マガジンのカバー画像

心地良い場所

10
運営しているクリエイター

記事一覧

残痕

神秘的な瞬間は過去になり

同じ記憶でただ歩く

火傷の跡だけが残って

ふたり

心臓の鼓動を感じて
鳴いた鳥に
尊い眼差しを送った

やがて歓喜に満ちる時
晴天で満天で
早くってそそのかして

いつも理想の君を作っては
笑顔を交えて会話した
無邪気に
笑って
無邪気に
笑って

真相を知って憐れんで
枯れた花に
やり切れなさを感じた

やがて惨めが押し寄せる
脈々と脈々と
息苦しくて苦しくて

愛を思想を語っては
鋭利な刃物で刻んでた
無闇に
悩んで
無闇に
迷って

今日も

もっとみる

祈り

愛されすぎた天使は他人に手を差し伸べられる?

洗い流そうとした
形ある物に生まれたから
悲しい別れを選んだとしても
それしか無かった

憧れ 嫉妬 憧れ 嫉妬 

ふと夜の月を見上げた
欠けた月の欠けた部分は
誰かにとってのかけがえのない部分
そんなふうに少し思えた

洗い流せなかった
形ない物を大切にしてたから
それも形だと諦めたとしても
そこに居たかった

刺々しい言葉を抜いて
優しさで包ん

もっとみる

かなしみ

目的なんて考えず
ただ車を走らせた
それだけで成立してる気がした

だだっ広い公園を二人占めして
駆け回ってた

悲しいくらい暖かくて
思わず今
泣きそうになる

突然の雨に濡れて
別れはあっけなく
嵐が過ぎ去ったような
散らかった部屋

残った家族は
窓際の猫2匹

悴むほどに冷え切ってて
思うように今
動けない

溜めた邪を引き金に何処かの誰かに放ちたい

でも独り

利害関係で繋がった
「今

もっとみる

ランダム

少しは格好良くいさせて欲しい
とはいえ影響力は大きくて
まだ忘れられないでいる
昨日でさえ忘れていいはずなのに

色んな音に囲まれて
だけどぐっすり眠っている
凄い集中力で

夢の中では
他界したはずの祖母が居て
和気藹々と会話した後でまた突然の遠いお別れ
泣いても泣いても涙が止まらない
不思議な夢だったけれど
少しだけ愛情の意味を理解できた気がした

特別だと思ってた時間は
日常になった瞬間に

もっとみる

ひとつだけ

もう分かって欲しいなんて
考えは微塵も無くて

ただ会いたい

たったそれだけ

たったそれだけ...なのに...ね

引き際

ありがとう

同じ場所に立ってくれて

たとえ表面上だとしても

何を残すのだろうか

掴めない一本の線の中の
一つの点だとしても

ありがとう 
ありがとう

美しい世界だけでもない
強迫観念に襲われて
暗い部屋で杭打ち作業をしているような

醜くて愚かに映っても

何も無い自分だから
別れは付きものだと言い聞かせて

全ては恩返しの為

affection

色んな自分が集まって
テーブルを囲んで話してる
誰がこんなに多く集合を掛けたのか
思わず溜息が漏れる

色んな意見が飛び交うんだけど
どちらに傾いたとしても
気持ちが悪くなるくらい甘い

あの頃の海の生臭い匂いが懐かしい

少し疲れたら両耳塞いで音楽に浸っている
普遍的な曲を毛嫌っていたのは
自分の中の気持ち悪い部分を肯定したかったから

欲を持ちたくないって「正しい人」
でいたかったけど
欲を持

もっとみる

メイキング映像

田舎から都会に出て
都会の暮らしに慣れだして
でも何処からか噂話が聞こえる
都会に出て変わった
調子に乗っている

片道2時間の移動距離で
人が変われれば苦労しないのに
今も変われずにいるのに

だけどこれはメイキング映像
作る過程でしかなくて
まだ未完成
そう未完成

好きなように映していいよ

集合場所はすぐそこで
少し駆け足になるけれど
目の前の点滅信号では足を止める
まだ色が変わる気配は無

もっとみる

なまえ

名前を聞いたから

必ずまた会える
また会える

透明な春はまた
飛べぬカラスよ

声が聞こえ目を閉じ
微笑み

君はいないけど近くに感じる
あの冬
解けた氷 子供のように
賑やかな食卓

海沿いを自転車で

必ずまた会える
また会える