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論点は「都会か田舎か」の二択ではない?(2024/03/19)

 私自身は首都圏育ち・在住です。夫は石川県七尾市の出身で、現在も親族は七尾にいます。令和6年能登半島地震の被害に遭った地域です。幸いにも親族およびその家屋は無事でしたが、発災よりこれまでにいろいろ思うことがありました。自分の脳内整理のために、本稿を執筆したいと思います。

 夫の実家である七尾市付近には、結婚以降 何度も足を運んでいますが、とても魅力的なまちだと思っていて、「いわゆる故郷」が無い私にとっては勝手に第二の故郷と思っていました。しかし、首都圏出身者との会話では、「七尾市」と言っても通じないどころか、「石川県=金沢」くらいの認識の方も多いです。

 確かに、私も夫と知り合ったから知ったものの、それまでは七尾市の存在は知りませんでした…

 そんな中、木下斉さんのvoicyの放送で、以前から「一本杉 川嶋」さんの話はうかがっていましたが、今回改めて木下さんからも七尾はじめ能登は魅力ある土地だということを下記リンクの放送から感じました。

 これまで、ぼんやりと自分の中で考えていた「現在の自分の住んでいるまち」と「七尾」との違いについて触れてみたいと思います。ちなみに私の現在住んでいる地域の人口密度は7,000人/km2を超えています。七尾市は、Wikipediaの情報によると148人/km2です。


■食文化

 義実家への帰省のたびに思っていましたが、とにかく食べ物が美味しいのは大きな魅力です。日本海側と言えば、お米や海の幸を思い浮かべる人が多いと思うのですが、それも美味しいのですが、野菜や果物やスイーツなど、食全体のクオリティが高いと感じています。
 また、農家でなくとも自宅敷地内で何らかの野菜などを食材を育てている方も多く、職場の同僚や近所から何かをもらう・分け合うということが頻繁に行われているようです。この辺の習慣は、あちらに住んでいる方でも苦手という方も一部いるかもしれませんが、こちらでは、まずない習慣です。(良いか悪いか、の議論ではなく、そういう習慣の有無の話をしています。)
 こちらでは休日にバーベキューをやりたい場合には、有料のバーベキュー場を何か月も前から予約しないと場所が押さえられませんし、その辺で容易に火気を使用することもできません。しかし、七尾では(すべての家庭がそうではないかもしれませんが)、自宅の敷地が広い方が多いので、庭先でバーベキューを行う家庭も多いです。お盆に帰省したとき、通りかかった民家の庭先からバーベキューの香りがしているところも多かったです。

■空気と水のちがい

 これは言わずもがななのですが・・・小さいころから空気のあまり良くないところに住んでいるので、夏なら光化学スモッグ注意報でます。能登半島は工場があまりないので、海の水質もきれいですし、空気も全く違います。念のためお伝えしておくと、七尾は夏は涼しいわけではありません。気温はそれなりに上がります。ただ、湿度は太平洋側とは断然ちがいますね。

 ■教育上の選択肢

 子育て世代が移住を考えた場合、まっさきに悩むのはここではないでしょうか。今住んでいる地域は、小中学校は徒歩で通学できる範囲にあります。高校も、自転車圏内でもいくつか選択肢があります。もちろん、電車通学も視野に入れればもっと選択肢は増えます。
 七尾のほうでは、少子化(過疎化)により、ひとつの小学校の通学対象範囲が広すぎるため、バス通学となっている児童も多いようです。また、高校になると自力通学できる圏内での選択肢は限られてきます。

 現在、息子が地域のミニバスチームに入っていますが、練習場所は自分で自転車で行ける範囲内です。これも近隣に他のチームありますし、それゆえ練習試合も頻繁に行えるありがたい環境です。七尾のミニバス事情は詳しくないのですが、こちらの地方でも人口密度が低い地域などでは近隣に他のミニバスチームがないことから、なかなか練習試合が行えないという話も聞いたことがあります。

 この話を考えると、かならず漫画SLAM DUNKの沢北栄治を思い出してしまいます。ご存じない方のために簡単に説明しますと、バスケ熱が熱すぎる父の元に生まれた沢北は、赤ん坊のころからバスケを仕込まれます。幼少期にはオモチャのバスケゴールには物足りなくなり、それを見た父は、息子のために庭にバスケゴールが建てられるような田舎に引っ越します。朝から晩まで自宅の庭でバスケに明け暮れた沢北は実力を伸ばしますが、田舎ゆえに対戦相手に限りがあり、中学時代には周辺には敵なし状態となり、それを生意気だと上級生たちから叩かれ、ボコられます。

 話が逸れましたが、うちの息子はそこまでバスケが上手いわけではないので、そんな心配する必要ないのですが(笑)、現在住んでいる場所では家の近くでドリブルついたり毎日シュート練習できる場所はないため、自宅の敷地が広いということに憧れたりしますが、この件に限らず、いろいろトレードオフだなと感じています。どうしてもボコられて鼻血出した沢北の顔が脳裏に浮かんでくるのです、、


SLAM DUNK 新装再編版19巻より ©井上雄彦 


■仕事

 夫の親族の多くが能登にいますが、あちらで働いている方は「自営、公務員、国家資格従事者」のいずれかに該当する人が多い印象です。親族の9割ほどは、このいずれかで働いており、いわゆる被雇用者の割合が少ない印象です。今住んでいるところは、手に職が無くても(極端に選り好みをしなければ)仕事探しの選択肢が多いですが、七尾ではそうもいかないのが現実だと思うので、幼いころから、親も子供も、手に職を付けるか資格を取るかの方針を考えている家庭が多いのかもしれません。私自身、手に職がないので悩ましいです。


■まとめ

 話にまとまりが無くなってきましたが、おそらく、私自身、ぼんやりと「能登移住に対する憧れ」があるのだと思います。よく、地域移住を検討する際に出てくる議論ですが、「良い部分だけ見て憧れていないか?」と問われると、そうかもしれません。私自身は自分を「都会の人間」と思ったことはないのですが、日本全体を平均にすると、「都会」の部類ではあるかもしれないですし、実際問題、今住んでいるところは、自分の育った地域よりは人口密度が高くて、正直、息苦しいです(笑)。でも、育ったところは中途半端に不便で中途半端に空気も悪くて、そこにもあまり良い思い入れはありません。今の生活の便利さに慣れてしまっている面もあるので、いきなり店舗の選択肢が減る生活になると、どう思うのか。

 今後、「田舎が良い」とか、「都会が良い」とか、二択の議論ではなく、自分の人生に何を優先事項として重きを置いて考えていくのかが重要だと思いました。

 もう少し建設的なことを書きたかったのですが、今日はこれが限界でした。今後、脳内整理のステップも上げていきたいと思います。

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ななうみ
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