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【詩】「いなくなった歌」

風船が飛ぶなか  
ふわふわと気持ちが飛んでった
さっきまで弾んでいたハズ
ぽよよよん 先の長い幼稚園児みたいな 激痛
 
通りすがりの喉元を 
ただ闇雲に攻撃する 底辺にはなりたくない
だとしても、毎回覚束ない

魔法が切れて街に出たら
沢山の人間達がいて
 
それでいいと思ったの
貴方が発光して眩しいけど
ちかちかとチープな食器の金属片が
私の目ん玉を粉々にして食うけど

ワタシの口からは 
廃棄ガスが 

空っぽの給油タンクの穴から
密かに溜め息が底をついて
流れゆく

地球上でいちばん低い道のゴミ溜めを、放浪して
なんの取り止めもなく放浪して

優先順位なんて、輪郭線だけをなぞってるだけ
真白の人と堂々手を繋ぐ手が
形だけ、新品。の君をなぞって
アタシに向かってふかふかな笑みをバラ撒いた

ほんとにそう見えるのか?
君に問うてみたい でも……

ぷわりぃ

頭に突き刺さる上限を拳で突き上げて
僕達が囲われた水槽に
どうか小さな息切れをその割れ目から
憂いて流し込んでよ

明日の朝が雲に隠れて
地球の責任追及から逃れてしまう前に
僕達の左に待ち続ける
巨悪を倒す手伝いをして

あーぁ
姿体は溶けて消えちまったよ
こーんな粉々にパーンと弾けてさ

そんなこと言わせないで

ふぅ ふぅ
僕達だけで作った。薄っぺらい酸素を。
表面を取り繕うように地面に押し当てて
僕らの邪悪を薙ぎ払ってよ

そんなつまらない夢を見せないでくれ

愛は血で満ち満ちていて
それを自身の生暖かさで体感する度
非常なほど 騒つく肉体しか持たない試作品に 
邪悪さ 醜さ 破壊精神に雁字搦めを受け

いつのまにか失くした
形しかない勇気が
手持ち無沙汰になって 荒唐無稽だった
これじゃあただの 小学校のお道具箱と変わらないからね

そう言って笑う女
紅の自信が目を灼いて
一夜の特別な綺麗さを見せつけた

溜め息なんて無かったことにすりゃあいい

僅かなチャンス、毒牙、パチンコ玉程度の痛みすら 逃せるほど子どもじゃない

鮮やかな血に染まる肢体に
夕陽に正体がバレてもなお、凛々しく
その場に立ち尽くして

アタシは生きている




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