過去になってしまった全部
唯一って難しい。唯一なことなんて実際ないって、20年も生きていればお互いにわかっているから。私より長くここにいたあなたならなおのこと。
人って慣れてしまうから。いることにも、いないことにも。
あなたがいることに慣れて、あなたがいなくなった悲しみに暮れて、あなたがいないことに慣れて、あなた以外がいることに慣れてしまうんだ、どうせ。
ほぼ毎日みたいに会っていたから、たった数文字のLINEだけで繋ぎ止めなきゃいけないなんて心細くて、自信がなくて、もう投げ捨ててやりたくなる。
ああでも、ある意味分かりやすくていいかもしれない、あなたがもういいやと思ったタイミングで切ってもらえるなら。どうか面倒だと思う前に、嫌いになってしまう前に、あなたから切り上げて、捨ててくれ、絶対に恨んだりしないから。
あなたの姿を見ずに、あなたの声を聞かずに、いつまであなたのことを覚えていられるんだろう。
今なら昨日のことのように思い出せるあなたの優しさを、いつまでなくさずにいられるんだろう。
あなたがくれた言葉を、いつまで糧にしていられるんだろう。
全部覚えておきたいのに、覚えておくために思い返すことが辛くて、日常がそれに引っ張られて、疲弊していく、身勝手にも。
どうかあなたが私のことなんて全然好きじゃなくて、私なんかの存在に日常の一部だって殺されたりなんかしませんように。
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