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私の本業はプロのアル中なのかもしれない(/ω\)……その1

 私はフリーランスのライターを生業としている。ライター歴は20年以上だから、多分ベテランの域に入ると思う(もちろん大尊敬している先輩ライターたちには負けるが)。しかしそれよりもベテランというかプロの域と自負しているのが、アルコール依存症だ。アルコール依存症歴はトータルで考えればライター歴よりも少しだけ短いかもしれないが、どっちの方が濃いかというとアルコール依存症だろう。ある意味、ライターよりもアルコール依存症の方が得意分野だ。

 しかも結構立派なアルコール依存症の模範生で、現在は「一応」というか、「二応」というか、「三応」というか、大学病院に定期的に通い治療をしている。

 しかし、この大学病院。ただ、検査するだけなのだ。クスリなどは処方してくれない。そこで私は、海外からγを下げる医薬品を個人輸入していた。これが高い。1錠で100円くらいする。

 でも、このクスリを飲んでいると確かにγの数値は下がるのだ。いや、節酒しているから下がったように思えるだけなのかもしれないけど……。
 
 自分的な目安は、γが200前後だとまだ自分を許すことにしている。大学病院で検査をして、数値が良ければそのままランチ飲みに行く。しかし、400とかになると「あっ、まずいかな……」と思う。しかし私はお酒をやめない。だって私にとってお酒は、自分が自分らしくいられる命の水だし、執筆活動だってお酒があった方がはかどる。
 
 しかし、私を心配した両親は、アルコール依存症の治療というよりも、精神病院に連れていった。結構、日本の精神病院のトップオブザトップ、松沢病院というところだ。
 
 ここで私は衝撃を受ける。病院に「かなり変わった患者さん」しかいないのだ。ずっと発狂していたり、泣いていたり、怒鳴っていたり、徘徊したりしている。
 
 「私はまだ大丈夫……」と思って、病院に通うのはやめた。だって、ここに通っていたらもっとお酒を飲みたくなる。自分は大丈夫だと思ってお酒に走ってしまう。って、理解してもらえないかもしれないが(笑)。
 
 それが20代の頃で、30代はもうモテに必死でお酒を少し封印、いいや、封印してないか、ただクラブ遊びに忙しくてお酒を飲むことが当たり前だったから自分の体のことなんて何も考えてなくて記憶を過去に葬っただけか。だけど、40代に両親から連れられて大学病院に通うようになって、肝臓内科の医師から足立区のアルコール依存症に強い精神病院を紹介された。一応、行ってみた。
 
 しかし、精神病院の先生曰く、「あなた大丈夫よ~、これくらいなら病院なんか通わなくても」とな。「これくらい」がγなのか、精神状態なのかは分からないけれど、私はその病院の帰りにもファミレスでビールを煽った。まだいけるじゃん! 自分! って思いまして。結構拍子抜け。
 
 だけど最近は、諸事情で外でお酒を飲むのを少し控えている。
  
 まず、仕事をする気がなくなる。もうどうでもいいや~とか、明日やればいいや~とか思ってしまう。これはフリーランスとしては失格すぎる。

  そしていちばんの理由は、コロナ禍で足が不自由になったことだ。電車に乗れなくなった。電車とホームの隙間、あれがいちばん怖い。踏切も怖い。3年ほど前から全く走れなくなったので、もう外に飲みに行くのが怖い。誰かと一緒ならまだ行けるけど、誰かに迷惑をかけるのも怖い。
 
 だから最近は自宅でラジオ体操をしている。なんとか足を動かさないといけないのだ。このまま歩けなくなる。アル中より歩けない方がきつい。どこも行けなくなるし、飲みに行っても電車が怖くて2杯しか飲めない。歩けないということはつまり飲みに行けない。
 
 自宅では朝から寝るまで飲んでいるけど、まず、お金がかかる。あと、なんかしくしく泣いたりしてしまうので、精神的にもあんまり宜しくない。あと、気付くと寝ている。不眠症なのに、寝ている。だから仕事ができない。すごい悪循環というかダメなループだ。
 
 アル中というか、大好きなお酒のせいで私は何度も失敗している。気付いたら足利という駅にいたり、千葉のはしっこにいたり、ひどい時は沖縄にいたこともあった。酔っぱらって気が大きくなるので、勢いで飛行機に乗ったと記憶している。
 
 足利は、渋谷で飲んでいたはずなのになぜか気付いたら足利にいた。いや、自分が気付いたらどこにいたかというのは、割と誰にも迷惑をかけていないから良しとしよう。問題は、誰かと一緒にいたら、誰かに迷惑をかけてしまうことだ。そう、お酒を飲みすぎると、終いには誰かに迷惑をかけてしまう。
 
 お酒の失敗に関しては、もうアホみたいにあるから次に続く。何から書こうかな。例えば、渋谷のクラブでレイプまがいのことをされたりとか。昔は可愛かったから、いや、やれるなコイツ、って思われてたからで、今はまったく需要がないが。お酒は悪くない、自分が悪い。ボールは友達(これは下町ラバーの人しかわからないかも。キャプテン翼が葛飾区四つ木生まれなことから転じて「ボールは友達」は、「ハイボールが友達」って意味です)。
 
 ちなみにクスリの話に戻るけど、「ウルソ」ってクスリは内科で処方してもらえて、1錠数円とかだから、肝臓に不安がある人にはぜひ処方してもらってほしい。気休めにはとてもなる(私はこれでγが600から85まで下がった)。

しかし、プロのアル中の生き様はこんなものではすまない。
その2へ続く


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