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詩「恍惚」




過酷で加工出来ない現実を彷徨ってる
大抵の事柄は美化できた筈なのに
プリクラに写っている私は機械が作り出した別人だった
この子だったらうまくやれていたのかな?
しあわせになれたのかな?

何かを忘れた人達はみなうっとりとした瞳をたずさえていた
私とは違う世界に爛々と生きている
若い頃は願った忘却
今は簡単な単語が出てこなくなってしまうのが
放っておかれた子羊の様に
やけに心細い
透明な文字の空間をひとり漂っている気分
やっぱり自分を失いたくはないよ

月の優しい光が誘惑の橋を架ける
私はそこを渡って行く途中
地球の夜景に後ろ髪を引かれる
あの灯りには人がいるから
私以外の人が住んでいるから
恍惚とした表情で
私は地球に帰還する
あの頃より鮮明ではない
生温い現実へと









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