小説「金木犀とメテオラ」10代の繊細な気持ちが伝わりすぎて痛いくらい美しい!
先日、安壇美緒さんの「金木犀とメテオラ」を読んだ。衝撃だった。本の中に自分の気持ちがいくつもあった。
ちなみに筆者10代です笑 だからかな、とにかく登場人物の心情が刺さった。
舞台は北海道の女子校、築山学園。中高生の揺れ動く繊細な心を中1、高2の視点から描く。
一人目の主人公、宮田佳乃はただなんとなく頭が良く、それ故プライドが高い。築山学園に進学することは彼女のプライドが許さず、中1のときには、不満から仕草や態度に棘があった。一方で高2になると、その悔しさが仇となり、自分を追い込んでしまう。
二人目の主人公、奥沢叶は才能に溢れる美少女ではあるものの、家庭の事情に怒りを感じ、自分の人生の境遇を覆そうと躍起になっている。中1のときからしっかりとした考えや自分軸を持っていた。高2になるとさらに拍車がかかり、現実味を帯びた構想を立て実行していくが、家庭の事情はさらに複雑なものとなり…。
二人はさり気なく意識しあう。自分の地位を危ういものにするライバルとして、自分にないものを全て持っている憧れと妬みの対象として。
この小説は、透明な空気感が持続する。でも一方で青春、10代が故の揺れ動く心、焦燥、嫉妬、葛藤もひしひしと伝わってくる。
何でもできるような気がする10代の心で見る世界は、金木犀の香りのように甘く、流星群のように冷たく澄んでいる。そして、それはいつ壊れるかわからない断崖のメテオラのように、堅実であり儚いものなのだと思う。