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医療・介護の現場で本当に「連携」ができているのか


医療・介護の現場では、医師や看護師、介護士、リハビリの専門職など、様々な職種が連携し、患者を支えているように思われがちです。

実際はそう簡単ではありません。

なぜなら、これらの職種は、それぞれに異なる考え方や目的を持っているからです。

そのため、「対立」が生じることも少なくありません。

今回は、それぞれの職種の「対立」を軸に、医療現場の現実を書いていきたいと思います。


医師は忙しすぎる

医師は、患者の身体の状態や変化に敏感に反応し、適切な処方や手術を行います。

医師は、患者の命を守ることが最優先です。

医師は、忙しすぎることが多く、患者とのコミュニケーションや他職種との連携に時間を割くことができません。

医師がリハビリの内容を細かく指示している、と思っている患者さんもいましたが、現実は違います。

医師の指示は

✅筋力訓練
✅疼痛緩和
✅歩行訓練

みたいな感じです。

具体的に何をやるのか、細かな指示がでることはありません。

そもそも、理学療法士のリハビリに関心のある医師は、少ない印象です。
医師は忙しすぎて、細かく把握することはできないでしょうしね。

介護保険分野に関しては、医師が不在です。
そのため、看護師や理学療法士、介護士がその場の判断で動いています。

医療現場では、「医師が司令塔」というイメージがあると思いますが、実際、その指令は「漠然としたもの」であることが多いのです。


看護師・介護士に大事なのは安全が最優先

看護師・介護士は、患者の日常生活を支援し、安全に快適に過ごせるようにすることです。

食事や入浴、排泄などの生活援助や、環境整備や感染予防などの管理を行います。

看護師・介護士が特に重視していることは、患者の転倒や誤嚥などのリスクを排除すること、つまり「安全」です。

看護師・介護士の口癖は
「危ないよ。💦」
です。

💦利用者が一人で立ち上がっただけで「危ないよ」
💦椅子に座っていて下に落ちた物を自分で拾おうとしただけで「危ないよ」
💦車椅子を自走したら「危ないよ」

「危ないよ」の一言で、患者や利用者の行動を制限しようとします。

転倒リスクは、できるだけ排除しようとします。

これが看護師・介護士の考え方の方向性です。
理学療法士とは真逆です。

理学療法士は、あえてリスクを取りに行く

理学療法士・作業療法士は、患者の運動機能や日常生活動作を改善し、自立した生活を送れるようにすることです。

患者の身体の状態や能力に応じたリハビリテーションプログラムを作成し、適切な刺激や負荷を与えて、身体の機能を回復させます。

✨転倒リスクが高い患者は、平行棒内で歩いてもらったり、介助しながら杖で歩いてもらったりします。

✨立っているバランスが悪くてフラフラする患者には、不安定なゴムマットの上に立ってもらって、バランス訓練をしたりします。

✨筋力が弱いから、筋力訓練を行います。

つまり、リハビリというのは、あえてリスクを取りにいくことだ、と言えます。

転倒しそうだから、歩いてもらうのをやめよう

というのでは、リハビリになりません。

転倒しそうだから、しっかり歩いてもらおう!

これがリハビリの考え方です。


方向性の違いが対立を生む

医療・介護・リハビリの職種は、それぞれに異なる考え方や目的を持っています。

これは、患者の健康や生活の質を向上させるために、必要な多様性と言えますが、同時に、対立や連携の難しさを生む要因でもあります。

例えば、看護師・介護士は、患者にリスクを取らせるリハビリに不安を感じることがあります。

理学療法士・作業療法士は、「患者の行動を制限してはリハビリにならない」と、看護や介護と対立します。

これらの職種は、考え方や方向性が真逆なのです。
だから、連携よりも対立の方が多いのです。


他職種で協力できないのか?

医療・介護・リハビリの職種は、「対立」ばかりで、「協力」してないの?と思われたかもしれません。

もちろん、毎日、ケンカしてるわけではなく、どこかで折り合いをつけて仕事をしています。

裏に回って
「何考えてるんだろうね?」
「分かってないよね、アイツら」
とお互いに悪口を言い合うくらいですかね。

まぁ、そんなもんです。

看護・介護が、患者や利用者の行動を制限しているのは、意地悪じゃないんです。
転倒したら危ないから、安全を守るために「危ないよ」という一言で行動を制限しているのです。

逆に理学療法士は、患者の身体の機能を回復させて、元気にしてあげたいと思うから、あえてリスクを取りに行くリハビリをします。

どちらも患者・利用者のことを考えてのことなんです。

だから、お互いに譲れないわけです。
どっちも自分が正しいと思ってますからね。


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