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小林章「フォントのふしぎ」美術出版社


著者は第1線で活躍されている書体デザイナーである。本著ではブランドに使われているフォントを紐解いているわけだが、普段Windowsで見るフォントとは全く違う世界が広がっていて面白い。

例えばFutura(フツラ)というフォント。ルイ・ヴィトンのロゴに使われているわけだが、これはMacに搭載されているらしい。このフォントをただ並べても高級感がないが、文字の間隔を微妙に持たせると音声で言うところの低温の響きになる。

このフォント、歴史を遡るとローマ時代に行きつく。トラヤヌス帝記念柱(AD114)にはTrajan(トレイジャン)とFutura(フツラ)がミックスされており、しかも下から見た時同じ大きさに見えるように大きさを調整してあるそうな・・いやはやビックリ!Trajan(トレイジャン)はチョコレートブランドGODIVAに使われていて、その重厚さはローマ時代に基礎を置いた「王道の書体」だったなんて・・。スティーブ・ジョブズが魅せられた世界はこのことだったんだ!


最後にフォントの役割についてのメッセージが記憶に残った。
「フォントは主役ではない。後ろから言葉を伝える助けをするだけ。フォントが言葉より記憶に残ったらフォントとしては失敗である」
なるほどね。どこまでも黒子ってわけだ。だからフォントにこだわるんだけど、それが押し付けになった時点でフォントとしての命はなくなるわけだ。深いなあ~、なんか面白くなってきたあ^^

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