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016.海外に出て初めて知る日本人の勤勉さ
このあたりで、受講生の頭から「?」マークが吹き出しで見えるようです。海外経験のある受講生をはじめとして、日系工場の現地作業者以外に答えは思いうかばないのでしょう。
もう一つ、こういうのはいかがでしょうか?
「給料日は各人ごとに別の日にしなければならない。というのは、彼らは給料を受け取るとしばしばまる2,3日は姿を見せず・・・有り金を全部使い果たすまで戻ってこない」。
これもまた、特にメキシコなど中南米や南米に進出している工場の幹部から、よく聞かされた意見です。最近は改善されてきたとはいえ、しばらく前までは、給料日の翌日は欠勤率が2ケタ台になるので、それを見込んで配置計画を作っておかなければならない、というのが駐在員の集まりで定番のボヤキになっていました。
海外に赴任してはじめて日本の作業者の質の高さに驚いたと感想を述べる人もいました。日本人には当たり前の勤勉さが、決して世界標準ではないことを実感として知ったという驚きがそこにありました。日系の工場だけでなく、韓国系の工場などでも同様の話をよく聞きました。
しかし、2番目の質問が海外工場に勤務する日本人駐在員のなげきか、と問われれば、やはり「ブー」なのです。
受講生たちが首をかしげているなかで、ここでふと気づいて「日本!」という、確信に満ちた声を発する受講者がでてきます。手をあげません。顔をみると、見るからに「分かった」というドヤ顔をしています。
「なぜ日本?」
「だって、絶対にアメリカじゃない問題の正解がアメリカなら、絶対に日本じゃない問題の正解は日本しかない」
「なるほど、では、そのこころは?」
「いまじゃなくて、むかしのことじゃないですか?」
やられました。ピンポーン、正解です。
正解が1,2,3ときて、つぎが4でなければ、2に戻る。答えを知らなくても正解をさぐり出す、マークシート世代のビジネスマンです。
日本のビジネスマンもやるではありませんか。これだけの柔軟な思考ができれば、将来に悲観する必要はないかもしれません。
わたしの側からいえば、柳の下にドジョウはいても、2匹目も狙えば噛みつかれるというよい例で、鉄板ネタも、2問続けると穴だらけのザルになってしまうという教訓です。
たしかに、引用したことばは、日本人が発したものではなく、逆に、外国人が日本に来て、日本人の勤務ぶりに対して発したことばだからです。
しかも、歴史をさかのぼった昔の話、というのも正解です。
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