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吉本隆明「真贋」講談社文庫

「世の中の当たり前ほどあてにならないものはない」

いかにも吉本らしい問題意識だと思う。
昨今の常識に敢えて疑問符を投じている。ポジティブシンキングから始まって、明るいこと=良いことという等式、教育=善、こういった当たり前はかなり怪しい・・。みんな物知りクイズに明け暮れているのに、肝心要の「人生とは・・」という曖昧な問いをしようとも考えようともしていない。

教育だって「教育者の毒」について何の言及もない。実はこの当たり前すぎることに疑問符を投じる事が重要なのだ。明らかに知的に劣化してしまった。

職場等においては地位や役職がかなり大きなウエイトをしめ、あたかも人間としても優位にあるかのような意識が根底に根強く存在している。職を離れれば人間として平等という意識があまりに薄いのだ。

国家レベルでも思考の劣化が進んでいる。最近でいえば、ロシア、北朝鮮、中国が脅威だから日本もしっかり軍備を増強してアメリカと歩調を合わせなくちゃ!というステレオタイプの思考パターンが良い例かもしれない。

日本には未だ中国や北朝鮮、韓国に対する潜在的な差別意識が根強くあり、その前提下での主張になっている。日本はアジアのリーダーではあるが包容力にかけるリーダーだと外からは思われている。

田中角栄がある意味最後のアジアレベルのリーダーであったと思うが、田中以降、度量の大きいアジアのリーダーは消えた。

なぜ日本が平和憲法を採択したのか?なぜ人は戦争をするのか?戦争=悪だとなぜ断言できないのか?この問題意識はかなり強烈なものだ。

しかし、この質問に耳を貸さない人が未だ多いという現実・・。

質問をし続けることから始めるしかないのかもしれない。もちろん俺自身から。

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