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信州の民謡~南信地方

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信州の民謡を紹介します。 ここでは南信地方の民謡をまとめてみました。
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2024年5月の記事一覧

《龍勝寺山》~コチャエ節が伝播、上伊那に広まる(長野県伊那市高遠町)

伊那市東部、旧高遠町の勝間区で歌われていた踊り唄に《龍勝寺山》があります。歌詞の出だしから《龍勝寺山の姫小松》とも呼ばれています。 唄の背景 龍勝寺の姫小松 勝間は高遠城下から旧長谷村方向へ進んだあたりの集落です。ここに曹洞宗の古刹、龍勝寺があります。旧藩時代には、その裏手を龍勝寺山という山林の所有が認められていたそうです。 三界山(みつがいやま)の東の尾根あたりに続くあたりにはヒメコマツ(五葉松)やマツタケで知られていました。 「龍勝寺山の姫小松」には昔話があります。

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《伊那尾根下り唄》~権兵衛峠の尾根を下る馬追いの唄~(長野県伊那市)

伊那市の西部、木曽谷と伊那谷を結ぶ権兵衛峠は、「木曽へ木曽へとつけ出す米」を輸送した山道の街道です。そのあたりの馬追いで歌われたものに《尾根下り唄》があります。 唄の背景 シンプルな構造の馬追い唄 伊那と木曽とは急峻な中央アルプス(木曽山脈)に阻まれ、行き交うことが難しい地域でした。そこを結ぶルートとして、鍋懸峠、牛首峠がありましたが人しか通れない道でした。しかし、江戸時代、木曽郡日義村の古畑権兵衛という牛方が、元禄9年(1696年)に、山道を切り開き、以降権兵衛峠として

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《上町おんたけ》~遠山谷に残された素朴な御岳山節(長野県飯田市)

遠山霜月祭で知られる飯田市上村は、かつて信州諏訪と遠州秋葉山を結ぶ秋葉街道が通っていて、その中心地には上町宿がありました。 この地の盆踊りは無伴奏で古風な唄に合わせて踊られてきました。その中に《おんたけ》があります。 唄の背景 伊那節のもとになった御岳山節 旧上村(現飯田市上村)は、かつて門村(かどむら)と呼ばれていました。秋葉街道の宿場でもあった上町(かみまち)の盆踊り唄には《絵島》《ノーサ》《ショーガイ》《おんたけ》等があります。この《おんたけ》は、手踊りで、桧笠を

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