見出し画像

詩「ガラクタに抱かれて」


吐き出したい言葉が
見つからなくて
ボールペンやシャープペン
紙の中で
私は眠った

使わなれなければ
ゴロゴロと頼りなく
転がっているだけ

日付が過ぎた新聞紙は
何百年後にはお宝だけど
忘れ去られた記憶の渦に
私と一緒に回っている
読まれなければ刻まれない
ただ、真っ白
私の頭の中

積もり積もった物の中で
私は生まれ
私は育ち
そうして
その欲望の数だけ
私は枯れる

目に映るガラクタで創造の世界を
そうして
かき集めて
山積みにして
疲れ切って私は眠る
無機質な世界で
温度も何も感じないで
自分は自分になれなくて

私もその一部に取り込まれ
いつの間にか同化してしまった
床のタイルの線に沿って
私の足跡が刻まれている
身動きの取れない石像の様に
押し寄せる物の波の中で
今日も言葉は見つからない

この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,764件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?