない?って内容だった。
自分でもなぜかわからないけど、私はなんとなく、この展開を予想してた。
今週は、先週の金曜から次の日土曜まで飲み会で埋まっていて、そんなハードスケジュールの中、私はその日を空けていた。


そして明日がまさにその日である。

私はまた熱狂的に馬に恋焦がれてしまうのか。
それとも、自分を雑に扱う男なら、たとえ顔がよかろうと、どうでもいいなと思えるのか。そんな自己肯定感がいつのまにか育っているのか。

どちらにせよ、一度きりの人生を楽しもうとおもう。🐎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?