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リチャード・ブロディ「MEME(ミーム)心を操るウイルス」講談社


ミームとは「文化・社会を創り上げる基本要素であり、感染力をもつマインドウイルス」である。

この考え方の生みの親はオックスフォード大学生物学者のリチャード・ドーキンスで、「利己的な遺伝子(1976)」の中で紹介され、一時期ビジネス界でも一世を風靡したものだ。

私たちは知らぬ間に自分のミームに操られて行動している。私たちはまず、自分がどんなミームを持っていて、どのように変革すべきなのかを知らなければならない。ビクトル・ユーゴーのことばに以下のようなものがある。

「軍隊の侵入には抵抗することができる。しかし、時を経て現れた考えには逆らえない。」

まさに、その考えにあたるものがミームということになる。となれば、そう簡単には自分のミームを変更することはできない。著者はミームに関する遺伝子的な考察を進めつつ、これを変化させる手法として「質問すること」をあげている。的確な質問を十分な数をもってぶつければ、ミームは変化を起こし、その人の行動に影響を与えるというのだ。

たしかに、俺自身を考えても、明確にビリーフというものは存在する。真実かどうかは別として、確かにそれを固く信じている。それが時として強みとなり、また違う場合には弱みにもなる。

ただ、言えることはこのミームを更新するという行為は生き方を日々新たにしようとする者には必要不可欠なものだということだ。ハイデガーの存在論に通じるものがあるかもしれない。自分もそうだが、底なしの悩みを持つ人にとって、そういう問いをしてくれる存在は必要だろう。

俺にはそういう実態のメンターはいないから、自分に対して問いを立てていこう。

「その選択が自分に何をもたらす?」
「それは本当に自分がやりたい事?」
「この流れに身を任せて本当に大丈夫?」
小さい一歩から始めるしかない・・。

自分のミーム、そして自分に助けを求めてくる人に対するミーム、いろんな場面で必要な視点になり得ると思う。
ミーム学が正しいとかはどうでもいい。視点としてそこから見えてくるものがあると俺は思う。

<メモ>
・自分が学び、成長する唯一の方法は、自分の信念システムを変える事。
・考えは感染力を持つ。他人の行動や周囲の文化の一部からいろんな考えが入り込んでくる。
・安全に生きたいという衝動に伴う感情が「恐れ」
・ミームは人間の学習スタイル、あるいは発見的方法を利用する。そのため、あなたが生まれつきもっている生存と生殖に関する発見的方法から学ぶ術を発展させることにより、ミームに対して免疫を持てるようになる。
・ミームは私たちの心を媒介として複製を行うレプリケーターである。
・脳は私達に、動物がもつ4つの基本的衝動を追求する力を与えてくれた。それは「問うこと、闘うこと、逃げる事、食べる事、結婚相手を見つける事」だ。この衝動に伴う感情は「怒り、恐怖、空腹、性欲」である。「恐れ」は安全に生きたいという衝動に伴う感情ということになる。
・ほとんどの人は、何らかの集団に属したいという気にさせる心のボタンを持っている。

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