論文を読む難しさを素人が想像で語る

コロナウィルスの流行により、医療に関する誤情報が問題になっている。デマに関する論争でしばしば重要になるのが論文の取り扱いだ。論文はエビデンスに基づいた議論を行うには必要不可欠なものである。しかし一般人は論文の読み方を知らないため、信用できない論文を引用してしまったり、論文の解釈を誤ったりしてしまうことが非常に多い。そこで同じく一般人である私が論文を読むのがなぜ難しいのかを想像してみようと思う。

①論文そのものが信用に足るものであるのかの判断が難しい。
論文は出版前に査読という専門家によるチェックを受ける。これが論文の信頼性を最低限保証している。しかし一部の学術雑誌においては査読が極めていい加減であったり行われていなかったりして、最低限の水準さえ満たしていない論文が投稿されることがある。一般人にはどの雑誌が信用に足るものであるのかわからないので、そのような粗雑な論文に騙されてしまう可能性がある。

②論文におけるデータの集め方、分析方法の評価ができない。
データのとり方が偏っていたり、不適切な手法での分析が行われていれば、その結果は全く信用できないものになってしまう。専門家であれば、論文で行われている統計的な操作が適切なものであるかの判断を行うことができるが、一般人にそれはほぼ不可能である。

③関連分野における専門知識が十分でない。
専門家であれば専門知識が十分にあるので、既存の研究結果と矛盾するような論文に対しては慎重な判断を行うことができる。そのような論文は、論文に不正、誤りがある可能性が高く、比較的信頼性が低いと判断できる。(もちろん新たな発見である可能性もあるのだが)しかし一般人にそのような判断は不可能である。

④論文の解釈が難しい。
知識の十分でない一般人は論文を読んでも、重要な前提条件を読み落としたり、見当違いの解釈をしてしまう可能性がある。たとえば、薬物が試験管内でウィルスに対して有効性を示したとしても人間の体内においても有効であるとは限らない、という知識を持たない一般人はその薬物は体内においても有効だと誤って判断してしまう可能性がある。

以上が私が考えた論文を読むのが難しい理由である。一般人は論文を読むのは専門技能であることを認識し、信頼できる専門家の解説に頼るのが最善だろう。



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