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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉓

「ライバル登場」


「わん、わん」
「わん、わん」
白いもふもふの塊がクルクル回ったり、飛び跳ねたり
車いすのひざに前足をかけて、抱っこをせがみます
かわいいかわいい長男タッチの熱烈大歓迎が待っていてくれました!
「ただいま~、タッチ~」
さあ、
タッチが待ちわびていたママは、最強ライバルの
赤ちゃんを連れて帰ってきたのでした
娘が泣いて、おむつを替えたり、母乳をあげたりすると
たっちくんのいたずらがはじまります。
リビングの一角の畳コーナーにぴょーんと飛び乗り
畳をがりがりひっかきます
「たっち」
「だめ」
一瞬手を止めて、こちらをチラッと見て
また、がりがり、がりがり
「たっち」
「だめだってば」
 
ずっとこの調子で
畳ははがされ
柱は傷だらけ
ドアもかじられ
建ててからまだ2年程の新居は
日に日に傷が増えていました。
これは、
「ママ~、ぼくも~」
と一生懸命訴えていたタッチの心の傷だったのです
近頃では、わんちゃんと赤ちゃんが兄弟のように寄り添って寝ている様子や
ペロペロ顔をなめている写真など普通に見かけますが
当時の我が家はかなり神経質で
しばらくの間はタッチと娘の間には少し距離があったのです。
 
お七夜
お宮参り
お食い初め
初節句
1歳お誕生日祝い(一生餅)
様々なイベントが次から次へとあり
 
初節句には
あの日の約束通り
母からのプレゼント、豪華な七段飾りの雛人形がリビングに
飾られました。
10年以上も前のあの日
母は車椅子の娘に言いました。
「結婚したら、女の子を産みなね、お雛様買ってあげるよ」
思ってもみなかった母の言葉はうれしかったけれど
「いや~それは無理でしょ」心の中でとつぶやいていたのに
夢がかなったのです。
 
自宅に戻ってからの育児の記憶があまりありません
第一子のあるあるの通り(?)
あまりよく寝てくれず、(母乳だけだったせいもあるかもしれませんが)
おっぱい、おむつ、ちょっと寝て、またおっぱい、おむつ
の繰り返しで毎日毎日必死だったのだと思います。
(もちろん、夫も義母も協力してくれていましたが)
思い出そうとしても、思い出せません
あ、
毎日のお風呂はパパの担当です
会社から帰ると夫はお風呂に直行でした。
あ、それから、子供部屋を2階に増築!
1歳半頃親子3人で野尻湖へ旅行にも行きました
 
長女が2歳になる春のことです。
つばめの鳴き声が盛んに聞こえます
何事かと見てみると我が家の駐車場の天井に
つばめがせっせと巣を作っていました。
 
「あら、何かいいことでも起きるかな」
なんて思っていたら・・・
 
あら、あら、あら
えっ?
 


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