【詩】手

赤ちゃんの頃の手は
小さくて
何もつかめなかった
でも
たくさんの幸せを持っていた

大人になって大きくなった手は
大きな荷物も持てるようになった
でも
小さな幸せをつかめない

つかんでも指の隙間から
逃げていく

この手で握ったあの手のぬくもり
この手でぬぐった涙たち
この手で覆った下の笑顔
全部が指の隙間から逃げていく

赤ちゃんの頃には
隙間なんてなかったのに

大きくなると
指も心も
隙間ばかりが
大きくなった

抱きしめられたぬくもりも
抱きしめるぬくもりになって

愛する喜びは得たけれど
やっぱり隙間からこぼれてく

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