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詩集 まほらの詩(うた)

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自薦の詩を載せています。 よりよい表現を追求しつつ編集します。
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2024年4月の記事一覧

詩 朗々の花

詩 朗々の花

年老いたわたくしが見た花
朗々の花
翳りゆく花
死に向かって咲く花

かつて若かったわたくしの花
老老の花を一本くださいな

いとしいあの人へ
持たせてあげたいのです

あの人には
もう 歯がありません

あの人には
もう 何も見えないのです

この悲惨なニュースも
もう 何も聞こえません

一日さえも儚げで
明日のことも分かりません

老老の花をわたくしに一本下さいな
一本だけでよいのです

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詩 無常の哀しみを抱いて…

詩 無常の哀しみを抱いて…

未明に ふとめざめた わたしに
ちいさく コトりと
戸をたたく音がきこえた

誰もきづかない ときに…
わたしは そっと 戸をあけ

その人にあい よろこぶのだ
よく来たと 泣いているように
抱きしめて しずかに そっと…

その人は なにもいわず
たちつくし ちからなく 
わたしを抱きしめる

よくぞ ここまで尋ねてくれた
身にひき寄せ 泣きじゃくり
ひとしきり 泣きじゃくり

やがて ただ 安

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